平泉めぐりの最後におすすめな寺院跡『無量光院跡』(平泉町)

岩手県

平泉にある世界遺産の寺院跡。建築物が無いため見ごたえはそれほどありませんが、再現CGで当時の面影に触れることができます。夕刻に訪れると、本堂跡の背後にそびえる金鶏山に沈んで行く夕陽を目にすることができるかもしれません!

訪問日:2022/10/6(木)

奥州藤原氏の寺院跡

中尊寺や毛越寺など、名だたる寺院が立ち並ぶ平泉。そんな中に残る無量光院跡は、かつて奥州藤原氏三代当主である藤原秀衡が京都の平等院を模して建立した寺院の跡地。

初代である藤原清衡は中尊寺を建立、二代である藤原基衡は毛越寺に多くの伽藍を建立、そして三代である藤原秀衡は父の意志を継いで毛越寺を完成させ、さらにこの無量光院を建立しています。

奥州藤原氏が滅亡した後、度重なる火災によって焼失。現在、建築は残っておらず、土塁などが残っているだけ。

復元された池

2011年、この無量光院跡は、中尊寺・毛越寺などの寺院とともに「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―」の構成資産として世界遺産に登録されます。その翌年の2012年より復原作業が開始。

2019年には導水路が復元され、池跡に水が張られます。

鏡のように空を映し出す水面を見ていると、自然と心が落ち着きます。ずっと眺めていられそうです。

かつて、ここには浄土庭園が造られていたと考えられています。浄土庭園とはいったいどのような庭園だったのでしょうか?

浄土庭園とは

浄土庭園は仏教の浄土思想の影響を受けた庭園で、平安時代~鎌倉時代に造られました。大きな池を中心に、そこに金堂や阿弥陀堂といった建築が並ぶのが特徴。これは、阿弥陀如来に導かれて大海を越え、仏の国である極楽浄土へ至るという考えに基づいているそう。

極楽浄土は西の方角にあり、西方浄土とも呼ばれます。そのため、池の東から見ると、池を越えて西の方角に阿弥陀堂の姿が見えるように造られています。

なお、ここ以外で現存する浄土庭園は、同じく平泉の「毛越寺」「観自在王院」、福島県いわき市の「白水阿弥陀堂」、京都の「平等院」などが挙げられます。いずれも観光名所として人気な寺院ですね。

想像力を補うCG

かつて、この池の向こうには京都の平等院鳳凰堂を模した壮大な建築が建てられていたそう。発掘調査によると、その規模は平等院を凌ぐ大きさであったと考えられています。

あの平等院を越えるというのは、どれほど立派だったのでしょうか。現存していないことが非常に悔やまれます。

ここは想像力で感じ取ろう!と思ったのですが、建築物は全くないため困難を極めます。なんとなく平等院をイメージしてみたのですが、これで合ってるのでしょうか…。

そんなときにおすすめなのが、「平泉タイムスコープ」!無量光院跡の入口に掲示されたQRコードにアクセスすると、往時の姿を再現したCGを360°VRで見ることができるのです!

本来はVRゴーグルを借りて見るようですが、スマホだけでも大丈夫。寺院跡の方にかざしてみると、池の向こうには立派な阿弥陀堂の姿が浮かび上がってきました。

これはなんともありがたいサービス。ぜひ、観自在王院跡にも対応してほしいところです!

池の向こうに金鶏山

浄土庭園の向こうに見えている山は金鶏山。標高98.6mというとても小さな山ですが、信仰の山であり、奥州藤原氏の都市計画において基準点をなしたポイントとして世界遺産の構成資産でもあります。

地図で見ると、中尊寺、毛越寺、そしてこの無量光院と平泉を代表する3つのお寺に囲まれており、非常に重要な山であったことが感じ取れます。

この山には三代目の藤原秀衡が一晩で築き上げたという伝説が残っています。また、その名の由来ともなった黄金の鶏を埋めたという伝説から埋蔵金の噂も立ち、盗掘がされてしまったこともあるそうです。
(そして、山を荒らすと怨霊が出るとのウワサも・・・)

遺跡で見るサンセット

そんな金鶏山ですが、無量光院跡から見ると夕暮れの時刻に山頂と日没が重なるという仕掛けがあります。

通常、夕陽を見るには日没時間の前後30分が目安。ということで日没30分前に訪れたのですが、太陽は山の影に落ちるところ。ちょっと遅かったような感じもしますね。

さらに、夕陽の沈むポイントが金鶏山山頂から少しずれています。案内板によると4月中旬頃と8月下旬頃には、ちょうど本堂と山頂と夕陽を一直線に見ることができるそうです。

タイミング的にはまずまずでしたが、池の向こうの山に太陽が沈んでいく様子は荘厳。先程CGで見た本堂をそこに被せてイメージしてみると、幻想的な光景が広がり本当に極楽浄土が広がっているかのようです。

アクセスと駐車場情報

JR平泉駅から徒歩8分。車の場合は東北自動車道の平泉スマートICから約5分。駐車場なのかはわかりませんが、寺院跡のすぐ目の前に駐車できるスペースがありました。

24時間見学自由&夕陽スポットなので、他の名所をめぐった最後に訪問するのがおすすめです。もしくは他の寺院が開門する前の早朝に訪れるのも良いかもしれません。

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