“雲の上のまち” 檮原に散らばる隈研吾の建築作品めぐり(檮原町)

高知県

高原にある檮原町(ゆすはらちょう)は「雲の上のまち」と呼ばれており、隈研吾が設計した独特な建築が並ぶ個性的な景観を持ちます。図書館、まちの駅、そしてホテル併設の雲の上のギャラリーをまわりました。

訪問日:2020/01/25(土)

隈研吾(くまけんご)という人物をご存知でしょうか。新国立競技場などの設計で知られる建築家。その作品は、美術館やショップ、住宅など多岐に渡ります。高尾山口駅や浅草文化観光センター、スターバックス太宰府天満宮表参道店など、木材を大胆に使用した作風がインパクト抜群。非常に写真映えするので、近年ではSNSでもよく話題になります。

アカオハーブ&ローズガーデン内にある「COEDA HOUSE(コエダハウス)」(静岡県熱海市)

アカオハーブ&ローズガーデン内にある「COEDA HOUSE(コエダハウス)」(静岡県熱海市)

 

高知県北西部、愛媛県との県境にある町・檮原(ゆすはら)町には、そんな隈研吾が手掛けた建築が数多く並びます。

雲の上の図書館

最初に向かったのは雲の上の図書館。すのこのような木材が規則的に貼り付けられており、シンプルながら目をひくデザイン。館内は土足厳禁なので、入口では靴を脱ぎます。

檮原町産の木材が組み上げられた、木のぬくもりがあふれる館内。天井から雨のように降り注ぐ木材はインパクト抜群です。

幾重にも折り重なる木々は、まるで編み物のように絡み合います。内部は写真撮影OKですが、利用者が写り込まないように配慮してほしいとのことです。

2階へと続く階段も本棚となっています。いろいろなところに本が隠れており、なんだかわくわくします。

立体的な造りで、そこかしこに椅子がたくさんあり、ゆったりと本を読むことができるように配慮されています。人をだめにするビーズソファもあるため、気が付いたら1日過ごしてしまっていることもあるのではないでしょうか。都内に住んでいると、このような人も少なくゆったりした図書館に憧れます。

高知県関連の歴史や自然を題材にした書籍も豊富です。さっき行ってきた仁淀川関連の本も見つけました!観光の合間に立ち寄った方は、ここで情報と知識を積むと、その後の旅行がより深いものになるはず。

館内は子どもたちがたくさんでけっこうにぎやか。地元の子どもたちの遊び場となっているような雰囲気。カフェやボルダリング施設も備えています。

まちの駅ゆすはら

続いて向かったのはまちの駅ゆすはら。茅葺き仕立てという伝統的な手法を取り入れているのに、なぜか新しさを感じる不思議な外観。

内部はは地元の新鮮な農産物やお土産が並ぶマルシェ。フロアには杉丸太の柱が高く伸びており、屋内なのに森の中のような気分に。


この町の駅、2階より上は雲の上のホテルの別館で、宿泊施設となっています。吹き抜けの館内、1階からは客室入り口が並ぶ廊下が見えています。

雲の上のギャラリー

檮原町の中心から約3kmのところにある雲の上のホテルに併設された雲の上のギャラリー。開館時間は10:00〜16:00、入場料金は無料です。

他の建築とは違い、橋のカタチをしています。まるで森の中に木の舟が空に浮かんでいるよう。

両端から刎木(はねぎ)を重ねて持ち上げていく刎橋(はねばし)という建築様式で造られています。このスタイルの橋は非常にレアで、現代では三大奇橋に数えられる山梨県の猿橋くらいしか残っていません。

館内には、檮原町の隈研吾建築の写真付解説パネルが。細かい設計や制作に込めた思いなどを知ることができるため、最初に立ち寄るとその後の建築めぐりがよりおもしろくなりそうです。

橋を渡った先にはエレベーター。ここを降りると雲の上の温泉、雲の上のプールへと繋がります。

おまけで三嶋神社

隈研吾の建築ではありませんが、檮原に来たらせっかくなので立ち寄りたいのがこちらの三嶋神社。境内へ行くには「みゆきはし」を渡ります。関東では滅多に見かけない屋根付き橋。四国、特に愛媛県に多いイメージです。

(檮原は愛媛と高知のほぼ県境にある高知県の町です)

橋の途中にはベンチもあります。腰掛けて足元を流れる川を眺めると心が落ち着きます。

この三嶋神社の由緒は、津野経高という人物が、伊豆より三島大明神を勧請したことにはじまります。

手水をよく見ると、水中に亀が沈んでいます。吹き出し口や縁にいる亀は見たことがありますが、水中にいるのは初めて見ました。

高くそびえる「朝鮮松」。一般的に朝鮮松=チョウセンゴヨウのことを指すようですが、こちらはハリモミの木。文禄の役にて朝鮮より持ち帰ったとされているため、この名で呼ばれています。

この神社、坂本龍馬とも縁があります。日本を変えるために自国・土佐を捨て家族を捨てる「脱藩」という道を選んだ龍馬は、この神社で無事を祈願したと言われています。
そんな三嶋神社の境内からは坂本龍馬脱藩の道が続く。龍馬はここから土佐(高知県)を抜け出し、伊予(愛媛県)を抜け、長州(山口県)へと向かったと伝わっています。

三嶋神社の近くにある和田城跡には、坂本龍馬をはじめとした8人の志士の群像「維新の門」が建っています。この迫力ある群像は濱田浩造氏の作品。ジョン万次郎や岩崎弥太郎、長宗我部元親など県内各地に作品を残している彫像作家。どの像も躍動感あふれておりとにかくカッコ良いので、高知で銅像めぐりをしてみるのも楽しいですよ!

コメント

  1. […] こちらはかの有名な建築家・隈研吾の作品。彼の他の建築物である雲の上の図書館やPIGMENTなどと同様に、むき出しの木材が無数に並べられており幾何学的でありつつも温かみを感じます。 […]

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