忍野八海 Part 1 クリアな湧水群に残る様々な伝説(忍野村)

山梨県

山中湖と河口湖の間にある、富士五湖エリアの人気観光地。8つの湧水には、それぞれ伝説が残されています。歩いてめぐりながら、それぞれの伝説について考えてみました。

訪問日:2024/12/27(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

人気の観光スポット

伏流水による水源が多数存在する富士山周辺。そんな中でも、忍野村に残る8ヶ所の湧泉群は、忍野八海(おしのはっかい)と呼ばれています。クリアな水を湛える美しい池と茅葺き屋根の民家が生み出す情緒が人気の観光スポット。散らばった八海を徒歩でめぐりながら、途中の飲食店で食べ歩きしたりするのが定番の過ごし方です。

2013年には「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一部として世界文化遺産にも登録されました。

インバウンドにも人気で富士山周辺をめぐるバスツアーにも組み込まれていることが多いです。そのため、かなり混雑します!

八海そのものはぱっと見て終わりであるため人は少なく、混んでいる感じはありません。しかし、湧池〜鏡池あたりに飲食店が集まっているエリアがあり、そこだけが異常に人が多いという状況。八海をめぐるだけならばあまり混雑は気になりませんが、飲食やお土産探しをするとなると、人混み耐性が必要になります。

今回利用した「ますの家 大駐車場」(有料駐車場500円)では、マップがもらえました!順路が記されていてとってもわかりやすいので、取り急ぎこの通りにまわって見ることにしました。

ここからは、各池を紹介させていただきますね!仮で①~⑧とナンバリングしておりますが、これは私がめぐった順番なのであまり意味はないです。

①お釜池

路地裏を入ったところにある、小さな池。面積は24㎡と、忍野八海で最小。

それなりに深さはあり、太陽光が射し込むとブルーに輝きます。流れるように生える水草はバイカモ。冷たくキレイな水にしか生えない、なかなかレアな水草です。

<お釜池の伝説>
昔、この池のほとりに年老いた父と美しい2人の姉妹が暮らしていました。妹が洗濯していると、池から大きなガマガエルが現れ、娘を水中に引きずり込んでしまいます。村人は総出で探しますが見つけることはできず。姉は父親とともにこの池の畔で妹の冥福を祈りながら過ごしたそうです。

お釜池の名前の由来は「大ガマ」から来ているという説もあるとのこと。そんな大きなカエルが住んでいるようには見えませんが、超自然的な現象だったのでしょうかね。

②銚子池

こちらも79㎡と小さな池。周りが一周できるようになっており、溜池のような雰囲気です。

形が「銚子」に似ていることが名前の由来とされています。銚子というのはお酒を注ぐ容器のこと。現在はとっくりとほぼ同義で使われていますが、もともとは急須のようなカタチのものを指していたそうです。

祝言の日に銚子を持ったまま身を投げた花嫁の伝説が残っているとのこと。どんな話か気になったので調べてみました。

<銚子池の伝説>
昔、ある家の花嫁が厳粛な結婚式の最中におならをしてしまいます。その音がすごく大きく、恥ずかしさのあまり席を抜けだし、銚子を抱いてこの池に身を投げてしまいました。その後、花嫁の履いていた草履が池の底に映って見えることもあったそう。

命を捨てるほど恥ずかしかったというのが現代の感覚ではなかなか理解しがたいのですが、それほど厳粛な式であったのでしょうね。なお、この伝説がもとで銚子池という名前になったという説もあるそうです。

③濁池

こちらも36㎡と小さな池。川の流れの延長線といった外観であり、池としての存在感は控えめ。そのためほとんどの人が素通りしてしまっています。

文化年間(1804年〜1818年)には濁っていたためこのような名前が付けられていますが、今は全く濁っておりません。この池が濁っていた経緯としてこんな伝説が残っています。

<濁池の伝説>
ある日、乞食のような姿の行者がやってきてこの池の地主の軒先に立ち止まり、一杯の飲み水を求めます。しかし、その家の老婆がただの乞食と思って無愛想に断ってしまいます。すると、池は急に濁ってしまいました。

人を見た目で判断してはいけない教訓的なエピソードかと思いきや、続きがあります。その濁り水を器で汲み取ると、不思議なことに澄んだ水に変わったそう。結局、問題なかったということでしょうか?

④湧池

アルビノのニジマスが泳ぐ、面積152㎡の小さな池。1983年にNASAのスペースシャトル・チャレンジャー号にこの水が搭載、宇宙で人工雪を作る実験に使用されたというエピソードもあるそうです。

池の傍では、水源である富士山の雪解け水が流れ出しています。勢いよく流れ出る水からは、湧出量の多さを体感できます。

この池にももちろん伝説があります。

<湧池の伝説>
昔、富士山が噴火した際、人々は焼け付くような熱で大変苦しみました。人々が水を求めると、「わたしを信じなさい。そして、永久に私を敬うならば水を与えよう」という大変美しい声が聞こえてきます。この声の主は、木花開耶姫とされており、その後まもなく溶岩の間から水が湧き出し池となったそう。
近代以降は大規模な噴火が計測されていない富士山ですが、江戸以前は噴火の記録が多く残されています。具体的な神様の名前も出ており、ディティールがしっかりした伝説に感じますね!

番外編:中池

湧池の近くにも大きな池があります。こちらは忍野八海にはカウントされていない中池。売店の個人所有の池であり、テニスコートだった土地を池にしたものであるそう。

池の中央には、丸い湧水ポイント。店内を抜けると、近くで見ることができます。

のぞき込むとかなりの深さ。水深は8mもあり、吸い込まれそうなコワさも感じます。ここもまたアルビノニジマスが泳いでいました。

ここらへんでちょっと休憩!濁池近くの「まる天」というお店にて買った「じゃがバター天」。ほくほくなじゃがいもと魚介の旨味がたまりません!

長くなってきたので、今回はここまで。次回は残る4つの池について紹介させていただきますね!つづく。

コメント

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