森の中の巨大木造建築『木の殿堂』(香美町)

兵庫県

人里から遠く離れた高原に突如現れる巨大な木造建築「木の殿堂」。ドーム状に杉がびっしりと組み上げられた非常に印象的な外観をしています。この施設、いったい何なのでしょうか。

訪問日:2022/5/8(日)

森の中の巨大木造建造物

兵庫県・岡山県・鳥取県にまたがる氷ノ山後山那岐山国定公園。冬場はスキー場としても知られるハチ北高原にそびえる不思議な建造物が今回ご紹介する木の殿堂。ドームのように木材が組み上げられた外観がとにかくインパクト抜群です。

入口らしきポイントから中へ進んでみると、中心部は空洞の円筒形をしていることがわかります。見上げると丸く切り取られた青空が広がり、下を覗くと水をたたえた池が広がっています。

上空から見ると、その全体像が掴みやすい。まるで森の中に作られたシェルターのような姿ですね。

木の殿堂という名前を聞いてもどんな目的のスポットなのか検討もつきません。ここはいったい何なのでしょうか?

無料で楽しめるミュージアム

不思議なこの建築の正体は、「森と海と太陽」をテーマにして1994年に造られたミュージアム。入館無料の施設で、入館の際には靴を脱いでスリッパに履き替えます。

外観から感じたウッディな質感は展示室内にも広がっております。日本の木造建築を代表する柱・梁で構成されており、立ち並ぶ大きな柱は太陽の光を受けて育つ森を表現しているそうです。

この個性的な建築を担当したのは世界的建築家の安藤忠雄。彼の建築作品といえばRC(鉄筋コンクリート)の印象が強かったので、ちょっと意外でした。でも、他作品でも見られる「自然との共生」というテーマには非常にマッチしているように感じます。

※どうでもいいですが、「森と海と太陽」ときくと、Mountain Ocean Sunの頭文字をとったモスバーガーが頭に浮かびます。

木のプロダクトがたっぷり

館内の展示は木の魅力にフォーカスしています。まず最初に目に入るのはロシアやドイツなど世界各国の木を活用した建築の紹介。建築模型と平面図の展示は、建築に明るい人が見たらかなりアツイ内容なのでは。

プリミティブな魅力が詰まった世界の木製民具の展示もあります。よく見ると「熱帯雨林」「照葉樹林」など植生によってわかれており、それぞれ見比べてみる、といった楽しみ方も。

自由に遊べる木の玩具もたくさんあります。ぬくもりを感じるおもちゃに触れて、童心に帰ってみてはいかがでしょうか。

自然学習施設としての側面も持っており、組み木体験やカスタネット作成など、木材を使用した工作教室が開催されているそうです。館内の工作室は通常時でも見学可能で、壁に架けられた世界の大工道具を見ることができます。

山々の眺望広がる展望棟

木のドームから入り口と反対方向には通路が伸びています。

約200mほどの道を進んで行くと、屋外の階段へと繋がります。ここは別館となる展望棟。いかにも安藤忠雄らしいコンクリート仕立ての建築です。

登った先で視界いっぱいに広がるのは但馬の山並み。標高1,139mの妙見山や標高1,074mの蘇武岳など、雄大な山々が広がります。

山の麓には里山の集落の姿も。瓦屋根や段々畑が続くのどかな光景。鳥のさえずりと風に揺れる木々のざわめきだけの静かな空間に心がほっと落ち着きます。

行ってみた感想と見学所要時間

個性的な建築、そして木の殿堂というネーミングから独特な存在感を放つスポットなので、ずっと気になっていたのですが、山の中にぽつんとあるためなかなか行くことができず・・・。今回は、鳥取方面から出石へ向かう途中に、ちょうど組み込むことができました!

何といっても最大の魅力は、建築の持つインパクト。スキー場くらいしかないような山の中に突然現れる姿はかなりワクワクでした。

一方、館内の展示はやや難しめ。模型や実物などの立体的な展示が多いため非常に見やすいのですが、建築や民俗文化に興味が無いと、のめりこめないような印象です。とはいえ、入館料無料なので、損したという気分はまったくありません!

見学所要時間ですが、さらっと見るだけなら【30分】あれば充分です。じっくり見ても【1時間】はかからないかな、といったところでしょうか。

すぐ近くのたじま高原植物園と合わせて訪問すると、満足感の高い旅になりそうです!

気分爽快!お手軽高原散策『たじま高原植物園』(香美町)
標高680mという高原の自然をそのままに生かした植物園。色鮮やかな園芸種などはありませんが、力強く咲く花を探したり、のんびり歩いて森林浴を楽しんだりと、自然を満喫できます。シンボルツリーである「和池の大カツラ」は必見です!

 

アクセスと営業情報

北近畿自動車道の八鹿氷ノ山ICより約30分。

公共交通機関の場合はJR山陰本線八鹿駅より全但バスで約40分のバス停《ハチ北口》下車後、そこから約5km・徒歩1時間15分ほどかかります。なかなかハードですね。

開館時間 10:00~16:30 ※12~3月は16:00まで
休館日 月曜、年末年始
料金 無料
公式サイト https://www.kinodendo.jp/

※掲載の情報は2022年7月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました