そこは仏像だけの世界『なら仏像館(奈良国立博物館 旧本館)』(奈良市)

奈良県

まるで宮殿のような洋風建築がインパクトある奈良国立博物館の旧本館。現在は「なら仏像館」として、仏像専門のミュージアムとなっております。ひたすら立ち並ぶ圧巻の仏像群を眺めて、あなただけの推し仏を見つけてみてはいかがでしょうか?

訪問日:2017/4/14(金) ※掲載内容および写真は訪問時のものです

目を引く洋風建築

春日大社や東大寺、興福寺といった神社仏閣が集まる奈良公園。和風な建築が立ち並ぶ中でひときわ印象的なのがこちらの建物。

こちらはなら仏像館。奈良国立博物館の旧本館であった建物が、2010年に仏像専門としてリニューアルされたミュージアムです。

この建物は、明治27年に完成した奈良で最初の本格的洋風建築。建築を担当したのは、宮廷建築に多く携わってきた片山東熊(かたやまとうくま)。京都国立博物館や東京国立博物館の表慶館などでも知られる建築家です。

このなら仏像館は通常17:00閉館ですが、金曜と土曜に限り20:00まで開館時間を延長しています。奈良の観光スポットやお寺の多くは17:00で閉館となるところが多いため、遅くまでやっているスポットはとっても貴重。一日の最後に訪問するのにぴったりな場所です。

立ち並ぶ仏像群

なら仏像館の名が示す通り、展示はひたすら仏像、仏像、仏像・・・・。その展示数は常時100体近く!国宝や重要文化財に指定されているものなど、貴重な仏像をたっぷりと楽しむことができます。(※館内は写真撮影禁止でした)

四天王像や十二神将像、千手観音像や阿弥陀如来像など、教科書で見たことあるような仏像にもたくさん出会えます。

寺院で仏像を見ると「信仰の対象」として手を合わせてしまいますが、ここで見ると「美術品」として鑑賞することができます。お寺の本堂とは異なり、明るい照明や白い壁も美術館ならではのポイント。細部までじっくりと観察してみて、造り手の呼吸を感じ取ってみてはいかがでしょうか。

仏像の楽しみ方

たくさんの仏像を前にしても、「見方がよくわからない」なんて感じるかもしれません。ここでは私なりの簡単な仏像の楽しみ方をご紹介。

まずは仏像のランクを理解してみること!様々な姿を見せる仏像ですが、実は「如来」「菩薩」「明王」「天」と大きく4つの尊格に分けられるのをご存じでしょうか。

最高ランクの「如来」はいたってシンプルな装いをしており、The大仏といった御姿をしております。続く「菩薩」は煌びやかな装飾を纏っていることが多く華やかな印象。煩悩を力で屈服させる「明王」の多くは憤怒の表情で迫力満点。古代インドの神々を取り込んだ「天」は、そのデザインも様々。大雑把にこんな感じで特徴が分かれていますので、ぱっと見た仏像がどれに当てはまるのか考えてみるのも、楽しみ方の一つ。

さらに、年代別に並ぶ展示では、時代によって変遷する様子を感じとることもできます。飛鳥時代は「杏仁形(きょうにんぎょう)」と呼ばれるアーモンド形の目やアルカイックスマイルを浮かべていたり、奈良時代に入るとより写実的になっていたりと、大まかなトレンドがあります。細かな違いに気が付いたら、きっと仏像の虜になっているはず・・・!

他にも、持ち物に注目してみたり、さらには台座に目をやってみたりすると、それぞれ色々な違いが見つけられます。こんなにたくさんの仏像を明るい部屋でじっくり見ることができる機会は滅多にありません。この博物館ならではの「見比べ」に挑戦してみましょう!

直感で楽しむには

「いや、漢字が多くて無理」。そんな声が聴こえてきました。そんな方におすすめなのが、もっと直感的な楽しみ方。

好みの顔を見つける
日常生活で顔立ちばかりを重視すると、途端に「面食い」のレッテルを貼られてしまいます。しかし、五月人形だって「顔がいのち」なのですから、仏像の顔というのも大事な要素。物凄く強そうで怖い顔をしていたり、柔和でマイルドな表情だったり、凛々しい端正な顔立ちだったりと、そのお顔は様々。あなた好みの顔を見つけてみてはいかがでしょうか。

ポージングに注目
仏像のイメージって「直立不動」か「胡坐(あぐら)」が強いかと思いますが、実際のところそのポージングは多種多様。何かに立ち向かって行くかのような「伽藍神立像」をはじめ、なかなかユニークな姿勢をとる仏像もちらほら。動きに着目してみると、また違った楽しみ方ができます。

「推し仏」を見つける
もう難しいことは何も考えずに、自分の中のザ・ベストワンを見つけてみるのもひとつの楽しみ方。大きさ、名前、表情、何を基準にするかは完全に自由!直感で決めても良いです。「どれか一体だけ家に持って帰れるとしたら?」みたいな妄想で考えてみても面白いです。脳内でウルトラソウルを流して、Hiのタイミングで決めるのもアリです。

「好きなモビルスーツはアッシマー」「サンリオならクロミが好き」これくらいの感覚で好きな仏像が見つけられると、仏教を急に身近に感じることができるかもしれません。

破損仏像残欠コレクション

ちょっと変わった展示として気になったのは、「破損仏像残欠コレクション」というコーナー。読んで字の如く破損してしまった仏像を展示しており、手や足先が欠けていたり、装身具の一部などパーツだけとなった仏像が、なんと100点余りも展示されています。

文字で書くとそれほど違和感は無いかもしれませんが、ばらばらになった手や足などが大量に展示されている様子は、なんとも異様で不思議な光景なのです・・・!

眺めていて感じるのは、破損仏像というのはとってもミステリアス。欠けている部分がどんな風であったか想像してみるのものなかなか楽しいです。ルーブル美術館に収蔵されている「サモトラケのニケ」が頭部と両腕を欠いた姿で多くの人々を魅了するかのように、ここの破損仏像たちもまた訪れた多くの人の関心を集めていました。

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写真が無いと、全然記事が書けません!!

仏像の魅力を文字だけで伝えるのは、私にはレベルが高すぎます。「現地に行ってのお楽しみ」という逃げの一言を残して、この辺りでおしまいとさせてくださいー。

公式HPのよくある質問には写真撮影についての記載があります。これによると一部の仏像に限り写真撮影が可能なようです。気になる方は直接問い合わせてみるのをおすすめします。

アクセスと営業情報

近鉄奈良駅から徒歩15分、JR奈良駅から徒歩25分ほど。

開館時間 9:30~17:00 ※金土は20:00まで
休館日 月曜、年末年始
料金 700円
公式サイト https://www.narahaku.go.jp/

※掲載の情報は2022年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

 

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