2023年にオープンした都市型水族館。キレイな仕上がりですが、写真映えメインではなく生き物の魅力を感じられる展示が広がっています。言葉は少なくオリジナリティあふれる展示は、まさに「試される水族館」。私はだいぶ意表を突かれました!
すすきのの中心にある水族館
札幌市内に2023年7月20日にグランドオープンした水族館、AOAO SAPPORO。すすきのの交差点から徒歩3分ほどのところにある、超都市型水族館です。「moyuk SAPPORO」という、アイヌ語の「タヌキ」の名を冠した商業施設の4階に位置しています。

エスカレーターを上った先は、受付&ミュージアムマルシェ。水族館というより、おしゃれな雑貨屋さんみたいな雰囲気です!

営業時間が10:00〜22:00と非常に長いのが魅力的。夕食後や夜の札幌散策にて立ち寄ることができます。昼と夜では照明が変わり、雰囲気もチェンジするそうです。
神秘的なラボラトリー
受付を進むと、最初に目に入るのは「水の循環のラボ」。魚類用1基、ペンギン用1基、計2基の人工海水を製造するプラントが並んでいます。側には袋に詰まった食塩も。

その後には、塩投入口とコントロール盤。その奥には海水溶解タンクが並びます。BGMはミニマルでイージーリスニングな音楽。何かに似ているこの神秘的な雰囲気・・・・。あ!大阪・関西万博パビリオンの日本館だ!!
通常ならば「つかみ」となる人気の生き物を展示することが多い最初の展示。海水を作るところから見せるというのが新鮮すぎます!!
続けて「水の生物のラボ」。展示生物の健康管理などを行う予備水槽や、生物の食事を用意する様子などが見えるエリア。ナンヨウハギからアホロートルまで、ガラス越しにたくさんの生き物を見ることができます。

日本の水族館ヒストリー
壁に記されているのはRoad to 2023 AOAO SAPPOROと題された年表。なんと1853年のロンドンにできた世界初の水族館「フィッシュハウス」からつながる、水族館の歴史を紹介しています。

ありそうでほとんどなかった水族館史を紹介する展示、水族館好きとしては面白すぎます!
日本初の水族館である上野恩賜公園動物園「うをのぞき(観魚室)」(東京・1882年)、日本初の民営水族館「(浅草)水族館」(東京・1885年)、明確なコンセプト・設計を伴った最初の水族館「和田岬水族館」(兵庫・1897年)など、もはや伝説上の水族館の名前が次々と登場します。現存最古はご存じ「魚津水族館」(富山・1913年)です。
戦後の水族館ブームを経て、イルカショーの広がり、ペンギンブーム、シャチやジンベエザメの飼育開始などセンセーショナルなニュースが続いていきます。
北海道初の水族館は1908年に水産共進会に設置されたもの。本格的な水族館は1931年の「厚岸水族館」からスタート。多数の施設が建設され、AOAO SAPPOROにつながっていきます。
水族館の歴史の後に出てくるのは大きな水族館と小さな水族館。郊外の大きな「おたる水族館」と、都市型でコンパクトな「AOAO」を比較したユニークな展示。飼育数や規模だけでなく、人気のメニューやお土産の比較もあってとっても面白いです!(実はこのAOAO、おたる水族館が開業支援したそうです)

ネイチャーアクアリウム
館内で目を引くのはグリーンの水草が美しい淡水魚水槽。《光と睡蓮の庭》と題された水槽、この水草の鮮やかさは、もしかしてADAでは!?

こちらは予想通りADA(Aqua Design Amano)が手掛けたネイチャーアクアリウム。水槽に水草やコケ、流木を配置し、自然の美しさを再現した世界が広がっています。
常設展示はここ以外だと東京都の「すみだ水族館」とポルトガルの「リスボン水族館」くらい。あとは新潟の「ネイチャーアクアリウムギャラリー(限定公開)」など、自社の展示スペースで見ることができます。
まるで苔むした日本庭園のような水槽《風薫る石景》。そこに泳ぐのは鮮やかなカージナルテトラ。色のコントラストがあざやか。

《悠久の森》は倒木を中心に置いた、水で満ちていない水槽。コケやシダが茂る中を霧がめぐる、神秘的な森の姿。サカナはもちろん、カエルや昆虫の姿も見えない、静寂に満ちた水槽です。

不思議な生き物がたくさん
展示室に大水槽はなく、小型の生き物を飼育した小さな水槽が並んでいます。

ユニークなのは、種類や生息域ではなく『モサモサ』『いろいろ』『ぺったんこ』『にょろ』『しましま』『むかしむかし』などオノマトペを含む親しみやすいコトバでカテゴライズしているというところ。
『モサモサ』で見ることができるクモヒトデ。細かい毛のはえたモサモサな腕があちこちから伸びています。いったい何匹いるのでしょうか。

こちらは見た目そのまんまなウミキノコ。キノコでもイソギンチャクでもなく、実はサンゴのなかま。骨格を持たないソフトコーラルと呼ばれるタイプのサンゴです。

『モサモサ』にて見つけたのはこちらのモフモフしたかたまり。白と茶色の猫みたいなカラーリングの生き物、オニヒメブンブクというウニのなかまです。

『ぺったんこ』のチャカ・バンカネンシス。口が横にひろいナマズのなかまです。こんなメガネケースありませんでした?

頭を下にむけておよぐ不思議なサカナ、ヘコアユ。小さなサカナですが、こんなにたくさんいると壮観です。優雅に漂っているように見えますが、よく見ると胸ビレをめっちゃパタパタと忙しく動かしています。

人気者のペンギンたち
マニアックな生き物が多いですが、みんなが大好きなペンギンもいます。多数飼育されているのはキタイワトビペンギン。

ブルーや薄紫のライトと、六角形が組み合わさる床がちょっぴりサイバーな雰囲気を感じさせます。この六角形の床は、なんと移動可能。陸地の形状を変化できるペンギン水槽は世界初であるそう。
プールに壁はないため、運が良いと間近で見ることもできます。

別の部屋にはフェアリーペンギンもいます。成鳥でも高さ40cm程度しかない、世界一ちいさなペンギン。ここではヒナが成長中でした!

このペンギンプールのそばでは「シロクマベーカリー&」が営業中。パンとお酒が楽しめる「パンバル」です。AOAOは全フロア飲食OKなので、ドリンク片手にゆったりと楽しんだりもできます。

今回は紹介を見送りましたが、他にも円形シアターや、カイギュウの骨格標本、シーラカンスの複製など、様々な見所がある水族館でした。
行ってみた感想
そんなわけでサカナの群れが泳ぐ大水槽やイルカやアシカといった海獣のショーを見せるような水族館ではありません。このあたりは都市型水族館あるあるなので想定内ですが、サカナ以外の哺乳類や爬虫類を多数展示しているわけでもなく、カラフルで鮮やかなライトアップで写真映えを狙っているわけでもありません。かといって読み物が多く生き物について学べるというわけでもない。そんな、他の都市型水族館で見かける手法を踏襲していません。
しかし!他にはない展示がたくさん。ネイチャーアクアリウムやオリジナリティあふれるカテゴライズ、そして全体的に漂う非常に洗練された雰囲気。夜に訪ねたためか静かで落ち着いた空気感も魅力でした。
他に似ている水族館が思い当たらない、独自の存在感。物足りないと感じる人は多いかもしれませんが、たくさんの水族館をめぐってある程度パターンを想像してしまう私のような人間にとっては、良い意味で意表を突かれた施設でした!受け手側の楽しみスキルを問われるような施設は、まさに「試される水族館」です。
ちなみに館内にはまさかのコワーキングスペースまであります!これはまさに都市型水族館ならではの設備。生き物好きなPCワーカーならば、年パス待ったなしです!!

アクセスと営業情報
・札幌市営地下鉄南北線、東西線、東豊線「大通」駅 徒歩約3分
・札幌市電「狸小路」停留場 徒歩1分
| 開館時間 | 10:00~22:00 (※最終入館21:00) |
|---|---|
| 休館日 | なし ※臨時休館あり |
| 料金 | 2,200円 |
| 公式サイト | https://aoao-sapporo.blue/ |
※掲載の情報は2026年7月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。



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