隙間なく積まれた圧巻の石室『岩屋山古墳』 (明日香村)

奈良県

大量の古墳が残る明日香村において、ちょっぴりマイナーな岩屋山古墳。被葬者もわかっておらず謎多き古墳です。立派な石室は状態も良く保存されており、自由に内部を見学することができます。キレイに加工された石積みは壮観です!

訪問日:2025/5/11(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

住宅街に静かに佇む古墳

八角形が印象的な牽牛子塚古墳のすぐ近くにある岩屋山古墳(いわややまこふん)。近鉄吉野線の飛鳥駅の裏側を進み、住宅街の細い道の先にあります。

7世紀半ばに築造された古墳で、国の史跡にも指定されています。昭和53年(1978年)の水害で墳丘が崩壊、その後整備と発掘調査が行われました。

全体がわかりにくいのですが、1辺が45mほどの方墳とのこと。上下2段の古墳であり、上段部はすぐ近くの牽牛子塚古墳同様に八角墳との説もあるそうです。

自由に入れる石室

石段を登ると見えてくるのは横穴式石室。花崗岩を使用した立派な石積みは状態良く保存されています。

通路にあたる羨道と呼ばれる道。長さは12m、幅1.9mというなかなかの規模。加工された石積みが非常にきれいな仕上がりで、技術の高さ、さらに被葬者の力を感じさせます。

ここで問題ですが「羨道」の読み方、覚えてますでしょうか?一ヶ月前に書いた「こうもり塚古墳」の記事にて大文字で強調したので、きっと覚えていてくれているハズ!!

ついでに「陪塚」の読み方も覚えてますでしょうか?こちらも一ヶ月前の千足古墳の記事で書いた内容。私はぎりぎりで覚えてましたよ!

美しい加工石積み

羨道を抜けた先にあるのが、棺を納める玄室。これはストレートに「げんしつ」と読んで大丈夫です。

長さ4.72m、幅2.7m。加工された石が、2段に積まれており、天井は大きな一枚岩が覆います。このような構造の石室は天理市の「峯塚古墳」や桜井市の「ムネサカ第1号墳」など他の古墳でも確認されており、「岩屋山式石室」とも呼ばれているそう。

石室内からは土師器・須恵器・瓦器・陶磁器・古銭等が出土しておりますが、被葬者について詳しいことはわかっておりません。

7世紀半ば頃に造られた古墳。この時代のこの場所に造られた八角墳は、斉明天皇陵とされる「牽牛子塚古墳」や、天智天皇陵である「御廟野古墳」、天武・持統合葬陵である「野口王墓古墳」など、いずれも天皇陵。もし八角墳であるならば、この古墳も天皇陵の可能性があるかもしれません。

現在、被葬者の候補とされているのが、吉備姫王(きびひめのみこ)・許勢小柄(こせのおから)・斉明天皇。斉明天皇は前回の牽牛子塚古墳だったはず・・・そう思ったところ、一時的に埋葬した「初葬墓」である可能性があるそうです。

サクラの生える墳丘

この古墳、墳丘に自由に登ることができるクライミング古墳(※造語)。石室のそばは草が刈られており、気軽にてっぺんまで進むことができます。

上ってみると、木々の隙間から「飛鳥駅」や「道の駅飛鳥」が見渡せます。ビルなど高い建物がまったくないのが、奈良らしい景色。妙に落ち着く風景です。

立派な樹木はサクラ。春に訪れれば、きっとキレイな花を咲かせていることでしょう。

さて、明日香村の遺跡巡りもそろそろおしまい。次回は、あちこちで見つけた石造物について!話題になる「亀形石造物」や「酒船石」、「亀石」「鬼の雪隠・俎」など不思議な造形の石造物たちを紹介させていただく予定です。

アクセスと見学情報

近鉄吉野線の「飛鳥駅」や「道の駅飛鳥」からすぐ近くにあり、歩いても3分ほど。電車の待ち時間などにふらっと訪ねることも可能です。今回は、牽牛子塚古墳の帰りに立ち寄りました。

見学時間 24時間
料金 無料

※掲載の情報は2025年5月時点のものです。

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