公園内に設置されたコンパクトな淡水魚水族館。展示数はそれほど多くありませんが、上流中流下流が再現された水槽やチョウザメが泳ぐ池など、工夫された展示が広がります。ムジナモやムサシトミヨなど、この地ならではのレア生物も展示されています。
水郷公園のミニ水族館
埼玉県の羽生市にある羽生水郷公園。1981年に開設された公園で、園内には多数の池や水路が広がっております。
そんな公園内に1983年にオープンしたのがさいたま水族館。埼玉県内に生息するサカナを中心に集めた淡水魚専門の水族館です。
規模はそれほど大きくないため、さらっと見るだけなら30分程度、じっくり見ても1時間程度。入館料も大人400円(※特別展期間は500円)とお手軽なので、気軽に立ち寄れる水族館なのです。
荒川を旅する水槽
展示エリアは埼玉県を経て東京都へと流れる荒川を再現した水槽がメイン。上流、中流、下流と分かれており、川の流れをたどるように生き物をみることができます。
渓流の環境が再現された上流域の水槽に泳ぐのはニッコウイワナ、サクラマス、ニジマスなど、上流域のサカナたち。
中流域では、色鮮やかなオイカワをはじめ、ヌマムツ、カワムツ、ウグイなど、小型の淡水魚たちがそろいます。
下流域は大きなサカナが泳ぐ。中国から来た外来種のコクレン、ハクレン、コイやフナがそろっています。
他にも外来種、水棲昆虫、外国産の熱帯魚、カメとのふれあいコーナーなども。地味になりがちな淡水展示ですが、展示のバリエーションが豊かなので飽きることなく楽しめます。
ユニークな屋外エリア
このさいたま水族館、建物の前には大きな庭池が広がっています。アオウオ、ソウギョ、ニシキゴイ、ヒレナガニシキゴイが泳いでおり、カプセルでエサの販売も。
庭池は複数あり、こちらはなんとチョウザメ池。1mを超える大きさのチョウザメたちが悠々と泳いでいます。
さらにもうひとつの池、一見するとコイやフナやメダカが泳いでいるかにみえますが、実は全然違うラインナップ。
ここに泳いでいるのは、レッドコロソマ、ナイルティラピア、ソードテールといった外国産の熱帯魚たち!いずれも水族館では見かけることの多い定番熱帯魚ですが、このように屋外の池で泳いでいるのは初めて見ました!きっとサカナたちの故郷である現地の池でもこんな風に上から見られているのでしょうね。
この屋外エリアには、2021年に「カワウソの渓流」がオープン、園内唯一の哺乳類であるコツメカワウソの展示がはじまりました!・・・なのですが、本日は真夏日であるため渓流にその姿はありません。室内でごろんとしているようでした。
ちょっと渋めな淡水魚たち
ここからは、より生き物にクローズアップして紹介していきたいと思います!まずは黒いラインが特徴的なアブラハヤ。さわると油のようにぬるぬるしているそうです。さわってみたいけど、ちょっとこわいです。
岩の隙間に詰まっているのはアカザという素晴らしい提案をしてくれそうな名前のサカナ。10cm程度の小型のナマズで、赤みがかった体が特徴です。ちなみに背ビレと胸ビレの間にはトゲが生えており、毒を持っているそう。
水槽とパイプの隙間にぴったりとハマったカワアナゴ。名前にアナゴと付きますが、あのアナゴのは別種のサカナ。垂直にぴんと伸びた姿はまるで身長測定しているみたいです。
インパクトのある生き物
海水魚に比べると色合いも形状もシンプルな淡水生物ですが、見ごたえのある生き物も多数飼育されています。その筆頭は、岩に頭を突っ込んだ不思議なポージングのオオサンショウウオ。岐阜県以西に棲むため関東では見られない生き物です。
その名に違わず巨体で横たわるオオウナギ。大きいウナギではなく、そういう名前の種類で、最大で220cmにもなるそう。利根川以西に分布するため関東でも見ることができるそうですが、寒さに弱いため越冬できないことも多いようです。
北米産の魚、アリゲーターガー。ここでは真っ白な個体が展示されています。アルビノとは異なりメラニンを作ることができる白変種と呼ばれるタイプ。なんだか神秘的な姿に見とれてしまいますね。
レアな希少生物たち
さて、さいたま水族館に来たら必見なのが希少生物。他ではなかなか見られない生き物も飼育されています。
まずはこちらのゼニタナゴ。開発や外来生物の放流でその生息域が減少、埼玉県内では1988年の美里町での発見を最後に見つかっていないため、野生絶滅してしまったと考えられています。
水草の隙間を泳ぐムサシトミヨは、水草を使ってピンポン玉サイズの巣をつくるユニークな習性を持っています。このサカナ、現在残っているのは地球上で埼玉県のみ!1991年に埼玉県のサカナにも指定されました。
こちらの水草はムジナモという、珍しい水生の食虫植物。散らばっているように見えますが、このように水に漂い昆虫やプランクトンを捕食するのです。そのスピードは1/100秒というとんでもない速さであるそう。
そんなムジナモ、国内各所で見ることができましたが、その棲息地は徐々に減少。国内での自生地はわずかとなっており、最も著名なのが羽生水郷公園内の宝蔵寺沼となっています。
このムジナモを発見したのは、朝ドラ「らんまん」でも話題となった牧野富太郎博士。28歳の頃、江戸川にて見慣れない植物を発見、これが日本初のムジナモ発見であったそうです。
それほど目立つわけでもないのでスルーされてしまいそうですが、さいたま水族館に来たらぜひこのあたりの希少生物はお見逃しなく!
アクセスと営業情報
駅からは遠く離れています。車が無い場合は、東武伊勢崎線の「羽生駅」または「加須駅」からタクシーで15分ほど。
4~11月の土日祝日には、羽生駅東口からの無料シャトルバスも運行しています。1時間に1本程度なので、公式HPの「アクセス」ページにて事前確認がおすすめです。
また、平日の場合は同じく羽生駅東口より羽生市福祉バス「あい・あいバス」も利用可能なようです。ただし、こちらは1日4便、所要時間は便によって20~40分ほどと変わります。
開館時間 | 9:30~17:00 ※12~1月は16:30まで |
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休館日 | 4~6, 9月は第2, 第4月曜、それ以外は月に1~2日ほど休館日あり ※8月は無休 |
料金 | 400円 ※特別展期間は500円 |
公式サイト | https://www.parks.or.jp/suizokukan/ |
※掲載の情報は2023年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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