屋内に広がる桜の園『郷さくら美術館』(目黒区・中目黒)

東京都(23区)

桜をテーマにした作品を展示する、非常に特殊なミュージアム。館内に一歩踏み入れると、そこは満開の桜の園。様々な作家の個性を感じつつ、華やかな世界を感じることができる美術館です。

訪問日:2026/3/20(金) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

サクラ専門の美術館

桜の名所として知られる目黒川のすぐ近くにある郷さくら美術館。真っ黒な外観ですが、よく見るとマス目になっており、桜の模様が記されています。

ここは、昭和以降の現代日本画家の作品を収蔵したアート・ミュージアム。テーマを設けて構成される「コレクション展」を中心に、年に4・5回の展覧会を開催しております。

その名の通り、桜をテーマにした作品を多数収蔵しており、「一年中サクラが楽しめる」というのが魅力のひとつ。また、50号(約1167mm×910mm)以上の大きな作品が多いのも特徴です。

※以前はこの「東京館」以外にも、福島県の「郡山館」とニューヨークの「NYギャラリー」があったようですが、どちらも閉館しているようです。

毎年開催の桜花賞展

東京館の1周年を記念して2013年に創設されたのが桜花賞展。若手の日本画家に桜をテーマにした作品の作成を依頼、すべて買い上げると同時に授賞作品の選定と一般公開を実施するというものです。

訪問した2026年3月は、第13回が開催されていました。

第13回 郷さくら美術館 桜花賞 展
会期:2026年2月24日(火)- 5月10日(日)
休館日:月曜日 (但し、3/23・3/30・5/4 開館)、4/10-4/14、5/7
開館時間:10:00 - 17:00(最終入館 16:30)

今回は若手日本画家31名による作品を展示しています。なお、桜花賞展は今回が最終回とのことです。

写真撮影は展覧会によって異なりますが、今回の桜花賞展は撮影OKでした!ということで、ここからは私が気になった作品をいくつか紹介させていただきますね。

華やかで儚い桜の絵画

屏風いっぱいに描かれたソメイヨシノの花が美しい中島千波《櫻雲の目黒川》。無数の花は、花弁から雄しべまで一つ一つ丁寧に描かれています。花の濃さも様々なパターンがあり、立体感と奥行きを加えています。

圧倒的に花の数が少ないのは手塚雄二《惜春》。月夜に浮かぶ枝には、散りかけたわずかな花が数点。終わりがけの儚さを感じるとともに、わずかに開いた葉に新たな希望を感じます。

第13回の大賞はこちら、森花《高鳴り》。富山県小矢部川の桜並木を描いた作品です。桜以外の植物も多数描かれているのが個性的。ぼんやりと染まる空や、灯り始める提灯、1日の終わりが近づいてもなお賑やかさを保つ様子が感じられます。

 

ユニークな切り口の作品

桜というとある程度イメージが固まっているテーマですが、そこを崩している作品も多数展示されていました。

野口愉加《桜流し》は桜の樹木は描かず、水面に散った花弁にフォーカスした作品。無数の波紋は雨天を表現しています。よく見ると水面には枝が映っており、浮かぶ花弁と重なることで、花咲く桜を完成させています。

写実的な作品が多い中で、抽象表現に振り切った山部杏奈《丘の桜》。かろうじて大地と幹は感じ取れますが、枝と花は空気と交じり合い、一体化しているように見えます。

中村妃菜《春と珈琲の香り》は、桜の樹ではなく、熊本県の阿蘇市にある古民家カフェをメインに描いた大胆な作品。建物の奥にそびえる木から振り注ぐ花弁は、カフェを鮮やかに彩ります。

田口果歩《始まりの声》は吸い込まれるような作品。まずはピンクとブルーのグラデーションに目が行き、その後、人物の胸像に気が付き、最後に桜の花が見えてきます。さらに、奥に見える橋と家屋、下部に見える草むらと様々な発見が連なる体験。まるで絵画が変化しているような錯覚に陥りました。

歴代の大賞作品

1階奥の展示室では、これまでの1〜12回桜花賞展の大賞作品が集まっています。

弘前公園の桜を描いた鹿間麻衣《巡》。赤を基調とした色彩がとっても鮮やか。蓮の葉が浮かぶ水面には、花筏(はないかだ)が形成されています。

八谷真弓《燦燦》は、佐賀県唐津市の衣干山さくら公園の衣干百年桜がテーマ。色のない白黒の作品は、水墨画でしょうか。桜といえばピンクのイメージがありましたが、白くても充分に美しいです。

これだけ様々な表現がされた桜の絵を見ると、自分でも桜を描いてみたくなります!!

作品それぞれに「取材した桜」の記載があり、それぞれの桜の所在地を記したマップも掲示されています。福島県「三春の滝桜」、東京都「新宿御苑の福禄寿の桜」など、各地の桜が記されていました。

自分ならどこの桜を選ぶかな、なんて考えるのも楽しい。うーん、私だったら山梨県の「山高神代桜」かな。

アクセスと営業情報

東急東横線、東京メトロ日比谷線の「中目黒駅」より徒歩5分。

開館時間 10:00~17:00
休館日 月曜
料金 800円
公式サイト https://www.satosakura.jp/

※掲載の情報は2026年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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