小京都に立つ教会堂『津和野カトリック教会・乙女峠展示室』(津和野町)

島根県

情緒あふれる町中にそびえたつ洋風建築の聖堂。かつてキリシタンが強制移住させられ、弾圧された歴史を持つこの町に立つ教会はそれだけで深い意味を持ちます。小さな展示室も備えており、弾圧の歴史を資料やジオラマから学ぶことができるスポットです。

訪問日:2026/5/1(金) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

和風建築になじむ教会堂

武家屋敷や白壁の町並みが残り、小京都とも称される島根県の津和野。そんな和風の町並みの中に突然現れるのが津和野カトリック教会。洋風の建築ですが、不思議と馴染んでいるように見えます。

前回の乙女峠の記事にて書いた通り、津和野はかつて長崎・浦上にて検挙されたキリシタンたちが送られた地。乙女峠では厳しい弾圧が行われていました。

この教会は、禁教令が解かれて50年以上が経過した後、ドイツ人のシェーファー神父によって建てられたもの。昭和3年(1928年)に建てられましたが、2年後に火災によって焼失。昭和6年(1931年)に再建されました。

白い外壁と尖塔が印象的な木造平屋建てゴシック建築。壁はモルタル、屋根は鉄板葺きにて仕上げられているそう。平成8年(1996年)には国の登録有形文化財にも指定されました。

畳が敷かれた教会堂

拝観時間は8:00〜17:00。内部に入ると、色鮮やかなステンドグラスが広がる荘厳な空間。木の枠が連なる格天井は中央が折り上げられており、そこにも装飾が施されています。

お気づきでしょうか、この礼拝堂はなんと畳敷き!木の椅子が並ぶことが多い教会堂にて、珍しい和洋折衷スタイルなのです。

明後日にはキリシタン殉教者に捧げられる「乙女峠まつり」が開催されるそう。準備で忙しそうな雰囲気だったので、見学はちらっとだけに留めました。

併設された展示室

津和野カトリック教会に隣接するのが乙女峠展示室。殉教資料を集めた小さな資料館です。受付なども不要で、自由に見学することができます。

内部には、歴史をまとめたパネルや潜伏キリシタンに関する遺物など、様々なものが展示されています。

こちらは浦上キリシタンが隠し持っていたマリア像。結った髪の中に隠していたそうです。

教科書でもお馴染みの踏絵は、キリシタンでないことを証明するために踏ませていたもの。ちなみに踏絵は対象となる絵を指し、踏ませる行為は「絵踏(えふみ)」と、言葉が使い分けられることもあります。

この魚籃観音像は隠れキリシタンのマリア像。マリアに見立てられた観音像で、カゴに入ったサカナがキリストのことを表しているそう。ギリシャ語でサカナをイクトゥスというのですが、それが「イエズス、キリスト、神の、子、救い主」の頭文字で構成されているのがその理由です。

迫害の様子を物語るジオラマ

こちらは明治初年の乙女峠復元模型。移送されたキリシタンが収容された場所を再現したジオラマです。

無造作に置かれた木箱かと思いきや、これは先ほど乙女峠で見かけた三尺牢。立つこともできない小さな檻に閉じ込めるという拷問のための道具なのです。

この池もまた氷責めの池。氷の張った真冬に裸で入れられるという拷問が行われていた場所です。

このジオラマ、乙女峠にて迫害の歴史を学んだ後に来ると、よりリアルに感じることができます。厳しい拷問を受けても、それでも信仰を棄てなかった信徒たち。調べていくと様々な話が見つかりますが、印象的だったのは6歳の女の子、モリちゃんのお話。

食料ももらえず飢えに苦しむ中、役人はモリちゃんにお菓子を見せつけて「食べても良いが、キリストは嫌いだと言いなさい」と伝えます。モリちゃんは、「お菓子をもらえばパライゾ(天国)へは行けない」と答えてこれを拒否。結果、命を落としてしまいます。

現世での命よりも大切なモノとは何なのか。それを理解できるまで、私の潜伏キリシタン関連の土地をめぐる旅は続きます。

アクセスと営業情報

開館時間 8:00~17:00 ※ミサによって変動あり
料金 無料
公式サイト http://www.sun-net.jp/~otome/

※掲載の情報は2026年5月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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