ウポポイの園内に建つ国立アイヌ民族博物館は、国内屈指の規模を誇るアイヌミュージアム。展示室には様々な資料が展示されており、わかりやすい解説も添えられています。アイヌ文化の奥深さや、人と自然が共に生きる価値観に触れられる博物館です。
屋内型のミュージアム
ウポポイの園内には国立アイヌ民族博物館があります。その名の通り、国が中心となり作った国立の博物館。入館料は不要、ウポポイ入園券にて入場が可能な施設です。

エスカレーターを上った2Fが基本展示室。大きな窓ガラスからは、ポロト湖の景色を望むことができます。

展示室の入り口は薄暗い通路。導入展示として、壁面のスクリーンには衣装をまとったアイヌが登場。来館者に、アイヌの言葉で呼びかけます。

展示室はとっても広い!模型や実物、映像コンテンツもあり最新型のミュージアム。「ことば」「くらし」「歴史」といったテーマ毎に展示内容が分かれていますが、特に順路も定められていないため、感覚で自由にめぐることができます。

伝統的な道具の数々
横たわるのは厚岸湖で出土した板綴舟、イタオマチㇷ゚。丸木舟の側面に板を張ることで、より広範囲への交流が可能になったそうです。

板を張るってどんな感じだろう?そう思っていると、隣に模型が置かれていました!

シトと呼ばれる板。こちらは樺太アイヌに伝わるスキー板。底面に張られているのはアザラシの皮で、下る際はよく滑り、上る際は毛が逆だって滑り止めになるそう。

こちらは伝統的な織物アットゥシの製作風景を再現した展示。木や草の繊維など、用途にあわせて様々な素材を使い分け、織物と編物が行われていたそう。「オヒョウの繊維も使用」という記載を見つけて、「えっ!カレイの繊維!?」と思ってしまったのですが、どうやらオヒョウという木があるそうです。

遊び道具も展示されています。貝で作った下駄「セイピラッカ」、木でできたコマ「チンクリ」、おしゃぶりの「テッコッペ」などなど。

工房で触ることができた弦楽器トンコリもありました!が、ここのトンコリはちょっと独特な仕様。

フェンダーロゴのピックアップ内蔵、Line 6と、BOSSのチューナーを挟み、オレンジアンプにつながるというロック使用。「OKI DUB AINU BAND」で知られるオキさんのものなんだって!現代的な利用もされているということを伝えるために、あえてこのセッティングで展示したのかな。
自然や生き物に宿るカムイ
アイヌの人々は、人間の周りに存在する様々な生き物や事象のうち、人にとって重要な働きをするものをカムイと呼びます。展示室で流れている映像「カムイとくらす世界」では、雷の神様カンナカムイ、火の神様アペフチカムイ、さらにはシカを送り出すカムイ、サケを送り出すカムイなど様々なカムイが登場します。

高さ6m余りの木の杭は、クマ送りの儀式「イヨマンテ」でクマを繋ぐクマつなぎ杭。クマはキムンカムイと呼ばれ、またこの杭そのものもクマを守るカムイとして祈りを捧げるそうです。

フクロウもまた「村を見守る神」という意味のコタンコㇿカムイという名がつけられています。展示室を見守るように置かれた姿。目につきにくい場所にいるので、見つけたときはちょっと嬉しくなりました!

ちなみに「カムイ」の発音は、「ム」にアクセントが入ります。例えるなら「寒い(関東スタイル)」と同じ発音です。てっきり「寒い(関西スタイル)」と同じだと思っていました!
シアタープログラム
博物館の一階にはシアタールームを備えており、様々なプログラムを上映しております。整理券などは不要で、出入りも自由な雰囲気でした。

①普段着のアイヌ(約30分)
②アイヌの歴史と文化(約20分)
③世界が注目したアイヌの技(約20分)
博物館のシアターとは別に、より大規模な「体験交流ホール」でも映像作品を上映しています。混同しないようにご注意ください!
訪問時に上映されていたのは「③世界が注目したアイヌの技」。ヨーロッパとアメリカの博物館に収蔵されているアイヌ民族資料や、各国の研究者とのかかわりを紹介するというユニーク な内容です。

シーボルトによってヨーロッパに伝わったアイヌ民俗資料。ドイツではアイヌ民俗資料を持たないとメンツが立たない、博物館の格付けを左右するほど重要視されているそうです。
気になるホホチリ
そんな映像の中に登場するのが「ホホチリ」。アイヌの男児が前髪に結びつける色鮮やかなビーズ細工の額飾りで、狩りに出て初めて成功した際に切り落とすというもの。「ゴールデンカムイ」にてチカパシが付けていた三角形のアレです。
こちら、現在確認されているのは極わずか。シアターの映像によると、ドイツの「ラウテンシュトラウフ・ヨースト博物館」に収蔵されているようです。
貴重な品物とのことですが、もしかしてこの国立アイヌ博物館ならば収蔵しているのでは・・・?
急ぎ展示室へと戻り、スタッフさんに尋ねてみました!!
どうやらホホチリは2点のみ残存しており、ひとつは「北海道博物館」に、もう一つは先ほどのドイツの博物館から、ここに寄託されているそうです。
やっぱりあるんですね!!
ただし、常設展示はされておりません。
特別展のみの限定公開であるそう。ということで、どうしても気になる方は問い合わせて確認した方が良さそうです。
そんなわけで、そろそろ閉館の時刻。15:00に到着して閉園ぎりぎりの18:00頃まで、3時間ほど滞在。工房、伝統的コタン&ウパㇱクマ、体験交流ホールの映像、博物館&シアターとたっぷり楽しむことができました!
心残りは、体験交流ホールで上映される歌と踊りの公演「ウポポ ネワ リㇺセ」が見れなかったことと、アイヌ伝統料理「オハウ」を食べてヒンナヒンナできなかったことかなぁ。あとは、少し離れたところにある「慰霊施設」も気になっていましたが、時間の関係で断念。またいつか来るときにとっておこうと思います!
このあとは、今日の宿がある室蘭まで進みます!


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