八代城模型や妙見祭の亀蛇を見れる『未来の森ミュージアム』(八代市)

熊本県

八代城跡のすぐ近くに建つ八代市立博物館、八代の歴史や文化について、わかりやすい解説でたっぷり堪能できます。1/200で再現された八代城の模型や妙見祭の「亀蛇」は見応え抜群です。

訪問日:2023/11/5(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

アーティスティックな外観

熊本県の八代市、八代城の西側の地に1991年にオープンした八代市立博物館未来の森ミュージアム。八代の遺跡より出土した土器をはじめ、城や祭など歴史や文化をテーマにした博物館です。

建築や都市計画を通して文化の向上を図る「くまもとアートポリス」をいう事業を行っている熊本県。県全体が建築博物館と称されるように、「牛深ハイヤ大橋」「玉名天望館」など、アーティスティックな建築が数多く建立されています。

このミュージアムもそんなプロジェクトの参加作品。曲線を多く取り入れた姿。波打つヴォールト屋根がリズミカルな作品です。この建築は、世界的な建築家・伊東豊雄によるもの。後に「大館樹海ドーム」や「せんだいメディアテーク」などで知られる建築家であり、これが初の公共建築であったそう。

静かな歴史ミュージアム

歴史的な資料や模型などがずらりと並ぶ館内。受付のあるフロアと、階段で降りる地下フロア、それぞれに展示室があります。

様々なものが展示されていますが、書物や陶磁器、屏風絵、さらには民具など渋めのラインナップが目立ちます。音や映像を使ったデジタルコンテンツもないので、とても静かな博物館です。

少々とっつきにくい内容ではありますが、展示物にはそれぞれわかりやすい解説が添えられています。読み物系が好きな方は、たっぷりと知識を増やすことができるハズです。また、展示物の多くは写真撮影も可能。「気になる展示物は解説と共に写真に収めて、後でゆっくり知る」なんて楽しみ方もできます。

訪問した際は、以下の特別展を開催中でした。チケットは常設展、特別展共通でした。

未来の森ミュージアム名品選~これが私たちの宝物~
開催期間:2023年10月20日(金)~12月3日(日)

八代城の城郭模型

多数の展示物の中でも、目を引くのは八代城の1/200城郭模型。まるで幾何学模様のように入り組んだお堀、各所に建てられた門や櫓など、美しさを感じる設計です。

すぐ近くにある八代城跡と合わせて訪問すると、解像度がぐんと上がります。先ほど上ってきた天守台、かつてはこのように大天守と小天守が連結されていたのですね。

他にも、西側に掛けられていた欄干橋の擬宝珠や、発掘された瓦なども展示されています。

この八代城は、1619年の地震によって崩壊した麦島城に代わり建てられたお城。熊本城主である加藤忠広が、幕府の許可を得て加藤正方に命じ、松江村に築城しました。一国一城令が施行された後にも関わらず、熊本城と並んで肥後国に建てられています。なぜ幕府から許可が降りたのか、それについては前回の八代城跡の記事にて。

一国一城令を回避できたのはなぜ?『八代城跡』(八代市)
熊本県の南部、八代に残る八代城跡。八代宮という神社の境内地であり、立派な石垣の上を歩いてめぐることができます。そんな八代城、かつて一国一城令が施行された際、熊本城とともに2つ目の城として許可されていました。いったいどのような理由があったのでしょうか。

霊獣・亀蛇が登場する妙見祭

八代神社(旧妙見宮)の祭礼に行われる行事、妙見祭。11/22の「神幸行列(お下り)・御夜」と11/23の「神幸行列(お上り)」、2日間にかけて開催されます。長崎県の「諏訪神社おくんち(長崎くんち)」、福岡県の「筥崎宮放生会」と合わせて九州三大祭にも数えられており、「八代妙見祭の神幸行事」として国の重要無形民俗文化財にも指定されています。

ミュージアムのエントランスには江戸時代末期の神幸行列を再現した模型も。1/20スケールですが、長く伸びる行列は15mほどに渡っています。

さらに地下の展示室では、全長3mにも及ぶ巨大な展示品が。こちらは亀蛇(きだ)というカメとヘビが合体した霊獣で、「ガメ」とい愛称でも親しまれています。

妙見の神様が亀蛇に乗って海を渡ったという伝説を由来としており、行列ではじょのガメを投げ上げたり頭を下げてお辞儀したりといったパフォーマンスも行われるそうです。

個性的なデザインが光る八代焼

400年の歴史を持つ肥後熊本を代表する陶磁器・八代焼は、窯の置かれた場所の地名から「高田焼(こうだやき)」の名でも親しまれています。細川家の肥後入国に際して、豊前から八代に移住してきた上野(あがの)焼の陶工・喜蔵(きぞう)によって開始されたといわれています。

一番の特徴は、独特の象嵌(ぞうがん)文様。粘土がまだ柔らかいうちにヘラ等で文様を刻み、できた凹面に素地と色の違う土を埋め込むことによって仕上げられています。こちらの《象嵌鱗文茶碗》は、寸分のズレもなく描かれたウロコ模様が見事な作品。

《象嵌菊花文蛤形鉢》のような個性的なデザインの器も。大きなハマグリに小さなハマグリがのった鉢はとてもユニーク。菊の花の象嵌模様もしっかりと描かれています。

アクセスと営業情報

JR鹿児島本線・肥薩おれんじ鉄道の八代駅よりバスに乗るのが一般的。博物館目の前の「検察庁・法務局・市博物館前」、徒歩2分ほどの「北荒神町福祉センター前」、徒歩5分ほどの「八代市役所前」と、いくつかのバス停を利用できます。

車の場合は九州自動車道の八代ICより約15分。駐車場は建物の裏側に50台ほど停めることができます。

開館時間 9:00~17:00
休館日 月曜、年末年始 ※その他臨時休館あり
料金 310円
公式サイト http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/museum/index.jsp

※掲載の情報は2023年11月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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