お椀を伏せたような美しいフォルムの大室山。リフトで一気に山頂まで登り、火口のまわりをぐるっと一周。標高579.64mの山頂から伊豆半島のパノラマを360°楽しめる爽快な展望スポットです。
ドーム状の草山
観光スポットがてんこ盛りな伊東〜伊豆高原エリア。その中でも人気なのはこちらの大室山(おおむろやま)。お椀を伏せたようなドーム型をしており、小さい山ながらもインパクトは抜群です。
一般的にイメージする山と違う点は、樹木が全く生えていないところ。主に草を中心とした一年生植物でおおわれているため、つるんとした印象のなめらかなルックスの山となっています。
(※なぜ樹木が生えていないのかは、この記事の終盤にて明らかになります)
最寄り駅は伊豆急行の伊東駅および伊豆高原駅。それぞれバスが出ており、伊東駅からは40分、伊豆高原駅からは16分ほど。公共交通機関を利用すると乗り継ぎが多く他の観光スポットと組み合わせにくくなるため、今回は小田原駅でレンタカーを借りてアクセスしました。
リフトで一気に山頂へ
大室山を徒歩で登ることは現在禁止されています。代わりに、往復リフトが設置されているため一気に山頂まで行くことができます。往復料金は500円。高価なスポットが多い伊豆の観光スポットの中ではかなり格安です。
雪山以外で乗るリフトはとっても新鮮!まるで動いていないエスカレーターを登るような、なんだかすごく変な感じがします。
リフトが進み、地面から離れてくると少しドキドキ。見かけよりもずっとスリルがある乗り物です。
途中、突然の記念撮影もあります。アトラクションで楽しんでいる顔を撮られる様子は、まるで夢の国!大室山を無理やり英語にするとビッグルームマウンテンとなり、さらにそれっぽい。写真は山頂にて1,200円で販売してます。
山頂にあるもの
済んだ空気が流れる山頂に到着。そこにあるのは小さなお土産&軽食屋さん、大室山だんご本舗。かなりきれいなトイレもあります。
この大室山の山頂には、他の山では見かけないようなアトラクションがあります。
それはアーチェリー。なんと山頂中心にある火口のくぼみ部分がアーチェリー場となっているのです。
受付でレクチャーのビデオを見たあとは、火口の広場で自由に楽しむことができるというかなりフリーなアクティビティ。料金は1時間1名1,000円、2名だと1,600円。
群馬県の伊香保温泉にある遊技場の大弓や、宮崎県飫肥(おび)にある四半的(しはんまと)など、ごくごく稀に観光地で見かける弓。弓への憧れが強い私はついついトライしてしまうのですが、今回はスケジュールが詰まっているので泣く泣く断念。いつか弓弾きに来よう。
火口を一周!お鉢めぐり
山頂には一周約1kmの遊歩道があり、火口の周りをまわる「お鉢めぐり」ができます。
このルートは舗装されているので、とっても歩きやすい!所要時間は約20分とお手軽コース。多少の起伏はありますが、普段着で全く問題ないレベルです。
あまり高くない山ですが、山頂は想像していたよりもずっと爽快!!遮るものの何もない広大な景色は、まるで空を歩いているような気分にさせてくれます。
動物の鳴き声が鳴り響いていて騒がしいシャボテン公園、その奥には広がる一碧湖、相模湾、そして箱根や富士山。見どころが多く、眺めていて全く飽きません。
さらに、海の向こうには伊豆大島も!空と海が同じ色のせいか、まるで空中に浮かんでいるように見えるのが幻想的です。
歴史ある大室山
お鉢めぐりをしていると出会う8体のお地蔵さま。こちらは八ヶ岳地蔵尊。海上安全などのために漁師によって建てられたそうです。
続いて目に入る5体のお地蔵さまは五智如来地蔵尊。
神奈川県足柄エリアの地頭であった朝倉清兵衛(真鶴の網元との話も)の娘が9歳で身籠り、その安産を大室山浅間神社に祈願したところ、無事に安産することができたそう。そのお礼に真鶴石でお地蔵様を作り安置したのが由来。現在も安産と縁結びの神様として信仰されています。
さらに、火口へ降りる途中の道には浅間神社が。浅間神社といえば木花開耶姫(このはなさくやひめ)を祀る神社ですが、ここではその姉となる磐長姫(いわながひめ)を祀っています。
こちらの神社はアーチェリー場への道の途中にあります。参拝するにはアーチェリー申し込みが必須。そういった意味でも、非常に変わった神社ではないでしょうか。
秋に見ることができる花
秋の大室山の表面はほぼ全てススキで埋め尽くされています。そんな中、わずかに咲いている花をみつけました。
ピンク色の小さい花はイヌタデ。決して珍しい花ではありませんが、ススキに紛れてアクセサリーのように咲いている花はとってもかわいらしい。
こちらはアザミ。切込みの深い葉や反り返ったトゲからトネアザミではないでしょうか。アザミは種類が多くて同定することがとっても難しいです。
大室山に生えている植物のほとんどは一年草。樹木は全く生えていません。
その理由は、毎年2月の第2日曜に行われている山焼き。山肌に火を点けて草を焼き払う行事なのですが、このときに全ての植物は燃えてしまいます。
自然下では植物が生育する順番があります。何もない裸の土地に、まずはコケや地衣類が。やがて草本植物、小さな低木、そして大きな木が育ち草原は次第に森林へと姿を変えていきます。毎年開催される山焼きの効果でこの過程がリセットされるため、大室山は樹木が育たずキレイな緑色の草山の姿を保っているのです。
この山焼き、古くは良質なカヤ(ススキ)を育てるために行われていましたが、現在は伝統行事として引き継がれています。
さて、お鉢めぐりも終えたので、そろそろ下山します!
リフトは帰りの方がこわいです!!
このあとは車で30分ほど走り、伊豆アニマルキングダムへ。レンタカーだったのですーっと向かうことができましたが、もし車が無かった場合はバス→電車→バスとなるため、時間帯によっては1時間以上かかっていたかもしれません。やっぱり伊豆は車が便利です。
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