木々に包まれた神秘的な遺跡『八角トンネル』(美里町)

熊本県

森の中にひっそりとたたずむ姿が魅力的な八角トンネル。近年では撮影スポットとしても人気を集めています。トンネルと呼ぶには不思議なカタチをしたこの遺構、いったい何のために設置されたのでしょうか。

訪問日:2023/11/5(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

美里町の人気スポット

以前、総数3,333段という日本一の石段を上るために訪れたことのある熊本県の下益城郡(しもましきぐん)美里町(みさとちょう)。久しぶりに再訪した目的は八角トンネル。森に隠れるように、八角形のトンネルがあるとのことです。

ということで、Google Mapに「八角トンネル駐車場」として登録されている駐車場にやってきました。

駐車場からトンネルまでは、200mほど歩いていきます。未舗装路ですが、整備されておりなおかつ平坦なので歩きやすいです。秋の訪問であったため、草木もそれほど茂っておらず、虫もほとんどいませんでした。

両サイドが切り立つ崖になってきたなと思ったくらいで、ついにその姿が見えてきました。

神秘的な八角トンネル

森の中に現れる八角トンネル。八角形のトンネルが7つ連なっており、まるでアート作品のようなリズミカルな美しさです。

夕方の訪問であったため、訪れている人は私以外ゼロ。静かな森の中で遺跡の様にたたずむ姿がなんとも神秘的です。通り抜けたら異世界にワープしてしまいそうな凄みも感じます。

八角形なのはトンネルの通り抜ける部分だけであり、上部は斜面になっています。

地中に道を通しているわけでもなく、トンネルと呼ぶには少々不思議な姿。土砂崩れを防ぐにしても、隙間だらけな点が引っ掛かります。これはいったい何のために造られたものなのでしょうか。どことなく廃墟のような香りも感じますが、何かの遺構だったりするのでしょうか。

熊延鉄道の遺構

熊本市の南熊本駅から下益城郡砥用町(現・美里町)の砥用(ともち)駅までを結んでいた熊延(ゆうえん)鉄道

その線路の南甲佐駅と佐俣駅の間に作られたのがこちらの八角トンネル。落石除けのトンネルの骨組みだけが残ったのかと思いきや、もともとこのスタイル。正確にはトンネルではなくバットレスという補強のためのものであり、線路の両側の岩が崩れるのを防ぐためのものであったそう。

熊延鉄道は昭和39年に廃線となってしまい、線路も撤去されます。しかし、この八角トンネルはそのまま残されました。周辺にはこのトンネル以外にも第一、第二、第三と3つの「津留側橋梁橋脚」などが残されているそうです。

鉄道遺構ということはわかりましたが、「なぜ隙間が空いているのか」「なぜ八角形なのか」という点は未解決。現地に置かれていた案内板にも「謎が多い遺構」と記されていたので、詳しいことは記録が残っていないようです。

ちなみに、熊延鉄道という名前は熊本と延岡をつなぐ意味で付けられましたが、実現はされなかったそうです。前述の通り熊本県内の砥用駅までしか延びず、総延長は28.6km。熊本と延岡はざっくり160kmほど離れていますので、全体の1/5にも届かなかったようです。

すぐ近くにある二俣橋

八角トンネルのすぐ近くには二俣橋(ふたまたきょう)という観光スポットがあります。八角トンネル駐車場から500mほどなので、歩いても行ける距離です。

手前と奥、「二俣渡」と「二俣福良渡」という2つの石造りの橋が直角に交わるため「双子橋」とも呼ばれています。

10月から3月の期間限定で、11時30分から12時頃までの約30分間ハートマークが出現。「ハートが出来る石橋」として恋人の聖地に認定されており、ハート型のモニュメントも設置されていました。

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