アジサイの道はハギの道へ!坂の上の小さなお寺『成就院』(鎌倉市)

神奈川県

アジサイの咲くお寺として有名なお寺でしたが、現在そのアジサイは無くなっております。その理由、そして代わりに生えているものとは・・・?印象的な姿の「文覚像」も見どころです。

訪問日:2018/10/14(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

極楽寺駅近くの古刹

鎌倉にある成就院(じょうじゅいん)は、真言宗大覚寺派の寺院。創建は1219年であり、弘法大師こと空海が修行を行った地に建立されたと伝えられています。開基は鎌倉幕府・3代執権である北条泰時。1333年に新田義貞の鎌倉攻めにより焼失してしまいましたが、江戸時代に再建されたという歴史を持ちます。

江ノ電の極楽寺駅から徒歩3分ほどとアクセスは良好な場所にあります。

少しだけ階段を登り、門をくぐるとすぐに本堂が見えてきます。本尊である不動明王や、大日如来、弘法大師座像を安置しているそうです。

立ち並ぶ像や彫刻

小さな境内ですが、いくつか見所があります。「縁結び不動明王像」は、本尊である不動明王像の分身。男女の縁や仕事の縁を呼ぶ、縁結びのご利益があるそう。

こちらは「子安地蔵菩薩と子生石」。その名の通り、子授け・安産・子育ての功徳があるそうです。奥にある大きな石が子生石かと思ったのですが、どうやらお地蔵さまの手前にある小さな丸い石がそうらしい。写真では見切れてしまいました。

高く伸びた蓮と「弘法大師像」。笠をかぶり、金剛杖を手にした、修行中の姿で描かれています。

中には、ほっこりするデザインの「なでかえる」も。幸せを呼ぶ像とのことですが、なんだか交通安全のキャラクターみたいでかわいらしい姿。皆に撫でられているおかげか、つるつるです。

不思議な魅力の文覚

いくつか置かれた像の中で、一際インパクトがあったのがこちらの文覚上人荒行像。成就院に伝わる木像「文覚」のブロンズ製レプリカとのことです。

文覚(もんがく)は鎌倉時代のお坊さんの名前。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、歌舞伎役者・市川猿之助さんの怪演が印象的でした。

目を閉じているのか開いているのか、人間のようでどことなく鬼のようにも見える不思議な魅力があります。この像は、明治時代に「日本のロダン」と称された彫刻家・荻原碌山(おぎわら ろくざん)の作品に大きな影響を与えたそう。

彼も「文覚」という作品を完成させています。同じく左腕を上に組んだポーズの彫刻ですが、なめらかな成就院文覚に対して、荻原碌山の文覚は隆起が多くゴリゴリマッチョな質感をしております。どんな作品か気になる方は、コチラの記事にて。

彫刻に秘めた想いと禁断の恋『碌山美術館』(安曇野市)
日本近代彫刻の父と賞される芸術家・荻原碌山(おぎわら ろくざん)の彫刻作品や絵画を中心に展示している美術館。いくつかの作品には、決して叶わぬ恋の苦悩が込められており、その背景を知ると作品鑑賞の面白さが急激に増してきます。若くしてこの世を去った彼の胸には、いったいどのような想いがあったのでしょうか。

現在のアジサイロード

成就院といえばアジサイ!門から海へとつながる坂道はアジサイロードとなっており、般若心経の文字数と同じ262株のアジサイが植えられていました。

そう、過去形です。今はアジサイがほとんどありません。生えていたアジサイは、宮城県の南三陸町へ全て寄贈したそう。公には記されていませんが、おそらく震災からの復興支援ではないでしょうか。

現在植えられているのはハギ。アジサイの代わりに、宮城県の県花を迎え入れたそうでづ。アジサイよりは地味ですが、初秋に訪れると、かわいらしい花を見ることができます。

(なお、全株が寄贈されたわけではなく、現在も100株ほどは残されているそうです。)

アクセスと拝観情報

江ノ島電鉄の「極楽寺駅」より徒歩3分ほど。

開館時間 8:00~17:00 ※11~3月は16:30まで
料金 志納
公式サイト http://www.jojuin.com/

※掲載の情報は2024年3月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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