ただの畑じゃない!まるで要塞のような石垣が積み上げられた『遊子水荷浦の段畑』(宇和島市)

愛媛県

宇和島市の観光名所として近年話題になっている「遊子水荷浦の段畑(ゆすみずがうらのだんばた)」。シーサイドの斜面に作られた階段状の畑で、非常に規模が大きいため見応え抜群!市街地からは少々離れていますが、わざわざ見に行く価値のある光景です。

訪問日:2021/12/11(土)

迫力満点の段畑

遊子水荷浦の段畑は愛媛県の宇和島市にあります。市街地からはかなり離れており、宇和島の中心部からも車で45分ほど。今回は早朝6:30に松山を出発して約2時間かけてやってきました!

見学者駐車場のすぐ目の前には段畑の姿が。壁のように迫りくる姿はとにかく圧巻!まるでロックフィルダムを下流から見ているかのようです。

この段畑は、自由に歩いて見学することができます。民家の間にある細い通路が登り口。なんだか秘密基地みたいでちょっとどきどきします。

段畑を歩いてみよう!

一段上ると、周回する通路へとつながります。しっかり舗装されているためとっても歩きやすい道です。各石段の幅はだいたい1~2mほどで、栽培されているのはジャガイモがメインとのこと。

ところどころ、ハシゴや脚立が設置されいます。農作業する方はこれで上下にショートカットするのでしょうね。

一角にはモノレールの姿も。瀬戸内海の果樹園などではおなじみの農業用モノレール。サイズ的に人も乗れそうです。

周辺では畑の手入れを行うおじいさんおばあさんがいました。こんなアップダウンが激しいところで働いていたら、足腰が鍛え上げられそうです。

人々が作り上げた石垣

びっしりと積まれた石垣は、近くで見ても迫力満点。まるで城郭のような武骨な雰囲気です。

近世城郭と比べると、石を加工せずにそのまま積み上げた「野面積み」である点や、使用されている石が小ぶりという違いがあります。とはいえ、これを一般の人が作り上げていったというのだから驚くばかり。

そんな人々の努力が詰まったこの畑は、生活に結び付いた地域特有の景観として「重要文化的景観」にも指定されています。

よく見ると空き缶が積まれている箇所もありました。中は詰まっているようですが、補強なのでしょうか?

パノラマ広がる頂上

上の方まで登って行くと、柑橘類の樹木の姿も。日を浴びて光る黄色がとってもあざやか。

面積は3.4ヘクタール、高いところでは90mにも達する大規模な段畑。東に向いているため、午前中は太陽に照らされてとってもキレイ。天気が良い日に訪れたいスポットです。

この段畑は宇和海に突き出した岬の斜面に作られています。そのため、段畑の目の前は海!爽快感抜群の景色が視界いっぱいに広がります。

朝もやが煙る海面にいかだが並ぶ様子は絶景です。吹き抜ける海風や、ただよう潮の香りも心地よい。なんだかお弁当でも食べてくなるようなシチュエーションですね~。

段畑ヒストリー

この段畑、人口が増えていった江戸時代末期頃に食糧難を防ぐために開墾されていったと伝えられています。この地域は斜面が多く、農耕に適した土地がほとんどなかったため、このように斜面を削るというアイディアで畑を増やしていきました。

当初はサツマイモをメインに栽培していましたが、明治から大正にかけて桑の葉へと切り替わっています。桑の葉なんて何に使うの?そう思うかもしれませんが、桑には人間の食物ではない重要な役割がありました。

それは、蚕(かいこ)のエサ。近代化が進むにつれて養蚕経営が盛んになり、多くの生糸を生産していきました。その収入で段畑は石垣で補強されていきます。

昭和に入ると養蚕バブルも次第に落ち着き、再びサツマイモの生産へ。戦後の食糧難を支えていきます。その後はジャガイモなども栽培されますが、平成になるとその規模は縮小、耕作放棄地となっていってしまいます。それを食い止めるため、地元有志による「段畑を守ろう会」が発足。復旧作業やイベントなどを開催して段畑の保全に取り組んでいるそうです。

棚田と段畑の違い

規模も大きく見ごたえのある遊子水荷浦の段畑。しかし、日本の代表的な棚田が選出されている「日本の棚田百選」には選ばれておりません。

なぜ選ばれていないのでしょうか・・・?

その理由は簡単です。ここは段畑であって棚田ではないからです。

勝手に段畑=棚田と思い込んでいたため混乱してしまいましたが、考え方はいたってシンプルでした。え、皆さん最初から知ってました・・・?

棚田と比べると、平面の部分が少なくとても急斜面。棚田は水を張る前提に作られているため、水路や畦道などが必要となります。一方、段畑は畑なのでそういった構造は必要ありません。平面が少なくても機能することができるのです。

アクセスと営業情報

以外にも目の前にバス停《水荷浦》があり、宇和島駅から約60分ほど。ただし本数は少ないため観光で利用するのは難しそう。

車の場合は、宇和島市街地から約45分、松山市街地から約2時間。広い駐車場も整備されており、トイレや自販機もあります。さらにだんだん茶屋というお店もあり、名物の宇和島鯛めしなども食べることができます。

道中の案内板では「遊子水荷浦の段畑」ではなく「水荷浦の段畑」という名称で記載されているものも多く見かけました。

※掲載の情報は2021年12月時点のものです。

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