廃校に広がる幻視空間『太陽の森ディマシオ美術館』(新冠町)

道南

「パリにも東京にもない芸術が新冠町にある」そんな強力なキャッチフレーズを放つ美術館。廃校を利用した館内には大迫力で幻想的な世界が広がっています。横幅27mにも及ぶ世界最大の油彩画は一見の価値アリです。

2017/4/29(土)

廃校リノベーション

読み方が独特な町、新冠(にいかっぷ)町にあるディマシオ美術館。オレンジ色の屋根にクリーム色の外壁、森と牧場だらけの新冠の山の中でとても目を引く外観です。

まるでメルヘン建築のようなかわいらしいこちらの建物、実はもともと小学校。廃校となった学校を再活用して作られた美術館なのです。

入口には人が・・・こちらも作品でした!!本気で人だと思ってびっくりしました!

ノスタルジックな館内

館内に入ると、随所に小学校の面影が残っています。当時はこの廊下を子供たちが駆け回っていたのでしょうね。

廊下に設置された水道も、まさに小学校。蛇口の先っぽを指で押さえてブシューってやりたくなります・・・!

懐かしいなと思って歩いていると、唐突にゴージャスな空間に。巨大なステンドグラスとシャンデリアが組み合わさっており、小学校の面影は全く感じません。

幻想的な画廊

そんな美術館に飾られているのは、画家ディマシオの作品たち。とてもファンタジックでありながらも、非常に写実的な作品が並びます。

ゲームやアニメ、ライトノベルなどでファンタジーに浸ってきた世代にも刺さりそうな雰囲気の作風です。

彼の作品に出てくる人物は、白目がなく真っ黒な瞳をしています。表情が見えないのですが、吸い込まれそうな魅力があります。そして、よく見ると立体的に飛び散る破片が描かれています。壁なのか陶器なのか、私には卵のカラに見えました。

ディマシオとは?

こちらの美術館でメインとなっているディマシオとは何者なのでしょうか?

ジェラール・ディマシオはヨーロッパ幻想絵画の鬼才として活躍する画家。ディマシオは自身の作品を『幻想的』ではなく『幻視的』と語ります。それは、『実際には存在しないものが存在しているかのように見えること』。

解剖学と建築学の研究が基盤になっており、一見すると、ダ・ヴィンチら中世の絵画のようにも見えます。

また、彼は作品の説明を避けており、館内にも解説はありません。予備知識は不要。自由に見て感覚で受け止めましょう。

世界最大の油彩画

この美術館のメインは、世界最大の油彩画!!その大きさ、なんと高さ9m・横幅27mという巨大さ。さらに、絵の周囲には奥行き3.5mの鏡が張られており、作品を無限に広がる世界に仕立てあげています。

目の前に立つと、上下左右の鏡に世界が映る。まるで絵の中に入り込む、そんな気持ちにさせてくれます。

こんな大きな油彩画どうやって運んだのでしょうか?気になったのでスタッフさんに尋ねてみると、「分割して輸送しました」とのことです。

そんな巨大絵画ですが、なんとプロジェクションマッピングによるショーがあります!タイトルは『宇宙の謎、神秘の美しさ、光の不思議に迫る』。毎時30分・上映時間約8分のプログラムで、音楽と照明・ナレーションによるショータイムがはじまります。何かストーリーが語られたりすることはないのですが、時を越える壮大な旅に出たような気持ちになりました。

なお、この展示室はきっと体育館でしょう。

独自の世界観

大きさに圧倒されますが、よく見てみると描かれているものが面白い。カンブリア紀の古生物のような不思議な生命体が無数に泳いでいます。

SF風な乗り物は、今の歴史には出てきていません。

そして巨大な顔の瞳が捕らえるのは、理性的な表情の猿。この人物と猿との関係性が気になります。

アクセスと営業情報

車の場合札幌から約2時間、新千歳空港・苫小牧港から約1時間30分ほど。周辺にお店などは少ないのでご注意ください。

営業時間:9:30~16:30
休館日:月・火・水(祝日変動あり)
料金:1,100円
※12月~3月上旬にかけて冬季休業があります

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