まつだい農舞台は、大地の芸術祭の「松代エリア」で中核となる施設。館内や周辺には多くの作品が集まっており、手軽にアートめぐりを楽しめます。里山に溶け込んだ作品は、ときに強烈な非日常感をもたらします。
芸術祭の中核施設
新潟県十日町市にあるまつだい農舞台は、2003年に開催された「第2回 大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」というアートフェスにて建設された施設。常設で作品が展示されているため、芸術祭期間以外に訪れても鑑賞することができます。
「越後妻有里山現代美術館 MonET」や「森の学校キョロロ」と同様に芸術祭の中核施設。館内には案内所も備えているため、とりあえず最初に訪問する場所としてもおすすめです。
四角い建物ですが、エスカレーターと通路が斜めに走っているため、内部は少し複雑に感じます。
大地の芸術祭の作品は、車が無いと行きにくい山中にあるケースが多いです。しかし、こちらは北越急行ほくほく線まつだい駅のすぐ目の前。電車で来た方にもアクセスしやすいスポットです。
何より、「農舞台」というネーミングがとてもステキ!能舞台を連想させつつ、里山らしさの残る秀逸なセンスだと思います。
モダンなミュージアム
外観のイメージよりもずっと前衛的な館内。展示された現代美術作品や、部屋そのものがアート作品であるものなど、様々な見どころがあります。
こちらは《火の周り、砂漠の中》by ファブリス・イベール。抹茶色のモダンな部屋の真ん中に置かれているのは、なんだかイメージと不釣り合いな囲炉裏。壁に開けられた小さな穴からは、まるで星空のように光が散らばります。
農舞台から外を見ると、白い枠に吊るされた文字。その向こうの棚田には、青と黄色のヒトガタが並んでいます。
こちらは《棚田》by イリヤ&エミリア・カバコフという作品。彫刻とコトバはそれぞれ一致しており、雪が消え田んぼの準備がはじまる四月から収穫の十月までを表しています。
フィールドに広がる作品
まつだい農舞台の周辺には多数のアート作品が集まっています。ここを拠点に、里山を歩いてアートめぐりするのも、このエリアの楽しみ方。
農舞台のすぐ傍にあるのは《ゲロンパ大合唱》by 大西治・大西雅子。まるでジェームス・ブラウンのようなファンキーなタイトルのカエルさんたち。セックス・マシーンならぬ、農業で使用される堆肥製造マシーンがもとになっている作品です。なお、英語名は「A great chorus of “Get Up!”」。完全にJBでした。
こちらの並んだ倉庫も《かまぼこアートセンター》by 小沢剛というアート作品。豪雪地帯である越後妻有地域では、このようなアーチ型のかまぼこ型が一般的な倉庫のカタチなのです。
旅行雑誌でもおなじみな《花咲ける妻有》by 草間彌生。ドットが特徴的な不思議な植物。自然界でこの配色を見ると、ついつい有毒生物かと疑ってしまいますね。
農舞台から少し山の方へ進むと見ることができる《リバースシティ》by パスカル・マルティン・タイユー。ぶら下がったたくさんの色鉛筆。よく見ると、それぞれに世界の国名が書かれています。
真下に立つと、トゲつきの天井が落ちてくるような軽い絶望感。まるで侵入者対策のトラップにはまった気分です。
落ちてくることはあるませんが、尖った先端を向けられていると全く落ち着きません。「紙」っていつもこんな気分なのでしょうか。
まつだい郷土資料館
農舞台のすぐ近くにはまつだい郷土資料館があります。農舞台から歩いて行けるので、ついでに寄ってみました。
こちらは江戸時代末期の建築。昭和59年より松代郷土資料館として利用されてきましたが、中越地震の際に、地面に亀裂が入ったため、この地に移築・改修されました。
館内にはそのまま残された囲炉裏や雪国の生活用具など、松代の暮らしを伝えるものがたくさん。
名前からはイメージしづらいですが、こちらにもアート作品あります。それがこちらの《ものがたりをつむぐ-雪にひらかれるみち-》田中 望。飛び交う絵巻物と不規則に吊るされた提灯からは、どうしても妖怪とか霊といった未知の現象を連想してしまいます。
(※こちらは期間限定の展示。2023年9月時点ではもう展示されていないようです。)
アクセスと営業情報
越後湯沢駅北越急行ほくほく線「まつだい駅」より徒歩3分。東京からは、越後湯沢駅で乗り換えます。
車の場合は、関越自動車道の「塩沢石打IC」より1時間ほど。
開館時間 | 10:00~17:00 |
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休館日 | 火曜、水曜(祝日を除く) |
料金 | 1,200円 |
公式サイト | https://matsudai-nohbutai-fieldmuseum.jp/ |
※掲載の情報は2023年8月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。
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