海辺に建つ巨大な木造建築、その正体はかつて隆盛を究めたニシン漁の拠点であったニシン番屋。ここでは200人以上もの漁夫が寝泊まりしていました。大きな空間には、かつての寝床や台所がそのまま残されており、当時の生活を感じることができます。
現存最大規模の貴重な番屋
羽幌へ向かう途中、北海道北西部の「日本海オロロンライン」を走っているときに目に入ったのは、大きな木造建築。あまり建築物のないエリアにおいて、圧倒的な存在感を放つその姿が忘れられず、もともと訪問予定はなかったのですが、羽幌からの帰り道に立ち寄ってみることにしました。
謎の建築物の正体は旧花田家番屋。「道の駅おびら鰊番屋」に隣接して建っています。入館料は400円。靴を脱いでスリッパに履き替えて見学します。

ここは明治時代に花田家が建てたニシン番屋。明治38年頃に建築されたもので、道内で現存する番屋では最大の規模を誇ります。建造物では最北端の国指定重要文化財で、平成13年には北海道遺産にも認定されています。昭和46年重要文化財の指定とともに小平町が買収し、3年の歳月と約1億9千万円の費用を投じて解体修復したそうです。
入ってびっくり!外から見た以上に広々とした空間となっています。ここでは、ヤン衆と呼ばれる漁夫が200人以上も寝泊まりしていました。

※「ヤン衆」は当時は侮蔑用語であり、当時は「若い衆(わげしゅ)」と呼ばれていたそうです。
ヤン衆たちが暮らしていた寝床
建物の壁側にて回廊のように広がるのは漁夫の寝床。普段は船上で寝ているため、ここで眠れるのは海が荒れた時のみ。ちなみにこのスペースは親方の部屋から遠いため、漁夫に好まれたそう。

現在は寝具の代わりに、漁に使用された網が置かれています。網はそれぞれ役割が異なり、目の粗さや材質が異なっています。
寝床の上の2階部分も寝床。こちらは親方の部屋から見えるところにあるため嫌がられていたそうです。

たしかに、ここはオープン過ぎますね!さっきの寝床の方が安心して眠れそうです。

ニシン漁に使用された道具
こちらの大きな釜は鰊釜。一度に2,000尾ものニシンを煮ることができます。漁期のはじまる前には、ヤン衆が入浴に使ったなんて裏話も。

続けてこちらの角胴。煮たニシンを入れて圧力をかけて絞り、「魚粕」と「魚油」に分離するための道具です。魚粕は天日干しして肥料に、魚油は潤滑油や灯具油として利用されました。

商品作物の生産が発展し、農家はより良い肥料を購入するようになるとニシン粕は安価で良い肥料として好まれていたそう。
てっきりニシンは食用だと思っていたのですが、むしろ食用以外の目的の方が強かったのですね!
こちらはモッコ。ニシンを積んだ船が帰ってくると、船に歩み板が渡され、これにニシンを入れて陸上へと運びます。船に乗らない女性・子供・老人を中心に行われた作業ですが、その重さは20~30kgと重労働でした。なお、賃金はニシンで支払われたそうです。

広大な居間と台所
寝床の中心にあるのは広い居間。漁夫が休憩したり、食事した場所で、多数の囲炉裏が並んでおります。

囲炉裏の中に仏像が安置されています。こちらは囲炉裏の中で見つかった出土仏像。復元のために番屋を解体作業している際に出土したもので、年代も作者も不明。漁場では清浄なところとされている囲炉裏に隠したのか、何か信仰があったのか、謎に包まれています。

居間のそばには台所。大きな釜や鍋が並んでおり、近隣からの日雇い夫人が調理していました。

ここで暮らすヤン衆は、いったいどんなものを食べていたのでしょうか?記載されていたメニューは、ニシンと野菜を煮込み塩で味付けした「三平汁」。ニシンの汁ものってあんまり馴染みがないので食べてみたいな!
豪華な仕上がりの親方部屋
金唐革紙の襖や特徴的なコブ材が使用された床の間を備えたお部屋。他とは異なる仕上がりのここは金庫の間。そして、親方の寝室であったそう。ヤン衆の雑魚寝スタイルな寝床とは大違いのスイートルームです。

となりの仏間には、大漁と安全を祈願した神殿と、花田家の先祖をまつる仏壇があります。

こちらの茶の間は、親方家族の団らんの間。襖の向こうは、先ほどの大きな居間。2階の寝床にて、「親方の部屋から見えるところにあるため嫌がられていた」と書きましたが、確かにここからは寝床がよく見えます。

離れの棚を支えるかのように置かれているのは小さな邪鬼!魔除けとも、親方の洒落心ともいわれています。小さな姿で大きな棚を支える姿が、健気でかわいらしいです!

そんなわけでニシン漁とヤン衆たちの暮らしを体感することができる施設でした!
ニシンに関連する展示をずっと見ていたせいで、ニシンが食べたくなっております。どこかで食べられないのかと思っていると、お隣の道の駅のレストランに「ニシン丼」や「ニシンそば」といったニシンメニューが!しかしもうラストオーダーが終了しており断念。
ニシンが食べたくなってしまう可能性があるので、道の駅レストランが終了する前の訪問がおすすめです!
アクセスと営業情報
| 開館時間 | 5月~10月:9:00~17:00 11月~4月:10:30~16:00 |
|---|---|
| 休館日 | 月曜、年末年始 |
| 料金 | 400円 |
| 公式サイト | https://www.town.obira.hokkaido.jp/kanko/detail_sp/00002502.html |



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