海の上で弧を描くアート作品のような橋。真っ暗で静かな橋の上を歩いていると、夜空へと飛び立ちそうな不思議な気持ちになれます。
海を渡る大きな一本線
通詞島、天草ロザリオ館、天草コレジヨ館、崎津集落と天草下島をめぐり、最後にたどりついたのは天草下島最南端の街、牛深(うしぶか)。熊本県で最大の漁港です。
鹿児島県蔵之元へのフェリー乗り場である牛深港には、長さ883mの巨大な橋が架かっています。こちらが本日最後の目的地牛深ハイヤ大橋。ライトアップしている姿を見たかったので、あえて日が暮れた時間にやってきました。
まるでアート作品のような美しいこの橋は、くまもとアートポリス事業の一環でもあります。設計は パリのポンピドゥセンターや関空旅客ターミナルを手がけたレンゾ・ピアノ+岡部憲明+ピーター・ライス+マエダ(伊藤整一)。「海上に浮遊した一本の線」をコンセプトとして造られているそうです。
天草地方の多くの橋とは違い、この橋は別の島へつながっているわけではありません。漁港施設のあるエリアと水産加工基地のあるエリアを港をまたいで結ぶための道路で、この橋の完成により移動時間が20分短縮され生産性は向上しました。
なお、名前になっているハイヤというのは、牛深地域に伝わる伝統芸能「牛深ハイヤ節」。全国各地にハイヤ系と呼ばれる民謡が40以上あると言われており、この牛深はその元祖であるとのこと。ハイヤ系ってどんな民謡か気になったので調べてみたところ、佐渡おけさや北海道ソーラン節、徳島阿波踊りなど名だたる民謡がそこにカテゴライズされているようです。
徒歩で渡るハイヤ大橋
東京ゲートブリッジや隅田川にかかるX型の桜橋など、変わった形の橋を見るとついつい徒歩で渡りたくなります。港のターミナルにある道の駅うしぶか海彩館の駐車場に車を停め、すぐ近くの階段を登ってハイヤ大橋へ。
橋の上に到着。
暗闇へと明かりが続く神秘的な夜のハイヤ大橋。周辺にはビルなどは無く、橋のライトと月明かりだけの世界。まるで宇宙へと続く滑走路のようで、空へと飛び立ってしまいそうな気持ちですが、ときおり抜ける車のヘッドライトがそんな妄想をかき消します。
道幅は広く、傾斜もそこそこなので歩きやすい。車道と歩道の高さが違うように設計されており、それぞれ景色を楽しめるように配慮されています。夜なので、眼下に広がるのは少しコワい漆黒の海。昼間だったら青い海原と、向かいに広がる鹿児島が見えたりするんだろうな。
途中からループ橋も出現
橋の真ん中あたりに差し掛かると、突然現れるのは信号機。橋の上に信号があるなんてなんだか違和感。いったい何のために・・・?
このハイヤ大橋、この信号でT字路になっています。ここで左折すると、下須島(げすじま)という変わった名前の島へと降りていくことができるのです。
降りるルートは、ぐるぐるとしたループ構造。高低差のある場所で、なおかつ土地を広く使えない場合、通常のスロープでは急傾斜となってしまうため、このような螺旋構造となります。ループ状の部分はライトアップされていないのがちょっと残念。
なお、歩行者用の通路は道路側に壁のようなガードレールがあるため、橋の途中で反対側に渡ることができません。ループ部分も歩きたい方は、うしぶか海彩館から向かう場合、橋の左側からスタートするのがおすすめです。
うしぶか海彩館で食べるご当地グルメ
さて、うしぶか海彩館へ帰ってきました。ここに入っているレストランは、なんと21:00まで営業しています。周辺に飲食店は少ないので、営業時間が長いのはとってもありがたい!外から見ると暗くてもう営業終了してそうな雰囲気ですが、内部は奥に広がっており、食事を楽しむ人がたくさんのにぎやかな空間です。
お目当てはきびなごづくし膳(1,220円※税抜)。関東では食べられないきびなごの寿司や刺身、かき揚げなどがセットになったメニュー。
しかし!本日は漁協がお休みのため、入荷無しという予想外の展開。ということで代わりに頼んだのは天草黒牛のステーション丼(1,310円※税抜)
脂ののった和牛はけっこうこってり。食べごたえのある一品でした。なお、箸袋には牛深ハイヤ節が4番まで書かれています。
明日は大矢野島から湯島へ渡ります!今日来た道を逆戻りし、昨日宿泊した天草下島の本渡まで返ってきました。
なんとなく市街地へ来たものの、実は本日は宿の予約をしていません。本渡周辺に宿泊施設は多数ありますが、時刻はもう21:00。今から宿に押し掛けるのは忍びない。
ということで、今夜はコチラ!
自由空間熊本天草店!全国チェーンのネットカフェがあるあたり、本渡の都会っぷりが伝わるのではないでしょうか。旅でネットカフェを利用するのは、6年前に電車で沼津へ行ったとき以来。何となく味気無い印象でしたが、いざ利用してみるとその便利さに驚くばかり。
パソコンが使えるので明日の予定やブログの整理もスムーズ、キレイで設備の行き届いたシャワー、飲み物はもちろんフリードリンク、アイロンやスリッパなどの貸出品も豊富。至れりつくせりとはこのことです。
実は今回の旅、ホテル→エコビレッジ→ゲストハウスと毎晩違うタイプの宿泊施設を利用してきました。ここまで来たらもう今回の旅は「毎日違うタイプの宿に泊まる」を裏テーマにしてしまおう!ということで、今晩の宿はネットカフェを選択しました。
明日の宿も予約しておりません。次はどうしようかな。
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