北海道の湖や河川に暮らす淡水魚を中心とした小さな水族館。地味になりがちな淡水魚ですが、個性的な水槽とユニークな掲示物のおかげで非常に見ごたえがあります。わざわざ訪れる価値のある水族館です。
道の駅内の水族館
日本一の生産量を誇るタマネギや、白花豆ソフト、巨大なハト時計など見どころのつまった道の駅おんねゆ温泉。その敷地内には、「北の大地の水族館」という小さな水族館が建っています。
もともとは「山の水族館」という名称でしたが、集客減によって経営の危機を迎えます。
そのピンチを救ったのが中村元。日本各地の水族館を改修してきた著名な水族館プロデューサーです。彼の監修のもと、限られた予算の中で「建物ではなく水槽が重要」「特徴的な大水槽を3つ」「水族館の客は大人が8割なので大人が魅力を感じるように」などの方向性でリニューアル開始。2012年には北の大地の水族館という名称にてオープンしました。
圧巻の滝つぼ水槽
入館してすぐに目に入るのはこちら。激しい流れが渦巻く滝壺が再現された、インパクト抜群の水槽。これぞ「水塊(すいかい)」といった演出で、一気に世界観に引き込まれます。
キラキラと輝く激流の中を泳いでいるのはオショロコマというサカナ。激しい流れにも負けずに力強く泳ぐ姿はとても美しいです。
冬になるとオスは婚姻色であるオレンジ色に変わり、激しいバトルを繰り広げるとのこと。もし冬季に訪れる予定の方は、じっくりと観察してみるとオスの生きざまを見ることができるかもしれません!
リアルな川の四季水槽
続いて見えるのがこちらの四季の水槽。水槽とはいうものの、ガラスの向こうは屋外の池。
泳いでいるサカナはそのときによって変わりますが、訪問時はサクラマス、カラフトマス、シロザケと大きなサケ類がたっぷり。ダイナミックな動きは非常に見ごたえがあります。
このサカナたちは、9月末頃には産卵を終えて力尽きてしまいます。産み付けられたタマゴは、この水槽を泳ぐニジマスやウグイ、ヤマメの餌になるそう。ちょっとかわいそうに感じてしまいますが、これも自然界では当たり前に起こっている話。そういったリアルな自然の姿を知ることができるのもこの水槽の魅力です。
実はこの水槽、世界初となる「凍る水槽」。1月頃に訪れると水面が凍りつき、その下で静かに冬を越すサカナたちの姿を見ることができるそうです。
日本最大の淡水魚イトウ
ずらりと並んで泳いでいるのはイトウ。1m級の大きなサカナで、およそ20匹ほど飼育されています。
かつては東北地方でも見ることができましたが、現在は北海道の一部の地域にしか生息していません。ここのイトウたちは朱鞠内湖(しゅまりないこ)で混獲されたものを引き取っているそうです。
水槽内をよく見ると、小さなニジマスが一緒に泳いでいます。実はこのニジマスはイトウのエサ。
この水槽では、火曜・木曜・土曜の14:30から「いただきますライブ」という名の給餌解説を開催しています。生きたニジマスが大量に投入され、イトウたちはそれを追いかけて食べてしまうそう。残酷に感じますが、自然下での厳しい食物連鎖を体感することができるはずです。
温泉水で育つ熱帯魚
北海道の淡水魚を中心とした水族館ですが、全く気候の異なる地域で暮らす熱帯魚も多数見ることができます。南米を再現した水槽では、ピラルク、コロソマ、レッドテールキャットといった大型淡水魚がたっぷり。
東南アジア水槽では、レッドフィンバルブやアロワナ、ブタバナガメことスッポンモドキがひらひらと泳いでいます。
なぜ熱帯魚がいるのか、それは前身である山の水族館時代から「熱帯魚も扱う温泉水族館」として温泉水を使用した飼育が行われてきているためであるそう。温泉水にはサカナの成長を早める効果もあるとのことです。
遊び心たっぷりな解説板
小さいながらも見ごたえ抜群な水族館ですが、見逃せないのがスタッフさんたちが作成したユニークな掲示物。
サカナを紹介した解説シートは「大きさ」「重さ」に加えて「特技」や「タイプ」の表記。どこかで見たことあるフォーマットだなと思ったのですが、もしかした「〇ケモンGO」ではないでしょうか・・・?ちなみに、ほぼすべて「タイプ:みず」でした。
ヤマメ水槽のそばには「神推しヤマメちゃん」とかかれた応援うちわが設置されています。このうちわを持ってヤマメちゃんと2ショット撮影してみてはいかがでしょうか。ちなみに、このうちわの裏側にはある秘密が書かれています・・・。
エゾサンショウウオ水槽の前に置かれているのは「あなたの心のズッキュンカウンター」。特に説明はありませんが、きっとエゾサンショウウオ見てときめいてしまったらその思いの丈をぶつけるのだと思います・・・!!ちなみに訪問時は3372カウントでした。
他にもあちこちに貼られた解説がいちいち面白いです。一番印象に残ったのは「男で釣るコロソマ塾」ですが、ちょっと記事には書きにくい内容。気になる方は、ぜひ現地でご探してみてください!
アクセスと営業情報
JR留辺蘂駅からバスで約20分。車の場合は北見駅からは約45分、女満別空港から約1時間30分、紋別空港から約1時間30分ほど。
開館時間 | 8:30~17:00 ※11~3月は9:00~16:30 |
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休館日 | 4/8~14、12/26~1/1 |
料金 | 670円 |
公式サイト | https://onneyu-aq.com/ |
※掲載の情報は2023年9月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
実はこの水族館に訪問するのは今回2回目。以前も同じように紹介記事を書いたのですが、今回は過去記事を見ることなく新しい気持ちで書かせていただきました!以前よりは少し成長したかもしれません。
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