日本で唯一のプリズンミュージアム『博物館網走監獄』(網走市)

北海道

普段見ることのできない監獄・刑務所を様々な角度から知ることができるレアなミュージアム。リアルなマネキン囚人やシアターを通して、監獄や北海道開拓の歴史を体感することができます。

2017/5/4(木)

網走を代表する観光スポット

「網走といえば監獄」それくらい全国的に知名度を得ている網走監獄。そんな網走刑務所の旧建造物を保存し、博物館として公開しているのが博物館網走監獄。高い鉄格子がそびえる入り口は、雰囲気抜群です。

訪問者を出迎えるのは、赤レンガ門とも呼ばれる網走刑務所の正門。厳しい表情をした看守が立っています。人形とわかってはいるのですが、気が引き締まります。

園内は、あちこちに建物が点在している屋外タイプの博物館。移築、または再現された旧網走刑務所の建築物が25基並んでいます。

リアルな人形が暮らす監獄ワールド

網走監獄でとにかく印象的なのは、そこかしこに暮らすリアルなマネキンたち!食事しているマネキンが食べているのは、麦飯と葉っぱの味噌汁とたくわん。

浴場にもマネキン。お風呂といっても安まるわけではなく、全ての動作は3分刻み、合計15分で済ませなければならなかったそうです!かなり厳しいですねー。お風呂は時間を忘れて入りたいものです。

ディスタンスを保ったマネキンと、その前に建つお坊さんマネキン。こちらは教誨堂(きょうかいどう)という、宗教の力で囚人を更正させるための講堂。僧侶や牧師、民間有志の方々が慰問したそうです。

とにかく存在感ばつぐんなマネキンたちがいるお陰で、刑務所の暮らしが非常にわかりやすい!

ただし、全力で泣いているお子様の姿も・・・!お父さんが「ここはオレンジの人いないから大丈夫だよ!」と必死にあやしていました。

現代的な刑務所のカタチも

園内の釧路地方裁判所網走支部では、もっと現代なマネキンたちが待ってます。復原された建築物ですが、照明やカーテンなどは、当時実際に使用されていたものです。

被告人室にはリーゼントのあんちゃん。対面にはバーコードのおじさんが。リーゼントはともかく、なぜわざわざバーコードヘアーで作ったのでしょうか。

現在の網走刑務所の部屋も見ることができます。イメージする刑務所と全然ちがうキレイな部屋にびっくり。

まるで1泊3,000円くらいのゲストハウス個室部屋。よく見ると部屋の奥には水道トイレが付いているので、1泊4,000円くらいかも。

放射状に広がる5つの舎房

最も写真映えするのは五翼放射状官舎。木製の格子と白壁がなんともレトロな雰囲気。高い天窓からは太陽光が存分に降り注ぎます。

こちらは、5つの細長い棟が放射状に広がるよう造られており、その真ん中には中央見張り所が設置されています。

監視カメラなど無い時代、イギリス人哲学者によって考えられた監視システム「パノプティコン」を手本にした建造物で、囚人たちを常に一方的な監視下に置くことができるように考えられています。

北海道開拓の歴史

テーマパーク感覚でも楽しめる網走監獄ですが、せっかくなのでもう少し勉強していきましょう。重要文化財に指定されている庁舎では、網走監獄の歴史を展示しています。

そもそもこんな北の大地の網走に監獄ができた理由は、脅威だったロシア帝国の南下に対して北の防備を固めるためなのです。

防備を固めるには、まずは開拓して道路を作る。そのために労働者としてあてられたのが囚人たち。

囚人が倒れても監獄費用が減るだけ。廉価な労働力として考える『囚人苦役論』のもと、また、刑を終了した囚人が住み着くことで北海道の人工増加促進となるであろうという『苦役本文論』のもと、囚人たちは過酷な労働を強いられていました。

囚人が道なきところに道と家をつくり、そこから屯田兵が開拓、そして移住民がさらに開拓することで、現在につながる北海道ができあがっていったのです。

足元には囚人労働が拓いた北海道の大地マップが記されています。

囚人が開削した道路の総距離724km、囚人が開墾した土地の総面積17,000,000㎡。特に網走~旭川をつなぐ中央道は囚人211名どころか看守にも犠牲が出る突貫工事だったのです。

そんな過酷な労働環境に関しては、監獄歴史館のシアターで上映されている「赫い囚徒の森」というムービーで生々しく描かれています。

夜通しの工事で看守もつらい。「俺だって辛いんだ!寝てないんだ!」「死ぬんじゃない!一緒に網走へ帰ろう」。このセリフは以前訪れたとき以来、ずっと頭に残ってました。この先も忘れることはないと思います。

今こうして快適北海道を旅できるのも、囚人たちのおかげ。本当に感謝しなくては。

2人の脱獄ヒーロー

脱獄犯ときくと、妙にわくわくしてしまうのは私だけでしょうか?厳しいセキュリティを突破し、過酷な環境から抜け出すところにはヒロイズムすら感じられます。

この網走監獄の展示で面白かったのは2人の脱獄犯「西川寅吉」「白鳥良栄」について。

西川寅吉

1人目は、西川寅吉(にしかわ とらきち)。叔父さんの仇討ちをしたことにより捕まってしまいますが、仇討ちの相手がまだ生きていることを知り脱獄を決意。合計6回もの脱獄を試みます。五寸釘を踏み抜いても逃げまわったので、通称『五寸釘寅吉』と呼ばれていました。

最後は、網走刑務所にて模範囚となり、なんと仮出所が赦されるほどだったそう。その後は見世物小屋で全国をまわったりしていたそうです。

そんな寅吉は、今でもここ網走監獄の入口で掃除をしてます。

白鳥由栄

2人目は白鳥由栄(しらとり よしえ)。26歳のときに強盗を行い、その相手の命を奪ってしまったことから投獄されます。そこで受けた厳しい懲罰をきっかけに脱獄を決意。合計4回も脱獄を行い『昭和の脱獄王』『天才脱獄魔』という異名で呼ばれていました。

そんな由栄には「手錠を破壊できるほどの怪力」「4.5mの塀を越え、1日120kmを走り抜ける体力」「頭が入るスペースさえあれば通り抜けられる間接はずし」といった常人離れした能力がありました。さらに、手錠を腐食させるため毎日味噌汁かけるといったテクニカルな技も行っていたといわれています。

最終的に収監された府中刑務所に入ってからは、その待遇に納得したのか模範囚へ。無事仮出所を果たしたそう。

「囚人」で「脱獄犯」ときくと、もう普通の人間ではないようなイメージすらありましたが、なんだかとても立派な人間に見えます。両者とも、最後は模範囚となっているのもすごい!それまでは波乱万丈でも、最後が穏やかだと良い話に見えるから不思議です。

世にも珍しい囚人体験

園内の監獄歴史館には、体験コーナーがたくさん!他ではなかなか体験できない、囚人体験が楽しめます。

まずは、囚人服を着てみようコーナー。視界の狭い編み傘で、囚人に地理を覚えさせないようにしたとか。

鉄丸(てつまる)をつけて歩いてみようコーナー。マンガとかでよく見る、足につける鉄球です。やってみたのですが、かなりきついです。

監獄入獄写真なんてのもあります!プリクラみたいな機械で「刑務所なう」な写真を撮ることができるのです。

他にも運搬具であるもっこを担いでみたり、丸太の枕に寝てみたりと、どれも他ではできないような体験がそろってます。また、麦ご飯や焼き魚の監獄食も食べることができます。

アクセスと営業情報

最寄り駅はJR網走駅で徒歩なら約40分、バスなら約10分でアクセスできます。最寄りの空港は女満別空港で車で約20分。駐車場は無料です。

開館時間 9:00~17:00 ※8/1~16は18:00まで
休館日 年中無休
料金 料金:1,100円

今回はGWに訪問したため、なかなか混雑していました。10:30頃になると、チケット売り場には長蛇の列が!混雑を避けたい場合は、朝イチで行くか、夕方ごろを狙うのが良さそうです。

 

 

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