カカシ人口300人！人よりカカシが多く暮らす村『天空の村 かかしの里』（三好市）

徳島県三好市の山奥にある名頃はとにかくたくさんのカカシが暮らすカカシの村。集落を歩くと、そこかしこにその姿を見ることができます。素朴でどこか懐かしいデザインのカカシたちは、人々の生活に上手くとけ込んでいます。

まずは名頃集会所

徳島県三好市の奥祖谷エリアを走っていると、路上で出迎えてくれるのは人間そっくりなカカシたち！この名頃(なごろ)は、人口わずか20人程、最年少は40代という小さな集落。限界集落とも呼ばれる辺境の地ですが、近年カカシの村として知られています。

カカシをじっくり見たいのですが、道が狭く車を停めるのは困難。というわけで、とりあえず名頃集会所へ。ここには数台分の駐車スペースがありました。

さぁ、徒歩でカカシめぐりへ！と思ったのですが、集会所の縁側にもたくさんのカカシの姿が。せっかくなので、集会所の中も見学させてもらうことにしました。

かかしが大集合

集会所の中は、たくさんのカカシが大集合！つるし雛や屏風も添えられており、まるでお祝いをしているようです。音の無い静かな部屋なのに、にぎやかに感じるから不思議です。

畳に寝そべっているおばあさんカカシも。クッション替わりの2つに折り畳んだ座布団がとってもリアル！もう本当に人間のようにくつろいでいます。

テーブルの上には様々な資料が置いてあったので、カカシたちに交じってじっくり閲覧していたところ別の観光客の方がやってきました。

「わっ！カカシじゃなかった！！！」

申し訳ないことに訪れた観光客の方を盛大に驚かせてしまいました・・・！みなさま、カカシと間違われないようにご注意ください！

村に溶け込むかかし達

集会所を出て、周辺を歩いていると、あっちにもこっちにもカカシの姿が。これだけカカシがいたら、カラスやスズメはこの集落には全く近付けないのではないでしょうか。

バス停でバスを待っている人たちもみーんなカカシ。バスを待っている間もまったく寂しくありませんね。

カカシの店もあります。野菜直売所のような雰囲気ですが、売り物はなんと小さなカカシ！！カカシがカカシを売る店なのです。

かかしの里と呼ばれる場所は日本に何ヵ所かありますが、キャラクターが多い徳島県神山町や、芸能人がたくさんいる広島県湯来町とは違い、ここのカカシたちはとっても素朴な村人の雰囲気。

村の生活にすっかりなじんでおり、人間とカカシを見分けるのはなかなか困難。手前のチェーンソーを持っているのはもちろんカカシですが、後ろでチェーンソーを持っているのは人間のおじいさん。

一番コワイのがこのカカシ。虚ろな目とたたずまいから、一人だけホラーな気配が出まくっています。どことなくキーフが手掛けたCDジャケットのような不安定な魅力も感じます。

かかし村のはじまり

このカカシ村は一人の女性の手作りカカシからはじまりました。

綾野月美さんという方が、カラスの被害から畑を守るために、父親を模したかかしを作ったところ、近所の人がかかしに挨拶をするのを見て楽しくなり、そこから大量作成がはじまったそうです。

名頃集落の人口は20人程ですが、それに対してカカシの人口はなんと300人！人の数よりカカシの方が圧倒的に多いのです。

また、「かかし基本台帳」なるものが存在しており、一体一体名前や性別・性格などが記載されているそう。予約すればかかし作り体験も可能で、さらに、毎年10月の第1日曜には、かかしの里祭りも行われているそう。

これだけ人口も少なく高齢化の進む集落がこんなに盛り上がっているのはスゴイ！カカシという要素に出会えたのはもちろんのこと、もともとエネルギーにあふれている人たちだったのでは・・・？

海外にも知れ渡るかかし

この集会所には、DON、JOE、LUKEと名付けられた外国人のカカシもいます。こちらは名頃に滞在していたアメリカ人の方が作ったものだそう。

かつてドイツ人の留学生が名頃を訪れ、かかし動画をネットに投稿したところ、世界中から注目を集めます。

この動画の影響で、今ではイギリスやカナダなど世界各国からの観光客が訪れるそう。アクセスは決して良くない場所なのに、遥か海外から訪れるなんてびっくりです。

気になったので検索して見たところ『Valley of Dolls(人形の谷)』という動画がその作品のようです。とても落ち着いた雰囲気ですが、日本人の私が見ても引き込まれる不思議な魅力のある作品でした。

Fritz Schumann

Visual Journalist

www.fotografritz.de

このあとは奥祖谷観光周遊モノレールへと向かいます。山の中を進む観光モノレールなのですが、所要時間はなんと65分！