丘の上のシークレットベース『玉名天望館』(玉名市)

熊本県

小高い丘の上に立つ奇抜でカッコいい展望台。くまもとアートポリスの一環で作られたデザイン性の高い建築物です。無機質なのですがどこか生命体のようにも感じる不思議な魅力があります。

2019/10/4(金)

運動公園内にある展望施設

玉名天望館は、野球場やプール、体育館が集まる桃田運動公園の中にあります。最寄り駅は玉名駅ですが、3kmほど離れているため歩くと40分くらいかかりそうです。路線バスも利用可能ですが、本数にはご注意ください。

野球場裏手の小高い丘の上にありますが、車ならばすぐ近くまで登っていくことが可能。路肩の駐車スペースから階段を登れば、天望館はすぐそこです。

無機質で独特なフォルム

こちらが玉名天望館。直線と曲線が混じり合う不思議なデザイン。コンクリートで無機質なのですが、わずかに生き物のように感じる部分も。異質なものを無理矢理組み合わせたような印象を受けます。

最初はその存在感に圧倒されたのですが、しばらく眺めていると徐々に親しみが生まれてきます。コンパスと分度器と三角定規とペンを合体させたステーショナリーステーションにも見えてきました。

この展望台を手がけた建築家は、鹿児島県出身の高崎正治(たかさき まさはる)。「物こそ人なれ」の精神で造られているので、わずかに生命体のように感じたのはあながち気のせいではなかったかもしれません。

熊本県のホームページを見ると、以下ような解説文が。ハスの花は上部に浮かぶ円を指しているのでしょうか。

幸福の象徴であるハスの花と、玉名の発展を寓意する3本の矢とともに、複雑かつ不思議な環境生命体としてのフォルムを創り出している。
参照:https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_1653.html

 

 

まるで秘密基地のような展望台


玉名天望館には階段が設置されており、自由に登ることができます。3階建てとなっており、1F:地の座、2F:雲の座、3F:星の座とそれぞれ名称が付いております。

登って行くと、扉のある部屋を見つけました。ドーム状のこの部屋は、小宇宙を象徴している玉の室「ゼロの空間」。床に描かれた八角形にも何か意味があるのでしょうか。

このゼロの空間は外から見ると、アーモンドのような楕円形をしています。まるで抱きかかえられた卵のよう。

この楕円は、なんだか少しだけファットマンのようにも見えます。「ゼロの空間」というのはグラウンドゼロを表しており、この玉名天望館そのものは広島のドームをモチーフにしていたり・・・さすがに深読みし過ぎでしょうか。

そういう意図があるわけではないと思いますが、皆さんはどう感じますか?

山に囲まれた天望

天望館からは周囲の街や山々を見渡すことができます。遮るもののないパノラマはとっても爽快。

まず目に入るのは、雄大な阿蘇山。最高峰の高岳でも標高1,592.3mとそこまで高い山ではありませんが、幅広く伸びる裾野で存在感は抜群。

広がる有明海と、その向こうに浮かんでいるように見える大きな山は長崎県島原半島の雲仙普賢岳

玉名市街地の向こうに見えるのは小岱山(しょうだいさん)。よく見ると、山の中腹には五重塔らしき建造物が建っているのが見えます。おそらく蓮華院誕生寺奥之院でしょうか。

天望館の隣には高田古墳。複雑で無機質な天望館とは真逆、シンプルで自然味あふれる存在ですが、仲良く並んで街を見守っているようでした。

くまもとアートポリス

この不思議な建築物は、くまもとアートポリスの一環で建設されました。

「くまもとアートポリス」というのは、当時知事を務めていた細川護煕(ほそかわもりひろ)によってはじめられた、都市文化向上を目指した建築文化事業。日本中の都市が同じような形態へ変化する中、「熊本らしい田園文化圏の創造」を目標に推進されているプロジェクトです。

初代コミッショナー(最高責任者)は磯崎新(いそざきあらた)、2代目は高橋 靗一(たかはしていいち)、そして3代目となる現コミッショナーは伊東豊雄(いとうとよお)と名だたる建築家が務めています。

このプロジェクトのおかげで、熊本県内のあちこちには他では見ることができないような珍しいデザインの建築物がたくさん!その数はなんと100件以上。
https://www.pref.kumamoto.jp/kiji_17854.html

今回の旅で訪問した特徴的なスパイラル建築物の「三角港フェリーターミナル」や海上でカーブを描く「牛深ハイヤ大橋」もこのプロジェクトの建築でした。


さて、熊本天草旅行の1日目はこれでおしまい。
今夜の宿であるエコビレッジサイハテ村へと向かいます。地図に乗っていない山道を進んだ先に、不思議な世界が突然現れます!続きは次回。

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