世界遺産の鉱山遺跡!3つの高炉跡をめぐる『橋野鉄鉱山』(釜石市)

岩手県

世界遺産にも登録されている橋野鉄鉱山は、近代製鉄の発展をもたらした非常に重要な施設。明治以降は廃止となっていましたが、発掘調査が行われ一部が復元。現在では高炉の跡を自由に見学することができます。

訪問日:2022/10/8(土)

世界遺産の高炉跡

ときは幕末、開国を迫る欧米の外国船が多数訪れるようになり、海上防衛の必要性が高まっていました。欧米の技術に対抗するには、精度が高く飛距離のある大砲を製造し軍備を増強することが不可欠。そのため、伊豆や萩など全国各地に大砲鋳造施設である「反射炉」が建設されました。

水戸藩の那珂湊反射炉に送る鉄を製造するために、ここ橋野町には高炉が建造されます。牽引したのは鉱山学者であり、近代製鉄の父と称される大島高任(おおしま たかとう)。彼の指導によって安政5年(1858年)に仮高炉が完成。安政7年(1860年)には一番高炉、二番高炉が建造され、さらに仮高炉を改修した三番高炉も完成します。

これらの高炉は明治時代に廃止となりましたが、製鉄産業の近代化を象徴する史跡として国の史跡に指定。さらに「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」の構成資産として世界遺産にも登録されました。

まずはインフォメーションセンター

橋野鉄鉱山の入口にはインフォメーションセンターがあり、橋野鉄鉱山の内容をわかりやすくパネルで解説しています。

シアターでは、4種類の映像作品を上映。最初にこれを見ておくと、この鉱山がどういった場所であったのかが頭にすんなりと入ってきます。「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」の他の構成資産についても紹介されているため、他の世界遺産もめぐりたくなってきます。

このあと見に行く高炉場跡の再現模型も展示されています。立体で見ると、どういう仕組みで鉄を生産してたのかがとってもわかりやすいです。

スタッフのおじさんたちも優しく教えてくれるので、いろいろ質問してみると理解が深まりそう。なお、利用時間は9:30~16:30と決まっており、また12/9~3/19の冬期は休館しています。早朝や夕方、冬場に訪れる予定の方はご注意くださいね。

お手軽な最短コース

見学ルートは、インフォメーションセンターから3つの高炉を巡って1時間ほど。きっとそれほど時間が無い方や、あまり歩きたくない方もいるのではと思います。ということで、この記事を読んでくださった方のために、特別に凝縮最短コースをお伝えします。

インフォメーションセンターの駐車場から300mほど先に駐車スペースがあるので、ここまで車で進みます。

ここから歩いて一番高炉、二番高炉、三番高炉とめぐり、三番高炉を見たあとは先へ進まずに来た道を戻って駐車場へ帰って来るのが見どころ凝縮最短コース。このコースならば、ゆっくり見ても20分程度で見て回ることができます。

と、得意げに書いてしまいましたが、こちらはインフォメーションセンターのおじさんが教えてくれたコース。16:00頃の遅めの訪問であり、なおかつ少し雨も降っていたため、このようなショートコースを提案してくれたのかもしれません。

橋野高炉場跡をめぐる

まずは一番奥にある一番高炉へ。成形された花崗岩が4段積まれた高炉で、安政7年(1860年)頃に完成されたといわれています。

明治元年(1868年)には銭座が併設され、銭の鋳造を行います。翌年、明治政府は鋳銭を禁止しますが、それ以降も一番高炉では明治4年(1871年)頃まで鋳銭を続けたため検挙、廃炉の道を進むことになってしまいました。

続いて見えてくるのは二番高炉。一番高炉と同時期に建設されたものです。手前に見える跳び箱のジャンプ台のような石は、高炉に空気を吹き込むためのフイゴ座の後です。

この二番高炉も一番高炉と同じく、銭の製造を続けていたため廃炉になったと言われています。

こちらは三番高炉。発掘調査が行われている最中であったため、カラーコーンやブルーシートで囲まれています。

一番高炉と二番高炉が廃炉となったあとは、この三番高炉のみで生産を続けることとなります。明治27年(1894年)に釜石鉱山田中製鉄所に吸収され、栗橋分工場の操業開始とともにこの三番高炉も廃止。36年の歴史に幕を閉じることとなります。

高炉場跡以外にも、「種砕水車場跡」や「種臼場跡」、最盛期には1,000人もいたとされる従業員を管理していた「御日払所跡」など、周辺には多数の史跡が残されています。

天気の良い日中に訪れたならば、じっくりと見学して当時の面影を感じ取ることができることでしょう。

アクセス情報

車の場合はJR釜石駅から約50分、JR遠野駅から約35分。所在地は釜石市ですが、遠野の中心地の方が近いため、遠野観光と合わせての訪問がおすすめです。

コメント

  1. […] 世界遺産の鉱山遺跡!3つの高炉跡をめぐる『橋野鉄鉱山』(釜石市)世界… […]

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。
タイトルとURLをコピーしました