北海道美術とモダンアート『北海道立帯広美術館』(帯広市)

道東

北海道出身のアーティストや現代アート作品を多数収蔵する美術館。今回はコレクション展を見学。絵画、写真、彫刻、ポスターなどバリエーション豊かなラインナップで様々な世界を体感することができるミュージアムです。

訪問日:2025/1/26(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

十勝の美術館

帯広美術館は、道東ゆかりの作家・作品及び、国内外の版画やポスターを中心とした近現代のプリントアート、並びに西洋の風景画、風俗画を収集する美術館。オープンは1991年。道立美術館としては5館目であったそう。

館内には、主展示室が2部屋とコレクションギャラリーを備えています。

帯広美術館コレクション選Ⅲ なにげない瞬間(とき)
会期 2025.01.11(土) – 2025.03.16(日)
帯広美術館コレクション選Ⅳ~はるかなるとき~
会期 2025.01.11(土) – 2025.03.16(日)

展覧会にもよりますが、今回のコレクション展はいずれも写真撮影OK!写真でもっている当ブログとしてはありがたすぎます。

コレクション選Ⅲ なにげない瞬間(とき)

主展示室2部屋を使って開催されている展覧会。日常の一コマや作者にとって親しみのある対象を表現した作品を展示しています。全部で4つの章に分かれており、時代や国を問わずに様々な作品が並んでいました。

バリエーション豊かな作品

《戸口の女》レンブラント・ファン・レイン

《夜警》などで知られるバロック期を代表するオランダの画家、レンブラントの版画作品。まずは暗い中に浮かぶ女性に目が行きますが、よく見ると影の中に男性がおり、女性はその対応をしています。さらによく見ると小さな子供たちが見えてきます。視点を誘導されているような感覚とともに、これはいったいどんなシーンなのか想像が膨らみます。女性は笑顔に見えるので、何か素敵なストーリーに感じてきました。

《演劇「居酒屋」ポルト=サン=マルタン劇場》テオフィル・アレクサンドル・スタンラン

フランスの作家エミール・ゾラの小説「居酒屋」をもとにした演劇を告知するポスター。パリに生きる労働者たちの悲惨な日常が描かれた作品であるそう。絵画や彫刻だけでなくポスターも収蔵しているのが、この美術館の個性的なポイントです。

他にも、ジュール・デュプレや李禹煥など、名だたる作家の名前も。様々なタイプの作品が揃っております。

北海道ゆかりの作品

《Flower Garden》岡本和行

壁一面に展示されている写真は、札幌生まれの写真家によるフォト作品。インクジェットプリントした花の写真がずらりと並びます。縦に統一された色合いは、左右にグラデーションを描いています。背景が無いため絵画にも見えますが、強い照明を当てて背景を飛ばしているそうです。

《晩照(悠々釧路湿原)》羽生輝

釧路を拠点に活躍した、北海道を代表する日本画家による作品。夕陽が沈みゆく釧路湿原が描かれたダイナミックな作品です。近くで見ると、真っ赤に染まる空は多層で塗り重ねられており、湿原部分の黒褐色はかなり厚塗り。立体感のある作品です。

《慰する旅人Ⅰ》近藤みどり

七飯町生まれの画家による絵画。不思議な生き物のように見える作品です。同じ次元には存在していないような異形さですが、ミクロの世界の菌やウイルス、もしくは細胞のようにも感じます。

不思議な北海道

ひときわ目立っていたのは、壁に北海道が描かれたこちらの作品。

《Stamp map of Hokkaido “December 29, 1993″》太田三郎

北海道を形成している「点」は、よく見ると全て消印の押された「切手」。道内各地の郵便局を表現したユニークな作品かなと思いきや、旅行が好きでありながらも病によってこの世を去ってしまった甥を思い完成させた作品とのこと。

切手と依頼文を各地の郵便局に送ると、指定した日時の消印を押して返送してもらえるという制度を上手く活用して、甥の一周忌に合わせて各局の消印を集めたものであるそう。作品のそばには、消印の郵便局が全て陳列されていました。

コレクション選Ⅳ~はるかなるとき~

コレクションギャラリーで開催されていた小規模な展覧会。宇宙空間や大いなる自然など、「はるかなるとき」というサブタイトルに見合った永遠にも感じられる時間が流れる作品が集められています。

《魚 No.17(シーラカンス)》多賀新

十勝出身の銅板画家による作品。めくれた体内には人や豚が見えるという、次元を超えた生物が描かれています。よく見ると、ウロコには一枚一枚目が描かれていたりと、細部まで目が離せません。

《夜の箱》佐藤克教

十勝出身の版画家による作品。エッシャーのようなねじれた世界にうねるのは不思議な管。からみつく姿は生命体のようですが、何の器官も見つけられません。有機物と無機物が混じり合っているように感じます。

《鴉の詩1〜3》市成太煌

札幌出身の日本画家による作品。それぞれ色調が異なる3つのシーンで描かれたカラス。よく見るとカラスは3本足で、八咫烏として表現されています。このカラスにはいったいどのようなストーリーがあるのか。3つの絵画は連続する時間なのか、独立した世界なのか。


2つの展覧会をめぐって1時間弱。日曜午後の訪問でしたが、館内はとっても静かでゆったりと過ごすことができました!

いずれの展覧会も、作品名だけでなく作者や作品の補足情報もあるので、知識がなくても楽しめました。特に北海道の作家は知らない方も多く、いろいろと新しい発見も。先日訪れた釧路市芸術館で知った名前も見つけられてちょっと嬉しくなりました!

アクセスと営業情報

開館時間 9:30~17:00
休館日 月曜
料金 展覧会により異なる
公式サイト https://artmuseum.pref.hokkaido.lg.jp/obj/

※掲載の情報は2025年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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