国宝指定の決定打となった祈祷札と釘穴『松江城』(松江市)

島根県

江戸時代初期に築造された歴史のあるお城。歴史ある建築はもちろん、展示物もわかりやすく面白い、見ごたえのあるお城です。現在は国宝に指定されていますが、その決定打となったのが、小さな釘穴であったそう。いったいどういうことでしょうか?

訪問日:2026/4/30(木) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

国宝に指定された天守閣

突然ですが「現存十二天守」という言葉をご存じでしょうか。江戸時代以前から天守閣のことであり、全国にわずか12城しかありません。

今回ご紹介する松江城は、そんな現存十二天守のひとつ。さらに国宝にも指定されているスペシャルなお城なのです。近世城郭を代表する天守であり、複合式望楼型。4重5階、地下1階という立派な姿で佇んでいます。

築城したのは戦国武将の堀尾吉晴で、完成は慶長16年(1611年)。その後、寛永11年(1634年)に京極忠高が入城し改修、京極家が廃絶となると松平家が藩主となり、城下町が発展していきました。

明治政府により廃城令が公布されると廃城の危機に陥りますが、旧松江藩士の高城権八と出雲郡の豪農である勝部本右衛門親子らにより買い戻され、処分を免れました。その後、何度か改修工事をはさみつつ、戦災も天災も免れて現在までその姿を残しています。

有事の際の蓄えがある地階

城内は靴を脱いで入ります。ビニール袋に入れて持ち歩くスタイル。まずは薄暗い照明がリアリティある地階から。

ここは有事に備えて塩が蓄えられた塩蔵。昭和の解体の際に、生産地毎に塩俵に括り付けられた「塩札」が発見されたそうです。

井戸もあります。直径1.5mほど、深さはかなりあり、ぱっと見7mくらい。こちらも有事の際の籠城への備えでしょう。

こちらは旧鯱。昭和の解体修理で外された鯱。高さ210cm、現存天守では最大級であったそうです。

この地階には祈祷札もかかっていますが、これについては後程。

急階段を上っていく城内

ハシゴのような階段で1階へと進みます。現代の建築では考えられない急な階段は、現存天守ならでは。

この登ってきた階段、水平に引き戸があり塞ぐことができます。これも敵が城内へ侵入した際の防御を想定しての設備です。

多数の柱が並ぶ空間。柱はよく見ると鎹(かすがい)が打ちつけられています。これは、板で柱を囲った「包板(つつみいた)」と呼ばれるもの。見た目の体裁を整えつつ、補強効果があったそうです。

開放的な天守最上階

急な階段を上り続けて、ついに天守最上階に到着!ガラスがなく、開かれた窓から吹きぬける風が気持ち良い。

宍道湖や島根県立美術館を見渡すことができます。夕陽がキレイに見えそうですが、基本的に日没より前に閉まってしまうため難しそう。日没時間が17:00前後となる12月ならば、ぎりぎり夕焼けが見れるかも。

宍道湖に浮かぶ「嫁ヶ島(よめがしま)」もばっちり見えます。立ち並ぶクロマツはが良い景観を作り上げてますね。

大発見の祈祷札

さてさて、最後にこちら「祈祷札」をご紹介!これ、実は国宝指定の際に重要な証明を果たした品なのです。

松江城を国宝化する際に、重要だったのが築城時期の証明。様々な史料を探したところ、松江神社にて「慶長拾六年正月吉祥日」の文字が記されたこの祈祷札が見つかります。松江城天守が完成した年に祈祷に使われたと考えられますが、この札が天守の祈祷札であるという証明ができず決定的な証拠にはなれませんでした。

しかし、後に地階の井戸脇の柱に見つかった小さな穴が、祈禱札の釘穴と一致。そのため、この札が天守の完成時期を示す決定的な史料となり、国宝への道が開けたのです。

小さな釘穴が国宝後押しするなんて、ロマンを感じるストーリー。祈祷札と釘穴が一致した瞬間、立ち会った人はどんな気持ちだったのでしょうかね。想像しただけで胸がアツくなりました!

アクセスと営業情報

営業時間 4月1日〜9月30日:8:30~18:00
10月1日〜3月31日:8:30~17:00
定休日 年中無休
料金 800円
公式サイト https://www.matsue-castle.jp/

※掲載の情報は2026年4月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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