松江城天守閣のそばに建つ洋風な建築は、明治時代に建てられた興雲閣。工芸品陳列所からはじまり、様々な利用がなされてきました。擬洋風建築ならではの和風ポイントを探してみるのも楽しみ方のひとつです。
城跡に立つ洋風建築
松江城山公園内、天守閣のすぐそばに建つ興雲閣。淡いグリーンの色合いがかわいらしさもある建築です。

この興雲閣は「擬洋風建築」といい、日本の大工が西洋らしさを真似て作った洋館。木造建築でありながらも、洋風に見えるような工夫がされています。
和風な天守閣のそばにあるこの洋風建築、いったい何のために造られたのでしょうか?
時代とともに変わる利用
この建物は、もともと「松江市工芸品陳列所」として明治36年(1903年)9月に完成しました。その後に想定していた明治天皇の行幸の際の「行在所」に使用する目的も考慮されていたそう。
戦後は「松江市教育委員会庁舎」として利用され、昭和48年(1973年)からは「松江郷土館」に。平成23年(2011年)3月に開館した「松江歴史館」にその機能が移転され、現在は無料で一般公開されています。
なお、お城の二の丸に建てられているため、芥川龍之介や小泉八雲などには不評だったなんてエピソードも見かけました。今でこそレトロな歴史的建造物に感じますが、当時は流行りに乗っかったハイカラ建築のように映ったのかもしれませんね。
和洋折衷の内装
玄関ホールは、洋風な外観から一転して和風な仕上がり。格子入り建具や板張りの天井、壁の下半分だけが木板の腰壁など、随所に和が詰まっています。

2階へと続く階段。手すりの意匠やアーチ窓は洋風ですが、白壁と木枠の雰囲気は木造和風建築らしさを感じます。

階段を上り2階へ進むと、広々とした大広間。外観同様にライトグリーンとホワイトの色使いがなされております。一見すると洋風ですが、まるで格天井のような天井の板張りなど、和を感じる要素も。

こんな感じで、和風ポイントを探してみるというのも、擬洋風建築ならではの楽しみ方です!
開放感のあるテラス
2階を囲むようにぐるっと広がるベランダ。自由に外に出ることも可能です。

扁額も間近で見ることができます。旧松江藩主家の当主である松平直亮によって命名され、これは直筆の揮毫を彫刻したものであるそう。

松江城天守がすぐそばにあるため、ここから天守が見えるかも!そう思ったのですが、木々が茂っているためギリギリで見えません。目を凝らせば、葉っぱの隙間からシャチホコがちらっとだけ見えます。ぱっと見イチョウみたいなので、葉が落ちる冬ならばもう少し見えるかもしれません。

御在所となった貴顕室
もともと明治天皇の行幸に向けた「行在所」として想定されていた建物でしたが、日露戦争勃発により中止となってしまいます。しかし、明治36年(1903年)、後の大正天皇である皇太子嘉仁親王の行啓が内定。日露戦争終結後の明治40年(1907年)に実現します。(※行啓=皇太子が外出すること)
もともと工芸品陳列所であったため、それに向けて改修工事が行われます。大手前から馬車で来るための道もこのときに整備されたそうです。
大広間の奥にある貴顕室は、御在所や御寝室として使用された部屋。カーテンや絨毯がゴージャスな仕上がりです。

奥の一室は12.5畳の畳敷きの部屋。洋館には珍しいタイプの部屋です。長いカーテンと畳のコントラストがとっても個性的。

なお、この行啓が終わった後に、工芸品陳列所から「興雲閣」へと命名されます。
ギャラリーとカフェ
1階は展示室となっており、興雲閣の歴史を紹介したパネルが置かれています。

ギャラリーとしても活用されており、訪問時は「山陰の野鳥写真3人展」が開催中。オオルリやヤツガシラなど、様々な野鳥の躍動感あふれる写真が展示されていました。
1階には亀田山喫茶室というカフェも入っています。コーヒーやハーブティー、ビーフカレー、タルトなどのメニューも。松江城などの散策の合間に、ひと休みに立ち寄るのも良さそうです。

アクセスと営業情報
| 開館時間 | 4月1日〜9月30日:8:30~18:00 10月1日〜3月31日:8:30~17:00 |
|---|---|
| 休館日 | 年中無休 |
| 料金 | 無料 |
| 公式サイト | https://www.matsue-castle.jp/kounkaku/ |
※掲載の情報は2026年4月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。


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