飯能の山中に残る白岩集落。家屋はもちろん、家具や雑誌など、37年前の空気が残されています。今回はウノタワへ行った帰りに、武蔵白岩鉱山跡と合わせて立ち寄りました。登山ルート上にあるため、山歩きに慣れていればそれほど苦労せずにたどりつくことができます。
飯能駅からバスで名郷バス停へ。林道&山道を歩き、苔の群落を越えてウノタワまでたどりつきました。
天神山から鳥首峠へ
ウノタワからは尾根伝いの道。多少の上りはありますが、基本はやや下りの道なのでサクサク進めます。
ちょっとした岩場もありますが、先程の急な上りに比べたらこれくらいなんてことありません。道がわかりやすいだけ、どんなに気持ちが楽なことか・・・。
この辺りは紅葉も抜群にキレイ!良い時期に来ることができました。
天神山の山頂を示す案内板を発見!周りには誰かが供えた小さい秋がたくさん。どんぐりには顔が書かれておりとってもかわいらしい。こういうの癒やされます。
鳥首峠からはひたすら下り道
ウノタワから35分で鳥首峠。ここは道が交差しており、右が冠岩方面、左が白岩を経て名栗方面、直進が有馬山方面となります。
名郷バス停方面は左の道を下ります。が、ここで気になるのは冠岩。ここには廃集落があるとのことで、とっても気になります。ただし、時刻は15時過ぎ。バス停までの時間を考えると日没ぎりぎり。時間的にあまり余裕はありません。ちょっとだけ進んでみましたが全然見えてこなかったので断念。大人しく名栗方面へと向かいます。
鳥首峠からはひたすら下り坂。シューズにつま先が詰まって痛くなってきました。さらにヒザも笑い始めてきました。
つづれ織りになっているのですが、いつまで続くのかってくらいひたすらくねくねと続いていきます。もし逆コースで進んでいたら、ここを上るのですよね?考えただけでもアキレス腱が痛くなってきました。
白岩集落を通過する登山道
30分ほどで下り坂も落ち着いてきました。しばらく歩くと目に入ってくるのは古びた家屋。
ここはかつて白岩集落があった場所で、昭和25年頃には23軒の家屋が立ち並んでいたそう。林業、特に炭焼きを中心に行っていたそうです。その後時代の流れとともに人々の移転が進み、昭和60年以降は無人に。
現在も数軒の家屋が形を保っています。
この登山道はこの集落内を通ります。脇道にそれること無くたどり着いてしまうので、廃墟マニアでなくてもみんなナチュラルに入村してしまうところが衝撃です。
平家の落武者伝説もあるそうですが、詳細はわからず。
廃村に残るものたち
周辺には様々なものが散らかっています。山中に突然現れる冷蔵庫、どういった経緯で屋外に置かれることになったのでしょうか。
古びた消火栓。なめらかな金属が錆びつき苔をまとった姿は、ラピュタのロボット兵を彷彿とさせます。
スモールバードと呼ばれる子供のおもちゃのペダルカーがあることで知られていましたが、現在はどこかへ消えてしまったようです。かわりに見つけたのはラジコンカー。オフロードでもばっちり走れそうです。
縁側に立つのは何かの脚。おそらく怪獣だと思うのですが、これだけで特定できる怪獣マニアはいるのでしょうか?
置かれていた新聞は1985年。ちょうど無人になったタイミングと一致しています。37年間もの間止まった時……と言いたいところですが、少し違和感も。
この新聞、壁の無い家屋で吹きさらし状態なのです。新聞紙みたいなそれほど丈夫とは思えない紙が37年間もこの状態で姿を保っていられるのでしょうか。もともと屋内の深くにあったものを、ここ数年で誰かが表に持ち出したのかな。
武蔵白岩鉱山の跡
白岩集落を出るとすぐに、フェンスが並ぶ道。立入禁止と書かれた奥には、モノレールの軌道が走っています。
そのまま進んでいくと、建物の土台のようなコンクリートが並んでいます。
ここはJFEミネラル株式会社が管理する採鉱場。武蔵白岩鉱山として石灰岩の採掘が行われていました。この辺りの白岩という地名も、石灰岩が採れることから付けられた名前だそうです。
案内板には事務所、詰所などが記されていますが、現在は建物の姿はありません。どうやら2015年に閉山、すぐに撤去されてしまったそうです。
まるで城郭のような土台はなかなかの迫力。廃村に続いて鉱山跡も見れるなんて、なんて香ばしい登山道なのでしょうか。
夜の林道を歩く
採鉱場からは舗装された車道。右手には入間川が流れ、川辺をのぞくと白岩渓流園というキャンプ場が見えます。
いつもの如く日が暮れてきてしまいました。舗装されてるとはいえ暗い山道を歩くのは少しコワイ・・・かと思いきや、キャンプ場があるお陰でぱらぱらと車は停まっているし、人の声があちこちから聞こえます。ところどころではありますが街灯もあるため、怖さはなくなんだか心地良い夜道。
その代わり、漂ってくるのは炭火の香りと、魚の焼ける匂い……。予想外の飯テロ攻撃がはじまりました!
17:20、名郷バス停に到着。バス停は真っ暗ですが、中屋商店前は自販機があります。ベンチもあるので、少しひと休み。
バス停では、私より先を歩いていたおじさんがいました。16:20のバスに乗る予定でしたが間に合わず、何もないバス停で1時間ほど待機したいたそう。優しいおじさんで、お菓子ももらっちゃいました!
17:49発のバスで飯能駅へ。最初は私とおじさんだけでしたが、途中のさわらびの湯でたくさんの人が乗ってきました。
乗車すること1時間ほどで飯能駅に到着。これにて全行程は終了!おつかれさまでした。
歩いてみた感想とトータルタイム
実は今回のコース、「山頂を目指すことの無い山歩き」。そのため登山の醍醐味の一つである眺望要素はゼロでした。しかし、苔の群落・ウノタワ・廃集落・採鉱場と個性的な見どころが目白押しで、どきどきな山歩きでした!
10:55にバス停を出発、17:20に帰ってきたためトータルの所要時間は6時間25分。16:20のバスに乗って帰ろうと思っていましたが、途中でぎりぎり間に合わなそうということに気づき、次のバスを調べたところ17:49。
バス停で待つよりは山の中をゆっくり過ごそうと思い、白岩集落や採鉱場でのんびりしたためこんなに時間がかかってしまいました。散歩の達人で見たコースタイムは4時間25分だったので、普通ならば休憩挟んでも5時間程度で歩けるかと思います。
9:55 飯能駅発
↓ 国際興業バス
10:50 名郷バス停着
(5分ほどで準備)
10:55 名郷バス停出発
↓
12:10 ウノタワ入口到着
(10分休憩)
12:20 ウノタワ入口出発
↓
13:10 苔の群落
↓ キツイ上り
14:05 ウノタワ到着
(25分休憩)
14:30 ウノタワ出発
↓
15:05 鳥首峠到着
(20分休憩)
15:25 鳥首峠出発
↓ キツイ下り
15:50 白岩集落
↓
16:25 採鉱場
↓
17:20 名郷バス停到着
(バス待ち30分)
17:49 名郷バス停出発
↓ 国際興業バス
18:50 飯能駅到着
コメント
ウノタワ、語源はなんだろう?私も来年、家内と歩いてみようかな
[…] […]