築地の守護神と巨大なシシガシラ『波除神社』(中央区・築地)

東京都(23区)

築地場外市場の奥にて祀られる波除(なみよけ)神社は、その名の通り波を沈めたという言い伝えが残っています。コンパクトな神社ですが、大きな獅子の頭や、他では見ることができない塚など見どころは多いです。

訪問日:2024/1/27(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

築地を守る神社

築地市場の豊洲移転後もにぎわいは衰えない「築地場外市場」。観光客でにぎわうストリートを抜けた一番奥にあるのが波除神社。1658〜1661年の万治年間に創建された歴史のある神社です。

かつて築地一帯の埋め立てが進められた際、波によって工事が難航していました。そんな中、海中に漂う稲荷明神の像を祀ったところ、波が治まり工事が無事完了。「波除」という名を冠して現在まで信仰が続いております。

「災難を除き、波を乗り切る」神様として、難除・厄除・商売繁盛・工事安全等の御神徳があるそうです。

鎮座する巨大獅子頭

なんといってもインパクトがあるのがこちらの大きな獅子頭。厄除天井大獅子という名のこの獅子は、高さ2.4m、幅3.3m、重さ1トンとかなりの大きさです。

この厄除天井大獅子は、平成2年に御鎮座330年を記念して奉納されたもの。樹齢3000年のアメリカ杉を用いて、金沢の彫刻師・知田清雲によって一木造りで仕上げられているそう。

獅子頭は一周することができます。裏手にまわると、内部に奉納された願い串や、鼻の穴から外の世界を見ることができたりします。

厄除天井大獅子の向かいには「お歯黒獅子」の姿も。高さ2.2m、幅2.5m、重さ700kg。さきほどの厄除天井大獅子よりはひとまわり小さいですが、総漆塗りの一木造で造られており、存在感は抜群です。

現代も続く獅子祭

稲荷神社なのに、なぜ獅子の姿があるのでしょうか。

案内板によると「龍」は雲を、「虎」は風を従え、龍虎が暴れると波風が立ち海が荒れてしまいます。それを一声で威伏させるのが「獅子」という存在。そのため波除神社には獅子頭が奉納されたそうです。そこから、獅子頭を担いでまわる、現在も続く「つきじ獅子祭」が生まれます。

裕福な家には一対の獅子頭、そうでない家は複数人で講を作って購入。町中には約30対もの獅子頭がそろっており、お祭りでは一斉に波除神社に集まったそうです。

そんなたくさんの獅子頭も、火災や震災でほぼすべて焼失。唯一修理に出していた一つだけが残り、現在神社の本殿に祀られているそうです。

築地ならではの塚

神社では、使い古した道具を供養するために「筆塚」や「針塚」などを見かけることがあります。この波除神社には、築地という土地柄、他にはないユニークな塚が建てられています。

それは「すし塚」!日本を代表する食文化として愛される寿司ですが、その影には多数の魚介類が身を提供してくれています。そんな食物への感謝を込めて建立されたのがこの塚。

他にも「海老塚」「玉子塚」「鮟鱇塚」「活魚塚」など、ここならではの塚が多数。参拝の際は、境内をじっくりと見てみるのがおすすめです。

突然現れる吉野家の石碑

そんな多数の塚の中、ひときわ目を引くのがこちら。

なんと「吉野家」の石碑が建立されています。牛丼屋チェーン店として知られる吉野家、創業店は日本橋の魚河岸にて明治32年にオープン。関東大震災の影響で、魚河岸とともに築地に移転。そして現在は築地市場とともに豊洲へと移転しているそうです。

てっきり奈良県の吉野あたりで創業したのかと思っていましたが、日本橋発祥のお店だったのですね。ちなみに吉野家という名前は創業者・松田栄吉な出身地、大阪の吉野町(現在の大阪市福島区吉野)から名付けられたとのことです。・・・ところが、2019年に松田栄吉は吉野出身ではないことが判明します。実際は「吉野の桜」を好んでいたことからその名を冠したことが明らかになり、公式HPにもその旨が記載されております。

ということで、日本橋発祥だけど、名前は奈良県の吉野が由来なのでした。

アクセスと営業情報

・東京メトロ日比谷線の「築地駅」より徒歩7分
・都営大江戸線の「築地市場駅」より徒歩5分

公式サイト http://www.namiyoke.or.jp/index.php

※掲載の情報は2024年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

コメント

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