エレベーターで降り立つ瀬戸大橋の島『岩黒島』(坂出市/塩飽諸島)

塩飽諸島

瀬戸大橋が架かる塩飽(しわく)諸島の島。車で通り抜けることはできますが、島民以外の車は島に降りることは不可。唯一の交通手段は、なんとエレベーター!

2020/9/20(日) ※掲載内容は当時のものです。

特殊な上陸方法

香川県坂出市に属する瀬戸内海の島々・塩飽(しわく)諸島。そのうちいくつかの島は、岡山県と香川県を結ぶ瀬戸大橋の土台となっています。今回訪問した岩黒島(いわくろじま)も、そんな架橋離島の1つ。

橋が架かっているのでマイカーで気軽にアクセスできる島、かと思いきや、瀬戸大橋上の岩黒島ランプウェイは専用のカードを持った島民のみが利用可能。一般の車は島に降りることができないのです。

島民以外の人が岩黒島へ降り立つには、高速道路上にあるバス停《岩黒島》で下車し、そこからエレベーターを使って島に降りることになります。

青ヶ島のようにヘリコプターで行く島や、与那国島のように小型機で行く島など、アクセス方法が船以外という島はいくつかありますが、エレベーターでしか交通手段が無い島というのはここだけではないでしょうか。

岩黒島へのアクセス

岩黒島へ向かうバスは、岡山県側の児島駅、もしくは同じく瀬戸大橋が架かる島である与島PAから乗ることができます。

今回は与島PAに車を停めて向かいます。乗車時間は約3分、料金は170円とお手軽です。与島PAの片隅にあるバス停は、パーキングの建物からは少し離れているので時間にはご注意ください。

ここで気をつけないといけないのはバスの本数。1日7本しか無いため、事前に確認して旅程を立てることが重要になってきます。

【与島PA発の時刻表】(※2020年9月)
7:19/8:34/9:59/13:09/15:44/17:29/18:35(平日のみ)

更に、もう1つ気をつけないといけないのは帰りの便。こちらも同じく本数がとても少ないです。そして、帰りの便との組み合わせで島の滞在時間が決まってきます。

例えば与島PA9:59発のバスで岩黒島に向かう場合、帰りは一番早くても岩黒島12:46発。3時間近い滞在時間になります。

【岩黒島発の時刻表】(※2020年9月)
7:01/8:16/9:41/12:46/15:21 /17:11/※19:01(平日のみ)

この、時刻表に合わせて旅程を決める感じは、船で行く離島と全く同じ感覚です。今回はサクッとコースなので、朝イチの与島PA7:19発に乗り、岩黒島8:16発の便で帰るという滞在時間1時間弱の旅程にしました。

現地で見かけた貼り紙によると、2020年10月以降は1日3便に減便、そして2021年3月31日で路線そのものが廃止とのこと

<追記 2021.6.12>
下電バス(下津井電鉄)は廃止となりましたが、琴参バスにて引き継ぎ運行がされているようです!詳しくは、琴参バスの「瀬戸大橋線」をご確認ください。

バスに乗って岩黒島へ

岩黒島のバス停に到着。瀬戸大橋の高速道路・瀬戸中央自動車道にあります。待合室があるだけで、自販機などの設備はありません。目の前の高速道路を自動車がびゅんびゅんと駆け抜けていきます。

そこから階段で橋の下へ。瀬戸大橋は歩道が無いため歩くことができない橋。そこを歩いているという非日常感でどきどきしてきました。

橋の内部に作られた通路を抜けます。無骨なコンクリート作りの通路は、まるで秘密基地みたい。

そこを抜けると、道路を挟んだ反対側へとたどりつきます。与島PAへ向かう帰りのバス停を横目に、島へと降りるエレベーターの入口へ向かいます。

エレベーターホールには観光マップが貼ってあるので、地図を持ってない方は要チェックです!

巨大ループ橋とエレベーター

朝日が眩しい中、ゆっくりとエレベーターは降りて行く。ついに岩黒島へ上陸成功です!

降り口から見上げるエレベーター。天高くそびえる無機質なコンクリートの塔は、のどかな離島において違和感たっぷり。

少し離れると、エレベーターに加えて、島と橋を結ぶループ橋の全貌も見えてきます。この突然の巨体構造物は、山の中にいきなり現れる巨大ダムや、街中に突如顔を出す巨大仏と近いものを感じます。

静かな島内を散策

岩黒島はとても静かな島。人の声はほとんど聞こえず、耳に入るのは鳥と虫の声。ここまではいかにも離島らしい音風景ですが、1つ異なっているのは瀬戸大橋を走る車や電車の音が鳴り響いているところ。視界に入らなくても瀬戸中央自動車道の存在感は大きいです。

港に伸びる大波止では、釣り人が数人励んでいました。ここからは海に浮かぶようにのびる瀬戸大橋(岩黒島橋)がよく見えます。

集落内は、ぎりぎり車が1台通れるかどうかの細い道が続きます。やっぱり目に入るループ橋。

点在する多数の神社

島内を歩いていてまず目に入ったのが、京都より勧請されたという愛宕神社。火伏せの神であり、島を火災から守っています。毎年4月10日の祭日にはワカメの酢の物が供えられるそう。

続いて猿田彦を祭る大天狗神社。猿田彦は高天原から降り立った神様を導いた道案内の神様で、航海安全のご利益があります。天狗の神像を安置しており、島の人からは「大天」さんと呼ばれているそうです。6月12日の祭日にはソラマメと馬鈴薯が供えられます。

赤い陶製の狛犬がレア。失った者や人があれば、狛犬の足に紐を結んでお祈りするとご利益があるそう。よく見ると、実際にヒモが結ばれており、信仰が続いていることを実感します。

港には蛭子(えびす)と金毘羅を祭る恵比寿神社。1月10日の祭日には大根の酢の物が供えられ、大漁を祈願するそう。

屋根の上の狛犬はぴかぴかで、シルバーに輝きます。お社の近くには、白いサンゴがたくさん並べられていました。

初田神社は、岩黒島の守護神である埴安(はにやす)を祭る神社。合わせて、無人島であった岩黒島の開発に尽力した人物・初田助十郎も祀ります。

岩黒島の神社で最も大きく、ずっしりとした瓦屋根が印象的。ここにも大天狗神社同様に陶製の狛犬が並びます。

クマゼミとの関係

瀬戸大橋へ続くループ橋の土台部分、よく見ると木々に隠れてセミが描かれているのがわかりますでしょうか。

こちらはクマゼミという種類のセミ。昭和45年、岩黒島中学校の生徒が3年かけて作り上げた「クマゼミの研究」が日本学生化学賞の中学生部門1位に輝きます。研究の中には、当時まだ知られていなかったクマゼミの生態もまとめられており、高い評価を得ました。このクマゼミレリーフは、それを記念に彫り込まれたもの。

岩黒小中学校にも翅を広げたクマゼミが描かれています。こちらは2019年に描かれたばかりなので、まだ観光マップなどには載っていません。

のんびり暮らす島ネコ

「猫島」と呼ぶほど多いわけではありませんが、岩黒島にもネコがたくさん暮らしています。人懐っこいネコも多く、ニャーニャーとすり寄ってきてくれます。

こんなにフレンドリーだとは予想外・・・!ネコふれあいタイムは島の滞在時間の計算に入れてなかったのでピンチです。

定期的に首を出してこちらを覗いてくるネコ。まだ仔猫みたいです。

堂々たる姿が貫禄のある白猫。全てを悟っているかのような柔和な表情は、まるで神様であるかのような威厳を感じます。


散策を終えて、8:16のバスで与島PAへ。滞在時間は54分。サクッと一周するにはちょうど良い時間ですが、じっくり見たりネコと遊ぶには全然足りませんでした。

コメント

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