圧巻の超巨大アートミュージアム『大塚国際美術館』(鳴門市)

徳島県

日本最高クラスの入館料、そして展示物にホンモノは1つもなし。それでも訪れる人は後をたたない、全国的に有名な美術館がこの大塚国際美術館。普通の美術館とは異なるスタンスを持つこの施設、いったいどれほどの魅力があるのでしょうか。

訪問日:2018/11/25(日) ※掲載内容および写真は訪問時のものです

特殊すぎる美術館

うずしおで有名な徳島県鳴門市。クルーズ船の港や、渦の道にも近いところには、大塚国際美術館という大きな美術館があります。

この美術館の入館料は3,300円とかなり高額!その金額は小田原にある江之浦測候所と並び、美術館の入館料としてはトップクラス。

さらに驚くことに、館内で展示されているのは全てレプリカ。

「ニセモノ見るのにこの金額はちょっと・・・・」そう思う人も少なくないと思います。しかし、それは陶板で再現された精巧なもの。著作権者の承諾を得るところからはじまり、現地調査で隅々まで研究、原画の写真を陶板に転写したあとは、色合いの調整などを行い完成させるそう。

「いくら精巧といえど、ニセモノでしょ?」と、まだ納得できない方もいるハズ。そんな方のために、私なりに感じた大塚国際美術館の魅力、そして見ごたえある作品を紹介していきたいと思います!

絶対見たことある有名作品

膨大な展示作品の中には、誰もが知ってる有名絵画がたくさん!絵画に興味無い人でも、必ず知っている作品に出会えるのが大塚国際美術館。

「モナリザ」by レオナルド・ダ・ヴィンチ

世界でもっとも知られている絵画と呼んでも差し支えない超超超有名作品!写真撮影は自由なので、となりに並んでアルカイックスマイルを浮かべてみるのも楽しいです。

「真珠の耳飾りの少女」by フェルメール

真っ黒な背景に浮かび上がる少女。青く光るターバンと赤いくちびるがとにかく目を惹きます。この少女はどんな髪の毛をしているのでしょうか。赤毛かもしれないし黒髪かもしれない、もしかしたら髪が無いかもしれない・・・そんなことが気になってきます。

「叫び」by エドヴァルト・ムンク

一度見たら二度と忘れることができなそうな、あまりにもインパクトが強い作品。赤く燃えるような空、渦潮のようにうねる川、古びた木の橋、見ていると不安になってきます。「自然を駆け抜けるような大きな、終わることのない叫びをきいた」そんなムンク自身の体験が元になっているそう。中心の不思議な顔の人物が叫んでいるように見えますが、耳を塞いで叫びを聞くまいとしているムンク自身とも考えられています。

「キリスト昇架」by ルーベンス

上記の作品に比べたら少し知名度が落ちるかもしれません。あるエピソードで有名な作品なのですが、何かご存じでしょうか?

正解は・・・・「フランダースの犬」。ラストシーンでネロが見たかった作品の1つです。そんなこの絵の前には、フランダースの犬の絵本も置かれており、作品の世界に浸りながら鑑賞するという楽しみ方もできます。

圧巻の原寸大展示

有名な作品の実物を見たときに、「でかっ!!」とか「思ってたより小さいな・・・」とか感じたことがある方も多いのではないでしょうか。教科書やテレビなどで見たことある絵画であっても、その大きさというのはなかなか実感しづらいもの。そんな絵の「大きさ」を実感できるという点も、大塚国際美術館の魅力の一つです。

「ゲルニカ」by パブロ・ピカソ

ナチスドイツが全滅させたスペインの古都ゲルニカを描いた作品。最初に出てくる感想は「こんなに大きかったんだ!」。小学校の教科書ぶりに見たのですが、パーツのずれた牛の顔や、嘶く馬、助けを求めるような人の顔など、細部までしっかり覚えていました。

圧巻なのはヴァチカンのシスティーナ礼拝堂を再現した「システィーナホール」。壁一面どころか、天井にいたるまで、忠実に再現された空間となっています。タイミングが良いと、レーザーポインタを使った解説を聞くこともできます。

なお、ここは多目的ホールでもあります。歌舞伎や将棋などのイベントも行われており、近年では紅白歌合戦で米津玄師が歌った場所としても話題になりました。

「最後の晩餐」by レオナルド・ダ・ヴィンチ

イエス・キリストと使徒12人が描かれた有名作品。壁一面に描かれており、想像していたよりも遥かに大きいです。

この作品の向かいにも「最後の晩餐」が展示されています。同じ絵が並んでいるように見えますが、よく見ると細部が色々と異なっています。

こちらは修復後の最後の晩餐。1979年から20年にわたって修復が行われたのですが、そのビフォーアフターを比べて見ることができるのです!今は存在しない過去のバージョンでも展示可能というのも、レプリカならでは。

個人的に気になった作品

膨大な作品が並ぶ美術館。私が何となく気になった作品をさらっとご紹介させてください!

「聖ヒエロニムス」by ストームマティアス

一見なんだかわからない絵ですが、トロンプ・ルイユ(だまし絵)作品。円筒に写すとその正体がわかります。

「死の勝利」by ブリューゲル ピーテル

髑髏の騎士に襲われる人々。髑髏達は統率がとれている点、そして、髑髏軍の馬は生身という点が私の気になるポイント。ヨーロッパを襲ったペストの恐怖や市民戦争による大量の犠牲などが背景となっているそう。

「ロンダーネの冬の夜」by ハラルド・ソールベリ

蒼く暗い夜が描かれた寒そうな作品。中央やや上部にある白く輝く星、そして、山頂を白く染める雪が幻想的。夜の内に動き出しそうな木々が少し陰を落とします。意図的なのか、偶然なのかはわかりませんが、よく見ると雪山が女の人の寝姿にも見えます。

「ブルックワトソンと鮫」by ジョン・シングルトン・コープリー

若い水夫がサメに襲われた事件を描いています。なぜ服を脱いでいるのかが気になります。泳ぐのに邪魔で脱いだのでしょうか?このサメはアオザメかメジロザメ?舟の定員は何人?9人も乗っていますが、かなり無理があるのでは・・・・。いろいと疑問が生まれる、人を引き付ける作品です。ちなみにこの青年は助かったそうです。

一番のインパクト「ゴヤの家」

突如現れるのは、薄暗い照明の部屋。中央にはテーブルと椅子、そこにはワインとパンが並ぶなんだか怖い雰囲気の部屋です。

飾られているのは人間を貪り喰う巨人や、黒いヤギなど闇をはらんだ作品。絵の解説などはなく、ただ重低音のようなファンの音がとにかく不安になります。

ここはゴヤの家の食堂

絵の解説は部屋の外にまとめて置かれています。この怖い絵の正体は、14点からなる「黒い絵」と呼ばれる作品たち。

もともとはゴヤの別荘である「聾者の家」の漆喰壁に描かれていた作品。その後はキャンバスに移されて、現在はプラド美術館に保存されているそう。

このように、部屋全体で雰囲気を作っている展示室もたくさんあります。キャンバスを飛び出して拡張された絵画の世界に、どっぷりつかることができることでしょう。

 

一通り回りおえてお腹いっぱい!気になる所要時間ですが、私の場合【2時間】ほど。気になった作品はじっくり、それ以外はさらっと素通り、といった感じでこれくらいでした。

アクセスと営業情報

バスの場合は徳島駅から約52分、鳴門駅から約15分ほど。神戸方面からの高速バスでバス停《高速鳴門》下車、そこから徒歩5分のバス停《小鳴門橋》で路線バスに乗り換える、という方法もあります。

また、京都・大阪・神戸から直通のシャトルバスも運行しています。

車の場合は神戸淡路鳴門自動車道の鳴門北ICから約3分。無料の駐車場をそなえています。

開館時間 9:30~17:00
休館日 月曜
料金 3,300円
公式サイト https://o-museum.or.jp/

※掲載の情報は2022年2月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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