「石州瓦」による外観がとにかく目をひく芸術文化施設。内部にある石見美術館は、森鴎外ゆかりの画家の作品をはじめ、モダンな作品も多数収蔵。常に複数の展覧会を開催しているので、様々なタイプの作品を鑑賞することができます。
伝統とモダンが交差するデザイン
島根県の西部に位置する益田市。石見空港があるため東京・大阪からは意外とアクセスしやすい街です。
そんな街に2005年にオープンしたのがグラントワ。正式名称は「島根県芸術文化センター」という芸術文化施設。「島根県立石見美術館」と「島根県立いわみ芸術劇場」で構成されています。

名前の由来は、広い屋根と言う意味のフランス語 “Grand Toit”。建物の屋根は島根県が誇る赤い瓦「石州瓦」が張り巡らされています。
瓦という伝統的な材料がメインであるのに、モダンな雰囲気を感じる姿。通常の伝統的な建築と異なるのは、屋根だけでなく壁面にも使用されているということ。壁にこの素材を使うのは初の試みであったそう。伝統を生かしつつもモダンなデザインは、芸術施設としては完璧過ぎるデザインです。

設計を担当したのは内藤廣(ないとう ひろし)。三重県鳥羽市の「海の博物館」、「富山県美術館」、「高知駅」、「銀座線渋谷駅」など、数多くの美術館・博物館・駅舎などを手掛ける建築家です。
複数の展覧会を開催
館内は床がツヤツヤ!石州瓦と呼応するかのようなトーンに仕上げられています。

今回の目的は「石見美術館」。訪問時はこちらの3つの展覧会を開催中でした。
森鷗外ゆかりの洋画家 小堀四郎
2026年04月25日(土) 2026年06月15日(月)
印刷物をとおしてみる1920年代フランスと日本のファッション
2026年04月29日(水) 2026年06月08日(月)
森鷗外ゆかりの画家たち
2026年04月29日(水) 2026年07月05日(日)
入館者を出迎えるのは草間彌生《南瓜》。彼女の代名詞とも呼べる黄色いカボチャです。

小堀四郎の描く幻想風景
まずは「企画展 森鷗外ゆかりの洋画家 小堀四郎」から。小堀四郎(1902年-98年)は、名古屋市生まれの洋画家。作庭家として知られる小堀遠州の子孫にあたる人物です。

小堀四郎の油彩画約120点のほか、森鴎外の娘であり、小堀四郎の妻である小堀杏奴(あんぬ)の油彩画や、藤島武二、長原孝太郎といった、彼の師である人物の作品も展示されていました。
第1展示室は撮影不可でしたが、第2展示室は撮影可能。スケールが大きく、鮮やかな色彩の作品が多数並んでいます。

目を引くのはシリーズ作品のひとつ《生命の神秘(二)》。手前が大地、奥に海、そして山の向こうには白い明かりと、奥行きのある風景に、スピード感のある雨が大胆に描かれています。地球の気候が不安定な生命誕生の時期かと思いきや、中央に描かれた小さな1羽の鳥の姿が、そんな妄想をかき消しました。

1920年代のファッション
続けてコレクション展『印刷物をとおしてみる1920年代フランスと日本のファッション』へ。1920年代のパリ、女性の衣服はコルセットで体を締め上げるドレスから動きやすい機能的な服装へと変化します。そんな当時のパリと日本のファッションを、印刷物を通して楽しむことができる展覧会です。

芸術家でありイラストレーターでもあるシャルル・マルタン《そして、ここに私の心を⋯》&《荒天》。デフォルメされたイラストは、時代を考慮すると相当モダンな表現であったはず。

私が気になったのは前衛的な芸術運動「未来派」の作家であるエルネスト・タヤート《仮縫いの間に》&《煙》。デザイン性の高さ、洗練された色使い、そして人物を模様のように含めた構図が今見ても新鮮に映ります。

森鷗外ゆかりの画家
最後は『コレクション展 森鷗外ゆかりの画家たち』。石見美術館の収集方針のひとつが、石見地方津和野出身の「森鴎外」にゆかりのある美術家の作品。そんな作品の一部を公開した展覧会です。

この展覧会のメインビジュアルにもなっているのが黒田清輝《ポプラの黄葉》。森鴎外とともに働いた仲である黒田清輝の描く風景画。特別な景色ではないポプラ並木ですが、淡いイエローとグリーンの色合いが幻想的な雰囲気に仕上がっています。

この風景は、先ほど訪ねた衣毘須神社では!と思いきや、こちらは大下藤次郎《小豆島》。小豆島ということは、おそらく「エンジェルロード」でしょうかね。大下藤次郎は、森鴎外の友人である原田直次郎の弟子であり、小説のモデルにもなっているそうです。

展示室ひとつひとつはそれほど広くないので、ゆっくり見ても1時間半くらい。さっと見るだけなら1時間あれば充分なくらいの規模間。GWでしたが混雑もほとんどなく、ゆったりと美術鑑賞ができる空間でした。
さて、そろそろ夕暮れの時間!夕陽スポットである「石見畳ヶ浦」へと向かいます!
アクセスと営業情報
| 開館時間 | 9:00~22:00 ※美術館は9:30~18:00 |
|---|---|
| 休館日 | 毎週火曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始 |
| 料金 | 企画展 1,500円/コレクション展 400円 |
| 公式サイト | https://www.grandtoit.jp/ |
※掲載の情報は2026年5月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。


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