弥生時代の遺跡の出土品から江戸時代の城下町、さらには近代の紡績など様々な尼崎の歴史を知ることができるミュージアム。デジタルコンテンツなどはないため少々地味ですが、わかりやすい展示は読んで行くとひきこまれる内容です。
学校リノベーション博物館
港町や城下町として栄えた尼崎。古代から現代まで尼崎の歴史を学ぶことができるのが尼崎市立歴史博物館。尼崎城からすぐ近くに建っています。
どう見ても学校です!!
そう、尼崎市立歴史博物館は、中学校をリノベーションした博物館。1933年に建設された旧尼崎市立高等女学校の校舎であり、後に城内中学校として使用されていたものなのです。
学校としての役目を終えた後は、市内の遺跡からの出土品や歴史資料を保管する「尼崎市立文化財収蔵庫」という施設へ。2018年にリニューアルが開始。2020年に現在の「尼崎市立歴史博物館」という名称に変わりました。
レトロな建築は、2012年公開の 映画『ALWAYS 三丁目の夕日’64』のロケ現場としても使用されました。劇中では「凡天堂病院」として登場、館内にはその際に設置された看板も展示されていました。
なつかしさあふれる面影
館内にも学校の面影は随所に残っています。廊下が延びて教室が並んでいる感じは、なんともノスタルジック。ドアの上部に掲げられたクラスプレートもそのまま利用されています。
各教室は展示室となっていますが、ずらりと並んだ学習机がそのまま残された教室も。特に意味はないのですが、掃除の時間に行った「イス上げ」をしてしまいました。
この教室内では「尼崎市の歌特集」ということで、「ド根性節(都はるみ)」「ああ、尼崎市民家族(デューク・エイセス)」など、尼崎にゆかりのある曲が流れています。
一部の机には歌詞も埋め込まれています。どうやらこの歌特集は特別企画のよう。きっと、その企画に合わせて、この学習机の中身は変わるのでしょうね。
歴史資料がたっぷり
古代~近代までの尼崎の各時代の歴史が様々な資料とともに展示されています。
白いヒトガタが置かれているのは古宮遺跡で見つかった弥生時代の木棺。
巨大な木の塊は、市内にある弥生時代中期の集落跡・武庫庄(むこのしょう)遺跡からの出土品。
平成8年の調査の際に発掘されたこちらは、大型掘立柱建物の屋根を支える「棟持柱」であったと考えられています。柱跡の配置から、長辺24m、短辺8.6mという巨大な建物を支えていたそう。弥生時代の神殿ではないかと考えられています。
写真手前の大きな物体は、「猪名寺廃寺の鴟尾の復元模型」。飛鳥時代後期に建立された寺院で、奈良の法隆寺と同じ伽藍配置であったそう。靴を立てたような形から「沓形」とも呼ばれています。
尼崎城と合わせて訪問するならば、「尼崎城本丸復元模型(1/100)」も見逃せません。本当は実物が再建できるくらい資料が豊富に残っているため、かなりリアルな仕上がりです。
わかりやすい仕掛けも
難しくなりがちな歴史展示ですが、それをカジュアルにしているのがナビゲートキャラクターたち。
新人学芸員の本丸 琴、歴史好きな姉弟戸田幸・忠という3人のキャラクターたちが、わかりやすく見どころを教えてくれます。
また、クイズも多数。いずれもわかりそうでわからない、絶妙な難易度。展示をしっかり見ているとすらすら回答できたりします。
数ある問題の中でも、個人的にヒットしたのがこちら。
「次の肖像画のうち、近松門左衛門ではないのはどれでしょう?」
「近松門左衛門はどれでしょう」ではなく、「でないのはどれでしょう」という難易度高めなクイズ。近松門左衛門が何者か知らなくても、顔の特徴を見分けると正解できるかもしれません・・・!
どれが近松門左衛門でないか気になる方は、ぜひ現地へ訪れてみてください!
アクセスと営業情報
阪神本線の尼崎駅より徒歩約10分。
開館時間 | 9:00~17:00 |
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休館日 | 月曜 |
料金 | 無料 |
公式サイト | http://www.archives.city.amagasaki.hyogo.jp/museum/ |
※掲載の情報は2023年7月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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