新天地を求めて海を越えた人々の知られざる歴史『海外移住資料館』(横浜市)

神奈川県

日本の地を離れ、海外で暮らすことを決めた移住者たち。普段生活していてはなかなか知ることのない移住の歴史や実態を知ることができる貴重な施設。実物大模型や体験コーナーもあり、感覚的に楽しめるミュージアムです。

訪問日:2023/1/14(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

海外移住のミュージアム

馬車道駅構内にある周辺地図を眺めていたとき、たまたま目に止まった海外移住資料館の文字。海外移住・・・普段聞き慣れないコトバ。全く知らないことを学べるのが博物館や資料館の魅力の一つ。ここは試しに行ってみよう!

海外移住資料館があるのはJICA横浜。JICA(ジャイカ)というのは国際協力機構のことで、開発途上国への支援や青年海外協力隊派遣などを行う団体のこと。

一部の界隈では有名な円形の遊歩道サークルウォークから直で入ることができます。

入口には、返却式のコインロッカーと、施設紹介の映像コンテンツがあります。時間に余裕のある方は、先に見ておくと展示内容がすんなりと入ってくるのでおすすめです。

入館料はなんと無料!誰でも気軽に海外移住の歴史や移住者の足跡を知ることができます。

知られざる移民の歴史

海外移住の歴史がパネルや資料で紹介されている館内。日本の開国から20世紀初頭の海外出稼ぎのブーム、排日移民法と呼ばれるアメリカの移民法、さらには戦時中に強制収容された移民についても幅広く展示されています。

都道府県別の移住者の総数を表した日本地図。1885年〜1972年のおよそ1世紀の間に、760,000人もの人が海外へ。広島県、沖縄県、熊本県、山口県、福岡県がベスト5。西日本に多いみたいです。

日本とハワイ王国の間で移民協約が結ばれたことから、多くの日本人労働者が移住したハワイ。サトウキビ・プランテーションをイメージした展示では、そこで生まれた「ホレホレ節」という歌が流れています。

開拓シアターでは、1956年にパラグアイのイグアスへと移住した藤田明美さんの話を元にした映像作品が流れます。原生林を切り開き、畑をつくって、町ができていく様子に思わず感動してしまいました。

写真映えする展示

さてさて、テーマ的に非常に真面目な印象のミュージアムですが、カジュアルに楽しめる展示もたくさんあります。

こちらはアメリカ大陸で日本人が栽培した野菜。スイカやイチゴなど日本でも見慣れた野菜に加えて、クプアス、カカオ、カジューなど見慣れないものも。外国の市場を見ているようで楽しいです。

来館者を出迎えるのは、カラフルな小屋のようなもの。こちらはアメリカのオレゴン州ポートランドにて開催されるローズフェスティバルにおいて、日本人農家が作った山車(フロート)。イチゴ、ハクサイ、ジャガイモなど様々な農作物がびっしりと並べられており、見ているだけで明るい気持ちになります。

移住者の食卓には様々なメニューがずらり。ピーマンやセロリが入ったスキヤキ、スパムのおにぎりなど、海外の要素が入った日本料理がとってもユニーク。

巨大な切り株が置かれたブラジルのアリアンサ移住地。ここでは森林を切り開いて移住地を作り上げていったそうです。切り株の上にはオノが置かれており、かまえて記念撮影することもできます。

移住者が持っていったもの

面白かったのが、海外へ移住した人が日本から持っていったもの。トランクや柳行李には、裁縫道具や衣類、香水や化粧道具なども見ることができます。

こちらの並んだ白い箱は、「わたしは何を持って行ったでしょう」コーナー。箱の前にはその人の職業が書かれており、それがヒントになっています。クイズ感覚で考えながら見て行くととっても楽しい。

こちらのドラム缶、ある目的のために持っていかれたそうです。いったい何のためかわかりますでしょうか?

正解は、なんとお風呂!!たしかに、お風呂は大事ですよね。

遊べるコーナー

展示室のラストには、ちょっとした体験コーナーも。こちらは「移民すごろく」。移民に関するクイズに答えながら進んでいくので、知識が深まりそうです。

移民紙芝居もあります。「ハワイにわたった日系移民」、「弁当からミックスプレートへ」などなど、非常に気になる内容です。

タッチパネルで遊べる移民学習コーナーには、移民の歴史クイズ、移民カルタのコンテンツが入っています。クイズでは館内の展示に関する出題も多く、じっくり見た人は簡単に答えられる場合も・・・・!

施設の名前からして難しい資料館かと思いきや、わかりやすく工夫された展示でとっても楽しめるミュージアム。海外移住について何も知らない人が訪れても、楽しく学べるスポットでした。

アクセスと営業情報

みなとみらい線の馬車道駅から徒歩8分、JR線の桜木町駅から徒歩15分、市営地下鉄関内駅から徒歩15分。

赤レンガ倉庫、カップヌードルミュージアム、ワールドポーターズ、コスモワールドあたりからは徒歩で向かうことができます。18:00までと営業時間が長いので最後に訪れるのもおすすめです。

開館時間 10:00~18:00
休館日 月曜、年末年始
料金 無料
公式サイト https://www.jica.go.jp/jomm/index.html

※掲載の情報は2023年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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