剣豪の里・柳生の山中に眠る一刀石をめざす!『柳生の里めぐり』(奈良市)

奈良県

奈良市にある柳生(やぎゅう)は、剣豪として名高い柳生一族ゆかりの地。柳生家の墓所がある「芳徳寺」、修行の場とされる「天乃石立(あまのいわたて)神社」を越え、天狗の伝説が残る「一刀石」を目指します!

訪問日:2023/4/29(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

剣豪の里・柳生

柳生と聞くと、真っ先に頭に浮かぶのが「柳生十兵衛」。黒い眼帯を付けた隻眼の姿は、テレビドラマや漫画、ゲームの世界などでもおなじみです。

フィクションの世界で知名度が高い剣豪ですが、実在の人物であり、本名を柳生三厳(みつよし)といいます。

そして彼の父にあたるのが、初代柳生藩主である柳生宗矩(むねのり)。徳川秀忠・徳川家光という歴代将軍の剣術指南役もつとめた剣士であり、「新陰流(通称:柳生新陰流で)」を確立した人物でもあります。

奈良県奈良市の柳生下町には、そんな柳生一族にゆかりのある史跡が多数残されており「剣豪の里」と呼ばれています。

柳生観光駐車場からスタート

見どころが多数ある柳生ですが、各スポットに駐車場はありません。そのため、どこか駐車場に車を停めて歩いてめぐるのが一般的。事前にマップなどで目星をつけてから訪問するのがおすすめです。

今回は、奈良市立柳生観光駐車場を利用しました。受付におじさんが常駐しており、料金は600円。マップとともに、ちょっとした観光案内もしてもらえます。

写真の左が駐車場入口、右のスロープ&石段が「芳徳寺」「天乃石立神社」「一刀石」への道。他にも駐車場はありますが、これらのスポットに行くならばここが最寄りかと思います。

柳生一族の菩提寺・芳徳寺

奈良市営柳生観光駐車場から坂道を上ること5分ほど、芳徳寺の門が見えてきます。拝観料は200円ですが、受付などは無いため門の前の賽銭箱に投入します。

ここは柳生宗矩が父である柳生宗厳(石舟斎)を弔うために1638年に建立した寺院。開山は宗矩の友人である沢庵和尚で、かつて柳生城があった高台に建てられております。

本堂へとあがることもできます。本尊の釈迦如来像とともに、沢庵和尚の木像、柳生宗矩の木像、柳生宗矩の4男である列堂和尚の木像が安置されていました。

このお寺は柳生家の菩提寺であり、木々の合間を奥へと進んでいくと柳生家墓所にたどりつきます。ずらりと並ぶ墓石は80基、それぞれ少しずつ異なるデザイン。家系図も載ったわかりやすい解説板も設置されています。

荘厳なる天乃石立神社

天乃石立神社までは、木々に包まれた道を上って行きます。距離はそれほどでもないのですが、起伏があるので少々息があがるときも。

駐車場から15分ほど、見えてくるのは石鳥居。

鳥居の先に見えるのは「前立磐」「後立磐」「前伏磐」と名付けられた巨石。苔むした神秘的な姿を前に、登ってきた疲れも吹き飛びます。

この神社は古代の磐座信仰のカタチを色濃く残しています。そのため御神体を安置する本殿はなく、巨岩そのものを神体として崇めるという形態をとっています。

日本神話において、天照大神がこもった天岩戸を力自慢の手力男命が開いたとき、その扉石がここまで飛来したという伝説が残っているそうです。

大人気な一刀石

天乃石立神社から100mほど、木の根の道を進んでいくと立ち並ぶ木々の奥に巨大な石が見えてきます。

まるで何かに切りつけられたかのように中心にスリットの入ったこの石、一刀石と呼ばれています。

かつて上泉信綱との試合で敗れた柳生宗厳(石舟斎)は、ここで天狗を相手に修行を行っていたそう。ある夜、一刀のもと天狗を切り捨てると、そこにあったのがこの巨石であったとそう。

そんな剣豪に関わる伝説が残る巨石、人気漫画・アニメの『鬼滅の刃』の影響で撮影スポットとして大人気!主人公の竈門炭治郎が修行の果てに岩を斬るシーンがあり、ここでは多くの人がそれを再現したポージングで写真撮影を行っているそう。

周辺は木の根だらけですが、一刀石の前はウッドデッキが敷かれています。さらに撮影用のカタナとスマホスタンドまで設置されているという用意周到っぷり。その気はなくてもここまで来てこのセットを見たら、思わず撮影してしまう可能性大です・・・!

前述の通り、駐車場からここまでは上り坂を15分ほど進むことになります。撮影予定の方は、移動用に歩きやすい靴の持参がおすすめです。また、夏場は汗だくになってしまう可能性も高いのでご注意ください。

岩に隠れた天狗

一刀石を眺めていると、岩の奥の崖に何か像が置かれているのが見えます。

一刀石の裏側へ進んでみると、道ができており岩の上に登ることができます。写真撮影したい方も、気軽に登ることができるのです。

先程の像が見えてきました。遠くから見たときはよくわかりませんでしたが、山伏のような服や独特な鼻の形状から、どうやら天狗のようです。おそらく一刀石の伝説にちなんで祀られているのだと考えられます。

高くそびえる十兵衛杉

他にも見どころのある柳生ですが、そろそろ日が暮れてきたので今回はここまで。駐車場から芳徳寺、天乃石立神社、一刀石とめぐってトータルの所要時間は1時間ほどでした。

さて、次の場所へ移動・・・そう思ったのですが、最後にこれだけ見ていくことにしました!

豊かに葉を茂らせる木々の中、一本だけ異彩を放つ樹木の姿が確認できます。こちらは柳生十兵衛が諸国漫遊に旅立つ際に植えたとされる杉で、十兵衛杉と呼ばれています。

落雷によって枯れてしまいましたが、その姿は逆にインパクト抜群。柳生のシンボルとして、今も里を見守っています。

いずれは風化してしまうかと思うと少し切なくなりますが、実は現在は2代目十兵衛杉がすくすくと育っているそうです。いずれは、こちらが柳生のシンボルとして皆に愛されていくことでしょう。

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