三角港の真っ白なスパイラル『海のピラミッド』(宇城市)

熊本県

三角港(東港)にたたずむ白い巻き貝のような待合所。中に入ることも、スロープを歩いて登ることもできます。ついでに三角銘菓を味見したり、三角駅も見学したりしました。

2019/10/5(土) ※掲載内容は当時のものです

東と西に別れた三角港

熊本天草旅行2日目最初に向かったのは熊本県宇城市にある三角(みすみ)港一言で三角港といっても、西港東港の2つに別れています。

西港は明治時代のレトロな建築が残り、世界遺産「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」にも登録された旧港。

三角西港の洋館「浦島屋」

三角西港の洋館「浦島屋」

明治時代ににぎわいを見せた西港ですが、土地を広げることが難しかったため次第に東港が整備されていきます。鉄道も伸びていることから、メインの港は東港へ。

今回訪問した東港は、西港と違い観光客のほとんどいない落ち着いた雰囲気の小さな港。かつては天草諸島へ向かう船が多く往来していましたが、天草五橋の開通により航路は次第に廃止。現在は、前島を経由して天草下島の本渡港へ向かう天草宝島ラインが1日4本、御所浦島行の船が1日2本ほど運航しております。

港にたたずむスパイラル

東港へ来た目的は船に乗ることではありません。こちらの三角港フェリーターミナルの2号待合所を見に来ました!

直径34m、高さ25mの大きな建築物で、待合所という言葉のイメージとは大きく離れる独特のデザインをしています。その三角形のルックスから、通称「海のピラミッド」と呼ばれています。
平面的に見ればピラミッドのようですが、実際は円錐形。螺旋状にスロープがあるため巻貝にも見えます

熊本県は、独自の街並みをつくるプロジェクト「くまもとアートポリス」を展開していますが、この海のピラミッドもその参加施設の1つ。手がけたのは熊本出身の建築家・葉 祥栄(よう しょうえい)

スロープを登って頂上へ


海のピラミッドに巻き付いているスロープは登ることが可能。日陰と日向を繰り返してどんどん上へと進んでいきます。

最上部に到着!ここがピラミッドのてっぺんです。もしゲームの世界だったら、レアなアイテムが置いてあったり何かイベントが発生したりしそうな特別な雰囲気を感じます。

静かな三角港を見渡せる展望台。朝の清々しい空気が爽快です。

対岸には、橋で繋がる戸馳島(とばせじま)が見える。洋蘭の産地であり、島内にあるミュージアム「花のがっこう」では、蘭について詳しく知ることができます。

ピラミッドの内部へ

地上からはもちろん、てっぺんからも内部に入ることができます。


内部も螺旋のスロープが壁沿いをめぐっています。無骨なコンクリートな感触と相まって、現代美術館のようなアーティスティックな雰囲気。

真ん中に立って見上げると、まるでアンモナイト。巻貝の断面図は黄金比と言われていましたが、実際は違ったらしい・・・そんなことを思い出しました。

待合室とのことですが、椅子は少なめ。ベンチが数基、そして螺旋の一部に腰掛けられるくらいです。でも、きれいな屋内トイレの存在は貴重です。

ラ・ガールで三角銘菓を味わう


海のピラミッドのすぐ隣には、みすみフィッシャーマンズワーフ「ラ・ガール」があります。農産物や海産物など、地域の物産が並ぶ道の駅のような施設。せっかくなので少し覗いて見ることにしました。

朝ごはん食べてないので、ちょっとお腹が空きました。軽く食べれて、なおかつご当地感のあるものはないでしょうか。店内を見ていると、バラ売りされている三角銘菓を発見!これにしよう。

『肥後磯まくら』

大納言小豆と肥後米の求肥でできた大福のような和菓子。大福と異なっているのは、外側があんこでなかが求肥という逆の構造をしていること。上品な甘さが美味な逸品で、明治天皇に献上したこともあるという歴史あるお菓子です。

『ムルドル通り』

アーモンド香るダックワーズのようなお菓子。お手頃価格ですが上品なお味。ムルドル通りというのは、三角西港のムルドルハウス近くにある実際の通りの名前。 西港の築港に携わったオランダ人技師ムルドルの名前からきています。

『みかんの里』

パンケーキのようなどら焼きのような見た目ですが、その正体はみかんピールの入った白あんを挟んだブッセ。さわやかで優しい甘さが口の中に広がります。

今回食べたお菓子は、3つとも三角町の和菓子屋さん吟将製菓(ぎんしょうせいか)のメニュー。創業は明治時代という老舗です。
一人旅だとパッケージのお菓子は手が出し辛いですが、こんな風にバラ売りだと、手軽に地域の味を楽しめて良いですねー!

レトロでかわいい三角駅

三角港から徒歩2分ほどのところにJR九州三角線の三角駅があります。目を引く駅舎だったので、立ち寄ってみることにしました。

クリーム色の壁に茶色い瓦屋根が乗った可愛らしい駅舎。十字架も上がっており、まるで教会のようなデザインをしています。手がけたのはインダストリアルデザイナー・水戸岡鋭冶「たま電車(和歌山電鐵)」や「ななつ星in九州」などデザイン性の高い鉄道でおなじみの方です。

待合室もレトロな雰囲気。外感と同じくクリーム色の天井には、様々なエンブレムが描かれています。

この三角駅は、ここで線路が終わりとなる終着駅。線路の終わりときくと少し寂しさも感じますが、すぐ港に繋がっているため開けて雰囲気。終末感は少ないです。

駅名表示には、三角の地名の由来が記されています。
要約すると『かつて景行天皇が巡幸の際にこの地を通ったことで「御門(みかど)」と呼ばれるようになり、それが字が変わって三角になった』とのこと。

景行天皇は第12代の天皇で在位を西暦で表すと71〜130年。日本武尊(ヤマトタケル)の父にあたる存在です。熊襲族を征伐するために九州へ赴いているので、もしかしたらそのときにこの地へ足を踏み入れたのかもしれません。


かなり遠回りしてきましたが、次回からやっと天草諸島へ渡ります!

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