清流沿いの散策路と資料館『おたかの道湧水園・武蔵国分寺跡資料館』(国分寺市)

東京都(市町村部・多摩地区)

湧水が流れる散策路に立つのは、かつての名主の屋敷跡を利用した観光施設。「長屋門」「七重塔の復元模型」「資料館」「湧水ポイント」と見どころを備えており、古代から昭和にかけての長い歴史を感じることができます。すぐそばにある「おたカフェ」にも立ち寄りました!

訪問日:2026/6/21(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

清流沿いの散策路

国分寺駅から南西に1.5kmほどのところにあるちょっとした散策路。東京とは思えない情緒あふれる小路は、尾張徳川家の御鷹場であったことに由来して「おたかの道」と名付けられています。

おたかの道の雰囲気を底上げしているのが、豊かな湧き水。「お鷹の道・真姿の池湧水群」と名付けられており、名水百選にも選ばれています。清らかな流れは、ホタルも生息しているそうです!

湧水群の名称にもなっている真姿の池には、平安時代に玉造小町という女性が病を患い、この水で洗ったところ元の姿に戻れたという伝説が残されていました。

そんな爽やかな散策路に立つのがおたかの道湧水園。その名前からどのような施設かイメージしづらいのですが、ここは歴史ある建築「長屋門」、国分寺の塔を再現した「七重塔復元模型」、国分寺跡について学べる「資料館」、水が湧き出す様子が見られる「湧水源観察ポイント」がそろった複合的な施設です。

なお、入口でチケットは販売しておらず、すぐ隣の「おたカフェ」にて購入します。

江戸後期の建築

まずは受付となっている旧本多家住宅長屋門から。江戸時代後期の建築であり、国分寺村の名主を歴任した本多家の屋敷にあった門です。そもそもこの湧水園が、本多家の屋敷跡の地を利用した施設であるそう。

2階に進むと、養蚕・製糸に関する資料が展示されています。本多家は天保14年(1843年)より養蚕を開始、その後は製糸業も行なっていたそう。糸を巻き取る「揚げ枠」や、それを回転させる「糸揚げ車」などが展示されています。

本多雖軒(すいけん)に関する展示もあります。長屋門を拠点に、村医者として活躍した人物。薬箪笥やそこに納められていた様々な生薬がずらりと並んでいました。

押し入れの壁には謎の文字や絵が描かれています。どうやら、昔の人が書いた落書きであるそう!歴史的価値があるわけではなさそうですが、このようなカジュアルな展示って良いですね。

七重塔の推定復元模型

園内にそびえ立つのは武蔵国分寺七重塔の推定復元模型。田中為義が制作、市に寄贈され市役所旧本庁舎前に設置されていましたが、旧庁舎解体にともない移設されたそうです。

国分寺のシンボルとも呼べる建築で、その高さは推定60m。創建から80年ほど後の承和2年(835年)に雷火により焼失、その後再建されたことが、続日本後紀に記されているそう。

そういえば前々回の国分寺跡の記事にて、塔の跡が2ヶ所見つかった話がありましたね!

この模型は1/10スケールなので、その高さは6m。上手く下から見上げるように写真を撮れば、巨大な塔に見えなくもないかな?

文化財を扱う資料館

園内の奥地に建つのは武蔵国分寺跡資料館。奈良時代に建立された国分僧寺・国分尼寺に関する資料が展示されたミニミュージアムです。

館内に鎮座するのは1/200スケールの武蔵国分寺推定復元模型。講堂や金堂など、多数の伽藍が広がる様子がイメージしやすい。

あ!金堂の前に掲げられた幢幡(どうばん)が立つのも見えます!国分僧寺跡・国分尼寺跡にて、丸太が建てられていましたね。

旧石器時代から江戸時代にかけての文化財も多数展示しています。東京の多摩地区に5体しかないという白鳳文化の仏像、銅造観世音菩薩立像も実物が展示されています。白鳳文化は飛鳥時代であるため、武蔵国分寺が建立される前ということになります。

こちらは焼けて歪んだ銅蓋。描かれた文様はここ以外では奈良県の正倉院にしかないという、非常に貴重なものです。

一室を使って展示されているのは大量の瓦。円形の「鐙瓦(あぶみがわら)」や、カーブを描く「宇瓦(のきがわら)」がずらり。それぞれ様々な模様が描かれています。武蔵国分寺では、創建時や再建を含めると100万枚という膨大な量が使用されていたそう。江戸時代には「古い瓦が拾える場所」として、観光名所であったようです。

さてさて、この円形の鐙瓦を見て何かキャラクターを思い出しませんか?

西国分寺出身のゆるキャラ「にしこくん」。鐙瓦をモチーフにしているキャラですが、瓦に脚が生えた姿が最高過ぎます!

園内にある湧水ポイント

園内の奥地は森となっています。実はこのあたりの地形は、武蔵野段丘という高い崖になっており、通称「ハケ」とも呼ばれています。

そんな崖の一部である国分寺崖線は、台地に降った雨が地層で濾過されるため、清らかな水が湧き出す湧水地。園内の奥には、草木に包まれた湧水ポイントも見ることができます。

冒頭で紹介した「お鷹の道・真姿の池湧水群」も、崖からの湧き水であり、さらに二子玉川まで流れる野川の最源流となっているそうです。

森の中のおしゃれカフェ

湧水園そばには、おたカフェというカフェが営業しています。前述の通り湧水園のチケットの取り扱いに加えて、食事メニューやちょっとした名産品の販売もあります。

メインメニューは「野菜と鶏肉のスープカレー」と「あめ色たまねぎのキーマカレー」。あとはコーヒー、紅茶、チャイなどのドリンクや、チーズケーキ、キャロットケーキ、国分寺たまごのプリンなどのスイーツも扱っています。

こちらはキーマカレー。タマネギがとろっとろ!甘さは控えめ、酸味が強めなエスニック感あるカレーでした。

そんなわけで、国分尼寺跡、国分僧寺跡、国分寺、おたかの道湧水園とたっぷりめぐった国分寺エリア。豊かな自然や情緒あるお寺、保存された遺跡を前に、まるで奈良の明日香村や京都の宇治をめぐっているような気持になれました。

混雑もまったくといってありませんので、静かに史跡を散策したい方にはとってもおすすめです!

アクセスと営業情報

開館時間 9:00~17:00
休館日 月曜、年末年始
料金 100円
公式サイト https://www.city.kokubunji.tokyo.jp/shisetsu/kouen/1005196/1004237.html

※掲載の情報は2026年6月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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