3,333段という恐るべき段数で日本一に君臨する釈迦院御坂遊歩道。普段運動しないのですが、近くに来たので無謀にも挑戦してみることにしました!時間配分と日没時間にはとにかく要注意です。
(登頂後、釈迦院まで行ったのでトータル2時間35分)
駐車場と準備
日本一の石段があるのは熊本県のほぼ中心あたりに位置している美里町(みさとまち)。石段までは案内板が多いため、ルートに迷うことはないかと思います。
石段入口すぐのところにある駐車場。こちらは有料で料金は300円。夕方だったためかスタッフの方は不在。料金箱があったので、そちらに支払いました。
さて、登る前に荷物と服装を再確認!
石段ルートに自販機は無いので、飲み物は必須です。きっと汗もかくはずなので、タオルも首に装備。今回の旅は天草メインの島旅だったため、登山装備は持って来ていません。トレッキングシューズも履いてきていないため、ブーツで挑みます。
せめて脚の負担を減らせるようにと持ってきたヒザサポーターだけは装備。かつて往復10時間に渡る屋久島の縄文杉コースにてヒザを守ってくれた実績のあるアイテムです。ちなみにDAISOです。
登山計画
3,333段は未だ経験したことの無い数字。どれほど大変なのか想像もつきません。登山と一緒でペース配分が大事だと思うので、事前にある程度計画を立てることにしました。
ネットで登った人の口コミを見ると、だいたい1〜2時間という人が多い様子。3のつく段と3の倍数の段でナベアツになりながら登ろう!などと考えたのですが、終盤おそろしいことになるため却下。
だいたい30分で1,000段くらいと想定して、登りは1時間30分くらいを目標にしよう!下りは1時間くらいで降りて来れば、合計2時間30分。ここ数日の感覚だと、辺りが真っ暗になるのは18:30以降。ぎりぎり間に合いそうです。
※この計画はだいぶ崩れることになります。
序盤戦 〜調子の良いスタート〜
16:00登山スタート!さあ気合い入れて行くぞ!
すぐに現れるのは大威徳明王。先を急ぐ気持ちもありますが、山に入るからにはちゃんとお参り。無事帰って来れますように。
さすがに夕暮れが近いこともあって人の気配はほとんどありません。そんな中、1リットルの麦茶ペットボトルを片手に持った地元らしきお兄さんが見えたので、私もペースを合わせてみることにしました。すいすい進んでしまうのかと思いきや、意外とゆっくりしっかり一歩一歩踏めしめながら登っています。
この石段はキリの良い段数のところに何段目かを示す石碑が用意されているため、自分がどの辺りにいるか一目でわかります。開始から15分で600段。あれ意外といけそう!
さらに進み開始から20分で1,000段。あっという間に1/3くらいという、とても良いペース。ここには見晴らしの良い東屋があります。少し休憩して今日の宿でも調べよう。どこに泊まろうかな。
中盤戦 〜ペースを保つための作戦〜
1,200段あたりから突如現れる急斜面。そびえる石段はメンタルにダメージを与えてきます。ここで、石段を「1、2、3、、、、」と100段ずつ数えながら進む作戦に出ました。こうすることで登るペースを保てるし、少しだけ気が紛れる気がします。
約半分の1,700段!ここまで40分ほど。トイレ付きの休憩所が現れました。日本電信電話株式会社と刻まれたNTTの石碑もあります。
この辺りからは脳内BGMが「めんめんめん麺作り、麺作りどう?」という麺作りのCMになりました。理由は不明です。
途中、ルートは階段ではなく置き石スタイルに変化。久しぶりのすいすい進める平坦な道。ところで、この石は段数としてカウントされているのでしょうか。
いきなり現れるのは日テレの「天才たけしの元気が出るテレビ!!」の石碑。1985年4月14日放送と書かれています。私が生まれる前の出来事ですが、この石碑を見たらなんだか元気が出てきました!コトバの持つ力を感じます。
道沿いには巨木も登場。これまで石段沿いに生えていたのは、人工林のような整然とした若めの木々ばかりでした。この木は他の木とは違い、きっと遥か昔からこの道を行く人を見守ってきたのでしょう。
そろそろ2,000段に差し掛かります。ここまでスタートから約50分。とても良いペースだと思います。
後半戦 〜現れる世界の石〜
この日本一の石段は、世界から贈られた石が使用されております。世界の石たちは後半に近づくにつれ、徐々に姿を見せてくる。奥に進むにつれてどんどん強敵が現れるダンジョンみたいでわくわくしてきました!
2,100段を過ぎたあたりに突然現れる急傾斜。この337段は、韓国原産の白御影石らしい。とりあえず韓国にちなんで韓国料理を何個思いつくかゲームしながら進むことにしました。
トッポキ!キムチ!サムゲタン!韓国料理は身近にたくさんあるのですらすら出てきます。
ここからはインド産赤御影石。インド料理なんてそんなに知らないピンチ!と思ったのですが、インドの石は一瞬で終わり。
道をまたぐ様にそびえる謎の小屋。壁の無い3階建ての大きな小屋は、何か使用用途があるのでしょうか。
今度は愛知県の石の登場。よし、愛知県のご当地グルメならいっぱい出せそう!味噌カツ、手羽先、天むす、ういろう、小倉トースト、マウンテン、たくさんあります!
さあ3,000段!!ゴールはもうすぐだ!ここからはソ連産の御影石。ソ連の料理ってピロシキとかかな。あっという間にソ連のターンはおしまい。短くて良かった。
もうゴールが見えてます。ここで、まさかの笠間の石が登場!地元茨城県を想いながらラストスパート!ところで茨城のご当地グルメって何?水戸納豆、あんこう鍋、干し芋、スタミナラーメンとか?
岩手県、南アフリカ、ブラジル、アメリカ、愛媛県と世界の石もラストスパート。
石段制覇 〜登り終えたところには〜
ついに石段制覇!ここまでジャスト1時間30分!驚くほど計画通りに登ることができました。
登り終えて気づいたのですが、ここには何もない!!
休憩するベンチも無ければ、疲れを吹き飛ばしてくれる絶景もありません。まるで宝箱の中身が空だったときのような喪失感に見舞われました。
実は石段の終着地はここではありません。ここから1km、約15分のところにある釈迦院が真のゴール地点。ちなみに、ここからは下益城郡美里町ではなく、八代市泉町に変わります。
石段に比べたら平面なんて余裕!うきうきで5分ほど進むと展望台発見!まだ太陽は持ちそうです。
エキストラ ~真のゴール・釈迦院へ~
石段から10分ほど、急に道がぱっと開けて現れる寺院。799年に奘善大師(しょうぜんたいし)が開基し、西の高野山とも呼ばれていたそう。参拝すると無病息災になり天寿を全うできるということから「ぽっくり寺」との愛称もあります。人の気配は全くない山上の寺院は、とても静かで幽玄な雰囲気が漂います。
真っ赤で真顔の仁王像が少し怖いですが、立派な楼門。この楼門は登ることができ、中にある鐘を撞くことが可能。ここまで来た証にゴーンとひとつき。
18:00を告げるメロディーが遠くの街から聞こえてきます。さあ、そろそろ帰ろう。シカと遭遇し、お互いびっくりしたりしながら石段へと戻ります。
下山 ~恐怖の帰り道~
日が暮れてきたので少し焦ります。さっきまで夕日が輝いていたのに、暗くなるのは本当にあっという間。
この石段に電灯はありません。薄暗いのですが、なんとか足元は見えます。石段が白くて本当に良かった。
このまま日が落ちたら、ここは暗黒の世界。下りはヒザに負担がかかるので慎重に進みたいですが、真っ暗な山を一人で歩くのは怖すぎるので急ぎ足でどんどん下ります。
脳内BGMは「おばけなんてないさ おばけなんて嘘さ」のエンドレスリピートに変わりました。
ラスト1,000段にさしかかかったあたりで、完全に暗闇に。スマホのライトで照らしながら進みます。うーん、これぞ孤独。たった一人で山の中に泊まるソロキャンプをする人は、こんな孤独と向き合っているのかな。
あと400段!といったあたりで、向こうから2つの灯りが登ってくる。なんと、今から登るらしい!もちろん最上部までではなく、ちょっと様子見で途中までとのことです。
この状態から登りはじめる人がいるなんてびっくり!そう思ったのですが、私が一人で夜の山を歩いていたことの方にびっくりされました。
自分より奥に人がいるとわかった途端、急に訪れる安心感。もうあとはゆっくり下って無事駐車場まで帰ってきました。
下りの所要時間は35分。登りが1時間30分だったので、半分以下という恐ろしいペース。ヒザがガクガクです。
へとへとになったところで今日の宿は未定!さあどうしよう!そういえば、熊本にはとある聖地があるとききました。そこへ行ってみようかな。
コメント
[…] 駐車場から杉までは徒歩ルート。登り坂なので少しキツイですが、昨日登った日本一の石段に比べたらこれくらい余裕です。 […]
[…] 以前近くを通った際は、そこまで体力も時間も無いからとスルーしてしまいましたが、ココを越えた私に怖い石段はありません。 […]
[…] 以前、総数3,333段という日本一の石段を上るために訪れたことのある熊本県の下益城郡(しもましきぐん)美里町(みさとちょう)。久しぶりに再訪した目的は八角トンネル。森に隠れるように、八角形のトンネルがあるとのことです。 […]