札幌芸術の森 Part 1 美術館とレトロな大正建築(札幌市)

道央

広大な敷地を持つアートスポット。多数の見どころがありますが、まずは作品を多数収蔵する「札幌芸術の森美術館」と、大正時代に建てられた「旧有島武郎邸」からご紹介。静かな森の中で、アートと歴史をたっぷりと体感してきました!

訪問日:2026/7/17(金) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

郊外のアートスポット

札幌芸術の森は、北方の新しい芸術・文化の創造を目指して、昭和61年(1986年)にオープンしたアートスポット。札幌の中心部から南に20kmほどと、市街地から離れたところにあります。

40ヘクタールにも及ぶ園内はとっても広々!「工芸館」「クラフト工房」「アートホール」など、様々な施設を備えています。

今回は「札幌芸術の森美術館」、「旧有島武郎邸」、「野外美術館」の3ヶ所を中心にめぐってきました!

刺激的な作品が並ぶ美術館

まず最初に向かったのは札幌芸術の森美術館。静かに水を湛えた池に浮かぶように建っております。

入ってすぐのB展示室は、澁谷俊彦の作品を展示する小さなスペース。北海道を拠点に世界で活躍する芸術家です。

《序ーいろはにほへとちりぬるをー》は、木に山葡萄のツル、蓮の花托などを白く染め上げた作品。素材を加工せず自然のままの姿で使用しております。天然素材だけかと思いきや、黒く輝く丸ピンが無数に打ちつけられているところがポイント。人工物なのに増殖するかのような姿です。

中庭に展示されているのは藤原千也の《太陽のふね》。第4回本郷新記念札幌彫刻賞受賞作品とのこと。黒い木の破片を組み上げたトンネルは、奥行き18mもあるという巨大な作品。内部は奥へ行くほど狭く、周囲の音が小さくなっていくためどこか違う世界にワープしてしまいそう。

通路に展示されているのは蜷川実花の《Liminal Pathway》。窓ガラスに張られた、色鮮やかなフィルム作品。ちょうど太陽光が入り込み、廊下にも華やかな世界を広げていました。

企画展:花と獣 いろとかたち

ここまでがおそらく常設展示。企画展示室では、様々な展覧会を開催しております。訪問した際に開催されていたのが、こちらの特別展。

花と獣 いろとかたち
2026年7月11日(土)~9月27日(日)

ここからは残念ながら撮影禁止。木下めいこによるキャンバスを埋め尽くす洪水のような花鳥図や、瀬戸優の野生動物を実物大に仕上げたテラコッタ、石黒昭による多様な色彩が混じり合った作品と、それに擬態するカメレオンなど、花と動物をモチーフにした作品が続いています。個性的な作品ばかりなので、進んでいくと次々と世界が変わっていくような感覚になります。

多数の作品がある中で、特に印象的だったのが河嶋淳司の作品。背景は描かれておらず、金箔やプラチナ箔が貼られた中に大きく描かれる動物たち。赤いカバ、青い山猫と、色も変えてアイコニックな印象。どこかコミカルな雰囲気もあります。ミュージアムショップにてステッカー買っちゃった!

レトロな大正建築

美術館の近くの森の中に佇むのは、レトロな邸宅。こちらは旧有島武郎邸。

有島武郎は、近代日本文学を代表する作家。北海道大学の教授を務めた人物でもあります。彼の邸宅として、大正2年(1913年)に建てられたのがこの邸宅。大正以降の札幌で流行したマンサード式屋根などを取り入れた、モダンな洋風邸宅。当時は話題の建築であったそうです。

昭和53年(1960年)に北海道大学に寄贈され学生寮「有島寮」として使用されます。その後、昭和61年(1986年)にこの場所に移築され、防虫などの目的でベンガラで赤く塗られました。

館内も見学することができます。和室でありながら上下スライドの窓や、サンルームがあるところなど、ユニークな建築スタイル。高い天井や水洗トイレも当時は斬新であったそう。

壁に付けられているのは伝声管。これに喋ると台所や2階に声がとどく、いわば内線にあたる仕掛けです。そんなに広い家ではないため無くても良さそうですが、有島武郎がヨーロッパで見かけて取り入れたくなったとも。

そんなレトロな館内に置かれているのは、冒頭に紹介した作品と同じ作者の澁谷俊彦《いのちのうつろい》。アクリルボックスに花托や綿毛を込めて積み上げたインスタレーションは、雰囲気と妙にマッチしていました。


芸術の森には、彫刻作品が点在する野外美術館があります。美術館の周りに数点彫刻が置かれているのを想像していましたが、実際は7.5ヘクタールもの敷地内に74点もの作品が並ぶ大規模な展示。ということで、次回は野外美術館について!

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