ウシだらけの個性派ミュージアム『牛の博物館』(奥州市)

岩手県

古来より人と関わりの深い動物「ウシ」についての展示がぎっしりと詰まったレアなミュージアム。様々な切り口でウシという生き物の魅力をあますことなく伝えます。空腹時に訪れるのは大変キケンな博物館でもあります・・・!

訪問日:2022/10/8(土)

畑の真ん中の博物館

牛の博物館は、「前沢牛」で有名な岩手県奥州市の前沢に1995年にオープンしたミュージアム。「牛と人との共存を探り、生命・自然・人間を知る」をテーマに、牛に関する様々な資料を展示しています。

2階建ての建物はかなり立派。かつては隣でフレンチレストランも営業しておりましたが、現在は閉業してしまったようです。

北上川のすぐそばで、畑が広がる開放的なロケーション。館内2階にある展望台からは、広大な景色を望むことができます。

前沢牛とホンニョのお出迎え

入館者を出迎えてくれるのは立派なウシの剥製。このウシこそが、全国的に高い評価を得ている銘柄牛「前沢牛」

その定義は、「岩手県奥州市前沢区内に在住している生産者が、前沢区内で肥育し、かつ岩手ふるさと農業協同組合を経由し出荷した黒毛和種」とのこと。さらにそこに加えて肉質等級が4以上、歩留等級がAまたはBなどの厳しい基準があります。

こちらの稲の塊は「ホンニョ」と呼ばれるもの。畑で稲を乾燥させているもので、これが前沢牛のエサになるそう。秋に訪れると、あちこちの畑にこのホンニョがたくさん並ぶ姿を見ることができます。

あれ、ホンニョってどこかで聞いたような・・・・あ!「ねじりほんにょ」ってこれだったのですね!詳しくは15日前の『細倉マインパーク』の記事ラストにて。

迫力満点!いろいろなウシたち

前沢牛だけでなく、世界中の様々なウシも紹介されています。

恐竜みたいな迫力の野牛の化石。かつて地球上には多数の種類の野牛がいましたが、気候変動や人類の狩りによって一万年前までにほとんどが絶滅してしまいました。

岩手県一関市花泉町でみつかったハナイズミモリウシ。1万5000年ほど昔に暮らしていたウシで、バイソンの仲間だそう。

毛の長いウシは、スコットランドで飼われているハイランド種。ここでは「モコちゃん」という名前がつけられています。(余談ですが千葉県のマザー牧場でマザーファームツアーDXに参加すると、このウシに会うことができます・・・!)

こらは口之島牛。トカラ列島の口之島に野生状態で生息しています。明治以降の日本ではウシの品種改良が行われ、ほぼすべてのウシは外国品種の影響を受けています。しかし、この口之島牛と、山口県の見島牛だけはその影響を受けていない在来牛といわれています。

人とウシとの関り

生物学的な側面だけでなく、人との関わりといった文化的な側面の展示もそろっているのが、このミュージアムの面白いところ。

ウシによる水田耕作を再現した模型。機械化が進む前は、このようにウシに犂(すき)を引かせて田畑を耕していました。農機具を引かせるためには、綱の指示で動くように調教する必要があったそうです。

愛媛県宇和島市のうわじま牛鬼まつり、鹿児島県串木野市のガウンガウン祭りなど、ウシに関わる祭の展示もあります。

さらに日本だけでなく、世界の人々とウシのつながりも。インドネシアのトラジャ族による水牛の棺桶や、ウシに関わる装飾品や日用品などが展示されています。さらに「世界の人々のウシとの繋がり」を映した映像作品も流れており、世界各地で家畜として大切にされる姿、儀式、闘牛など、人々の暮らしに溶け込んだウシの姿を見ることができます。

突然のマエサワクジラ

前沢で発見された「マエサワクジラ」の骨格(下)。かつてこの地域は海であったため、内陸部においても海洋生物の化石が発掘されることがあるそう。仙台湾が深く入り込んでおり、浅い入江であったと考えられています。上に吊るされている「ミズホクジラ」も岩手県の旧生母村で発見されたものです。

牛の博物館なのに、なぜクジラが展示されているのでしょうか・・・?

実は、クジラとウシは生物学的に近い種。同じ「鯨偶蹄目(クジラウシ目)」というグループに分類されているのです。

なお、クジラ以外にもかつてこの地に暮らしていた「アケボノゾウ」、翼長5m以上であったと考えられる「骨質歯鳥」など、様々な化石が展示されています。

怒涛の飯テロ攻撃

牛肉の格付けについての展示もあります。肉の色や脂肪の色、脂肪の交雑、肉の締まりと決めといぅた項目で評価されるそう。ずらりと並ぶ霜降り牛肉、これは堪りませんね。

さらに牛の部位の解説も。サーロイン、リブロース、シマチョウなど、料理ではよく見かける部位の紹介、そして、その部位に適した料理の写真まで添えてあります。

これは胃袋を刺激してきます!!

さらに飯テロ攻撃は止まりません。前沢牛のにぎり、串焼き、すき焼き、しゃぶしゃぶなどの食品サンプル。それに加えて、前沢牛メニューが楽しめる周辺のレストラン情報も掲載されています。

うっかりご飯前に行くと、その後の食事は前沢牛不可避となってしまいますのでご注意ください!

アクセスと営業情報

最寄り駅はJR東北本線の前沢駅ですが、3kmほど離れています。直通の路線バスは無いため、タクシーを利用するか、バス停《七日町》からバスに乗り、バス停《白鳥》で下車後15分ほど歩くという方法もあるようです。(Google Map参照)

車の場合は東北自動車道の平泉前沢ICから約5分。

開館時間 9:30~17:00
休館日 月曜、年末年始
料金 400円
公式サイト https://www.city.oshu.iwate.jp/htm/ushi/

※掲載の情報は2022年10月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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