江戸時代に造られた2つの島『佃島&石川島』(中央区・佃)

東京都(23区)

高層住宅街として知られる佃エリア。もともとは江戸時代に人工的に広げられた島でした。今回はそんな江戸のウォーターフロントエリアを軽くお散歩して、江戸から続く土地の記憶をたどってきました。

訪問日:2024/2/3(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

江戸時代に造られた石川島と佃島

江戸時代に入り、江戸が中心都市として機能していくと、各地で土地開発が進んで行きます。隅田川では江戸時代以前、鎧島や森島と呼ばれる干潟・無人島が点在していました。寛永3年(1626年)頃に船手頭の石川八左衛門正次がそれらを島に築き上げ「石川島」を作り上げました。

石川島ができた18年後の正保元年(1644年)、現在の大阪府の佃村という場所から来た漁民たちが干潟を埋め立て、故郷の名をとって名付けたのが「佃島」

もともとは文字通りそれぞれ島として浮かんでいましたが、やがて周辺が埋め立てられ1つの島に。時は進み1990年代に入るとマンションが立ち並び、超高層住宅街の先駆けとなりました。現在は橋も架かり電車も通っているため島という感覚は全くありません。

今回はそんな石川島・佃島を歩いて、その歴史にふれてみたいと思います!

路地裏にたたずむ佃天台地蔵尊

月島駅6番出口から進むと、住宅の隙間に細い道が見えてきます。こちらが地蔵尊の入口。

足を踏み入れ進んだ先に広がるのは不思議な空間。ここが佃天台地蔵尊。きれいに清掃されており、今でも人々に大切にされていることがひしひしと伝わってきます。堂内には幹周り2mはあるかという大きなイチョウがそのまま残されていました。

祀られているお地蔵様は、像ではなく自然石に刻まれています。後光が輝く神々しい姿です。

大阪から分霊された住吉神社

隅田川が近づいてくると、見えてくるのが住吉神社。佃島を造り上げた漁民たちが、1646年に大阪の住吉神社の分霊を祀ったものであり、海上安全・渡航安全の守護神として信仰されています。

鳥居の扁額は珍しい陶製仕様。書いたのは書家としても知られる皇族・有栖川宮幟仁(たかひと)親王であるそう。

拝殿の右奥へ進むと、神輿展示を見ることができます。「八角神輿」という独特のフォルムのお神輿は、天皇陛下の御座である「高御座(たかみくら)」をイメージしているそう。

祭が詰まった佃まちかど展示館

住吉神社のすぐ近く、隅田川のそばに建つ建物は佃まちかど展示館。中に入ることはできませんが、ガラス窓から展示物を見ることができます。

ずっしりと構えるのは「千貫神輿」。渋く輝くゴールドからは重厚感が漂います。

こちらの木箱に納められているのは「龍虎の頭」。上部に掲示された写真を見ると、獅子頭のように見えて左はツノが、右は猫のような耳が生えています。住吉神社の祭礼の際に、この2つの頭を対岸に渡すという儀式があったそう。龍頭は水を、虎頭は砂を吐いて火災を消し止めると伝えられています。

すぐ近くの築地では、雲を従える「龍」と風を従える「虎」が海を荒らすため、この2者を収めるため「獅子」を祀っていました。すぐ近くでも信仰が異なるのが興味深いです。

築地の守護神と巨大なシシガシラ『波除神社』(中央区・築地)
築地場外市場の奥にて祀られる波除(なみよけ)神社は、その名の通り波を沈めたという言い伝えが残っています。コンパクトな神社ですが、大きな獅子の頭や、他では見ることができない塚など見どころは多いです。

石川島灯台のモニュメント

石川島には「石川島人足寄場」が設置されていました。人足寄場というのは、罪を負った人や無宿の人に対して仕事を教え、出所後に自立させるための施設。いわゆる自立支援施設や更生施設のような場所ですね。

人足寄場奉行である清水純騎が、日本橋方面に入る船にその位置を知らせるために、人足寄場で生産した油絞りの益金を利用して慶応2年(1866年)に常夜灯を造り上げました。

現在建っているものは、佃公園の整備にあたりモニュメントとして再現されたもの。土台部分は公衆トイレとなっており灯台としての機能はありませんが、こういうものがあるとイメージしやすくて良いですね。

歴史が学べる石川島資料館

幕末、石川島には水戸藩によって「石川島造船所」が設置されます。1876年には「石川島平野造船所」へ。日本初の民間洋式造船所であったそうです。その後、1945年に「石川島重工業株式会社」へと変わり、1960年には播磨造船所と合併。「石川島播磨重工業(IHI)」が誕生し、高度経済成長の時代に活躍の場を広げていきます。

そんなIHIによるミュージアムが石川島資料館。ピアウエストスクエアというビルの1階に位置しています。

一部屋だけの小さな資料館であり、江戸時代から現代まで続く石川島造船所の歴史などの資料が展示されています。

石川島平野造船所が最初につくった外輪蒸気船「通運丸」の模型では、職工たちが力をあわせて作り上げる様子を見ることができます。また、造船所で働く人々の1日を紹介したユニークな展示も。午前8時の始業、昼休みの野球タイム、就業後の一杯など、リアルな生活が漫画風のタッチで知ることができます。

なお、この資料館は水曜と土曜限定。さらに開館時間は10:00~12:00, 13:00~17:00と1時間のお昼休みがあるのでご注意ください。また、室内は撮影禁止でした。

歩いてみた感想

土曜日の訪問でしたが歩いている人もほとんどおらず、のんびりと散歩するにはぴったりな場所でした。月島駅が最寄り駅なので、「もんじゃストリート」を楽しんだあと、腹ごなしで歩いてみるのもおすすめです。

石川島資料館訪問時にちょうどお昼タイムに当たってしまい、どうしようか悩んでいたときに目に入ったキッチンカー。ちょうどお腹が空いていたので油淋鶏弁当を買って、公園で食べて過ごしました。この油淋鶏がめっちゃ美味しい!!サクサクの揚げ鶏に、黒酢・ハチミチ・生姜などで作ったというタレがまた絶品です。

この後は、相生橋を渡って「中の島公園」へ。そして、その先にある越中島へ行き「明治丸」を見に行ってきます!

コメント

タイトルとURLをコピーしました