こんな河童見たことない!カッパのダイバーシティ『海洋堂かっぱ館』(四万十町)

高知県

山の中に突然現れるのはたくさんのカッパたちが暮らすカッパ村。コミカルで自由ななカッパたちが面白かわいいスポットです。独自の解釈で作成されたカッパの造形作品は必見です!

営業時間:10:00〜18:00
休館日:火曜、年末年始
料金:500円
訪問日:2020/01/25(土)

山の中にあるカッパ村

高知県の山間部にある海洋堂かっぱ館はなかなかアクセス難易度高め。
最寄り駅は、高知駅から1時間半ほどのJR打井川駅。そこから3kmほどのところにあります。打井川駅からかっぱ館までの路線バスは日曜と祝日のみ。しかも1日4本しかありません。気合で歩くかタクシーを使用するかの2択に迫られます。

マイカーもしくはレンタカーであっても道は細く曲がりくねっている箇所も多いためなかなかハード。

今回、”雲の上のまち”檮原(ゆすはら)町をめぐってから国道439号線を通って向かったのですが、思っていた以上に大変な道のりでした。

「国道」という響きからさぞ走りやすいルートかと思いきや、基本的にすれ違い困難な1車線。舗装されてこそいるものの落石があったり、ヒキガエルが歩いていたりと気を抜けません。

国道でありながらも通行が困難な道路を「酷道(こくどう)」と呼ぶことがあるのですが、この国道439号線は「日本三大酷道」の1つに数えられているほどの代表格。語呂合わせで「ヨサク」とも呼ばれるこの道は、国内を旅するライダーならばその名を知らない人はいないほど有名です。

そんな酷道を慎重にすすむと、のどかな田園風景の中、川沿いにたたずむおとぎ話の世界のような建物が見えてきます。こちらが今回の目的地の海洋堂かっぱ館。

お外で遊んでいるカッパ

建物のまわりには、館内からあふれたカッパがたくさん。モリと魚を携えた衛兵カッパ。髪型がおかっぱなところが芸が細かい!

野球にいそしむかっぱ。キャップには「K」のロゴが。見守るように周りを囲む木彫りのカッパは、原始美術のようなアニミズムも感じさせます。

シーソーを楽しむかっぱ・・・よく見ると相手はアンパンマン!マントとベルトはしていますが、カラーリングが緑と黄色のカッパカラー。

高くそびえる櫓(やぐら)には小さなかっぱがびっしりとしがみついています。カッパといえばカメに似たイメージがありますが、各地に伝わるカッパには猿型のタイプも多いのです。

まだ入館していないのに、情報量が多すぎてついていけません!

カッパのミュージアム

入館料は500円。ここから2kmほどのところにある海洋堂ホビー館との共通券は1,200円(Jafで1,170円)。別々に買うと1,300円なのでちょっぴりお得です。

館内はさぞかしカオス空間が広がるのかと思いきや、以外と整列されているかっぱたち。ウッド仕立てで木々が茂る森の中のような展示室は、まるで爬虫類館や両生類館のようです。カッパって爬虫類や両生類のような特徴もあるため、このテイストはすごく馴染みます。

トイレの蛇口やハンドソープ、ピクトグラムなど細部に仕込まれたカッパを探してみるのも楽しい。

古民家とカッパ

カッパたちが暮らす古民家もあります。こちらは檮原(ゆすはら)の山奥から移築してきたものだそう。

カッパがビックリしてしまうので中には入れませんが、ちらっと覗くことは可能。そこには、休みの日のおじさんのようにくつろぐカッパの姿が。この子めっちゃかわいいですね!

古民家のかたわらでは、カマドで火おこしするカッパの姿が。カッパってお米も食べるんでしょうか。

カッパのダイバーシティ

館内の展示室では、カッパ造形大賞入賞作品がずらり。カッパというフォーマットの中で様々なアレンジがされた作品たちが勢ぞろい。いろんなカッパの解釈があふれており、眺めているだけで楽しくなります。ということで、私が気になった作品を数点だけ紹介させてください。

かっこいいカッパ

「水守童伝」


水神の使いとして川を守っているカッパ。加えた刀と背負った子供のカッパからは、いろいろなドラマが見えてきます。マンガの主人公にしても良さそうな凛々しい出で立ちです。

かわいいカッパ

「カッパさらマンダー」


まるでゆるキャラのようなほんわかしたカッパ。お皿の中が宇宙船のようになっており、小さなカッパたちが乗り込んでいます。サラマンダー=サンショウウオとお皿をかけており、さらに音の響きがSFの乗り物っぽさもある絶妙なネーミングがセンス抜群です。

コワイカッパ

「年の甲」


年老いて泳げなくなったカッパは釣りをして魚をとっているらしい。老け方がハンパないです。ただでさえ妖怪なのに、さらに妖怪化してしまったような様子。もはや朽ち果てた樹木に近い印象すら覚えます。

美しいカッパ

「ウォーターインプ水の妖精」


お皿や甲羅、水かきなどカッパのアイコンとも呼べる特徴を全て控えたこちらの作品は、カッパ族最後の1人イダ姫を表しているそう。女性らしいカッパといえば黄桜が浮かびますが、洋風な美女のカッパはとても新鮮です。

現代的なカッパ

「カッパの女子高生」


女子高生に扮して現代社会に紛れ込んでいるというストーリー。尻子玉を抜かれた男子は、なんも草食系になってしまうらしい!今の時代を反映したアイデアがおもしろい作品です。

新しいカッパ

「河童」


「四万十の河童は扁平楕円状であった」「半透明のため人間に見つかりにくい」そんな特徴から着想したというこちらの作品は、全く生物に見えないサイバーなデザイン。両生類に近いイメージがもたれやすいカッパですが、こちらは昆虫やウミウシなど無脊椎動物に近いのではないでしょうか。

カッパが生まれるとき

カッパの誕生については様々な説がありますが、館内の貼り紙に書かれていたのは「ワラ人形説」
伝説の大工である左甚五郎(ひだり じんごろう)。彼は請け負った建築が期限内に完成するかどうかの瀬戸際に、ワラ人形に生命を吹き込んで手伝わせたといいます。工事が無事完了し、用が無くなったワラ人形を川に捨て「人間の尻でも食え」と言った結果、人間の尻子玉を狙うカッパという妖怪が誕生したという人形ルーツ説。

館内の作品には、そんなカッパ誕生に関わるものもいくつかあります。

「満月の夜に」


長生きしたネコが化け猫になるように、長生きしたカエルがカッパになる・・・その瞬間を現した作品。木箱の中に置かれたカエルは背中が破け、脱皮するかのようにカッパが生まれてきます。これぞまさに王道の妖怪誕生スタイルではないでしょうか。

「誕生」


カッパフィギュアの中に並ぶ1枚の葉っぱ。その先についたしずくをよく見ると、ヒザをかかえたカッパの姿をしています!葉っぱから産み落とされるというのは、なんとも幻想的なストーリー。妖怪というより、精霊といった感じがします。


いろんな方の自由な発想を見ていると「もし自分だったらどんなカッパを生み出そう・・・?」そんな気持ちでいっぱいになります。

でも、立体造形を本格的にやるにはきっと長い時間が必要なんじゃないでしょうか。何かうまいこと工夫して作品つくってみようかな。

そんなことを考えながら、次の目的地の海洋堂ホビー館へ向かいます。約2kmなので車があれば、あっという間です。

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