変形合体したかのような本殿がインパクト抜群『草戸稲荷神社』(福山市)

広島県

山肌にそうように高くそびえたつ社殿が特徴的な稲荷神社。 まるで懸造(かけづくり)のような建築様式に加え、せり出した舞台は開放感抜群!時間内であれば、階段を上って最上部まで行くことができます。

訪問日:2025/5/6(火) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

広島を代表する稲荷神社

笠岡の離島をめぐり終え、次の島である備後群島(田島・横島・百島)へと抜ける途中、少し時間があったので福山にて寄り道を。以前訪れた際に、福山城博物館・ふくやま美術館・広島県立歴史博物館などはめぐってしまったので、今回はどこへ行こう?

あ!まだ未訪問のスポットがありました!ということで立ち寄ったのが草戸稲荷神社。「日本三大稲荷」や「日本五大稲荷」に数えられることもある、日本を代表する稲荷神社の一社。広島県内の神社仏閣で二番目に初詣客数が多い神社であるそう。

5月であったため、たくさんの鯉のぼりが飾られておりカラフルで華やかな印象。祝日だというのに参拝者はほぼゼロ。とっても静かな境内です。

階段を上って本殿へ

なんと言っても目が行くのは、インパクト抜群な立体的な造りの社殿。こちらはなんと本殿。もともとは拝殿の奥にありましたが、昭和末期に改築され、拝殿の上部へと遷されました。

崖などの高低差さがある土地に柱を建てて組み上げる、「懸造り」のような建築。立体的な構造は、見ているだけでわくわくしてきます。

8:00〜16:00の時間ならば、階段を上って参拝することができます。両サイドにあるのがコンクリート製の階段。まるで秘密基地みたいです。

あっという間にてっぺんに到着!せり出した舞台はスリルがありますが、しっかりしているので揺れることはありません。

舞台からの眺めは抜群!眼下に伸びる鯉のぼり、横たわる芦田川、そして奥に広がる福山の街並みを一望できます。

様々な御祭神

こちらが最上部の本殿。宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)、保食神(うけもちのかみ)、大己貴神(おおなむちのかみ)という3柱を祀っています。

本殿の側に佇むのは、歴史を感じる木造建築。こちらは草戸八幡神社。福山市瀬戸町の福井八幡神社より分霊されたものであるそう。誉田別命(ほんだわけのみこと)こと、応神天皇を祀っています。

ずらりと並ぶのは十社稲荷。交通安全の三蔵稲荷、入学・就職成就の智者稲荷、商売繁盛の加賀羅稲荷など、様々なお稲荷様が集まっています。

神社の歴史と草戸千軒町

この神社は、平安時代の大同2年(807年)に空海が明王院を開基したときに同寺の鎮守として祀ったのが始まりであるそう。もともとは芦田川の中州に存在した「草戸千軒町」に祀られていた小さな社だったとのこと。

この草戸千軒町というのは、鎌倉〜室町時代にかつて存在した集落。草戸稲荷神社と明王院の門前町として栄え、交流拠点として発展。朝鮮や中国との交易も盛んに行われていました。福山駅の近くにある「広島県立歴史博物館」には、この町に関する展示が豊富で、町をまるごと再現したフロアもあります。

草戸千軒町の遺跡、現在は芦田川の川底にあります。ということで気になるのは集落の終焉。「洪水によって滅びた」という伝承から、噴火によって一晩にして滅びたイタリアの古代都市「ポンペイ」のような自然の驚異と儚さも感じます。しかし、発掘調査によると川底に沈んだときには既に町としての機能は失われていたそうです。

時代の転換期に忘れ去られた港町を前に、今でも信仰の残る草戸稲荷神社。変化していく人々の営みを、常に見守ってきたのでしょうね。

アクセスと参拝情報

参拝時間 24時間 ※本殿は8:00~16:00
料金 無料
公式サイト https://kusadoinari.com/

※掲載の情報は2025年4月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

コメント

タイトルとURLをコピーしました