どこを見てもお地蔵様でいっぱい!『浄名院』(鶯谷駅)

東京都(23区)

街の喧噪から離れた上野の地で静かにたたずむ天台宗の寺院。境内には数万体というおびただしい数のお地蔵さまが大集合。「へちま地蔵」や「うかがい地蔵」など、他では見かけないお地蔵さまも拝むことができます。

訪問日:2020/6/19(金)

浄名院へのアクセス

最寄り駅はJR山手線の鶯谷駅から徒歩10分ほど。日暮里駅から歩いても同じくらいの距離です。

寛永寺の諸堂の1つである根本中堂のすぐ近くにあります。上野駅から寛永寺めぐりをしていたところ、偶然見つけて立ち寄りました。

モダンなお寺

浄名院は寛永寺36坊の1つとして創建された天台宗の寺院。本尊は阿弥陀如来像を安置する本堂。現代的なコンクリート造りで、言われないと寺院と気づかないかもしれません。

後に、妙運和尚の代に地蔵信仰のお寺へと姿を変えました。地蔵信仰とは何でしょうか・・・?

 

境内を埋め尽くすお地蔵様

境内で目に入るのは、四角い石がびっしりと並んだこの光景。まるで墓石のように見えますが、こちらは全てお地蔵様。いったいなぜこんなにもおびただしい数のお地蔵さまが集まっているのでしょうか。

妙運和尚が1,000体の地蔵建立を誓願したところ、約3年で達成。続いて和尚は84,000体を発願。現在はその半分である40,000体ほどの地蔵が集まっているそうです。

個性が光るお地蔵様

びっしりと並んだお地蔵様の中には、独自の存在感を放つ個性的なお地蔵さまも。

すらっとした長身の凛々しいお地蔵様は「めぐみ地蔵」。福徳を恵んでくださるそうです。

こちらの御影石でできたお社の中に立っているのは弘法大師のお地蔵様。弘法大師は真言宗の開祖・空海のこと。錫杖を持った立ち姿は、行脚修行を行っていた青年時代の御姿でしょうか。

仏堂内に安置されているのは、総本尊地蔵。境内のお地蔵様を代表する存在で、蓮の葉のような傘を浮かべております。

江戸六地蔵の一角?

江戸時代に建立された6箇所のお地蔵様を「江戸六地蔵」呼びます。第一番から第五番までは現存しておりますが、第六番にあたる永代寺のみ明治初頭の神仏分離令により発生した廃仏毀釈運動で取り壊されてしまいます。

欠番となった第六番の代わりを務めているのがこちらのお地蔵様。日露戦争の戦没者を弔うため、明治39年に造られたものです。

かなり大きくなおかつ高い台座に座っているため、境内のお地蔵様の中でも存在感があります。

ひっそりとたたずむ「閻魔地蔵」

木々に隠れるように置かれていたのは閻魔地蔵。他のお地蔵さまに比べて険しい表情をしております。
閻魔大王といえば地獄の主として恐ろしいイメージが付きまといますが、日本の仏教ではは地蔵菩薩の化身と考えられています。

道行く人の生前の様子を見守っているため、地獄で正しく裁くことができるのでしょうね。

重いか軽いか「うかがい地蔵」

自由に入ることができる休憩所にも祭られているお地蔵様。

ここには、自分の願いが叶うかどうかをお伺いすることができる「うかがい地蔵」が安置されています。

積まれた座布団の上に置かれたこちらのお地蔵様。願いを唱えて持ち上げたとき、軽ければその願いが叶い、重ければ叶わないそう。

2つあったので、とりあえず左の方を持ち上げてみました・・・!持ち上げることはできましたが、考えていたよりずっと思い。私の願いは難航しそうです。

後から知ったのですが、2つのうかがい地蔵は男性用と女性用で別れているらしい!私が持ち上げたのはどっちだったのだろうか。

咳止めには「へちま地蔵」

竹の支柱に包まれているへちま地蔵。左手には、まるで我が子のようにへちまを抱えています。浄名院では毎年旧暦8月15日に「へちま加持祈祷会」を開催しております。そのため、「へちま寺」と呼ばれることもあるそう。

このお地蔵さまには咳・ぜんそくなどの病気封じのご利益があるそう。実際にへちまの実から採取される液体「へちま水」には痰切りや咳止めの効果があり、結核を患っていた正岡子規もヘチマに関する句をいくつか詠んでいます。

他の方のブログなどを読んでいると、このへちま地蔵のまわりの竹を支柱に、大きなへちまが実っている写真もみかけました。6月で全くツルが延びていないので、今年は植えていないのでしょうか。

 


それほど知名度があるお寺ではありませんが、様々なお地蔵さまが並ぶ境内は見ごたえあります。拝観無料ですが、お金を払っても良いなと思えました。
もっとお地蔵さまについて知りたいと思ったのですが、案内板は少なめ。パンフレット、もしくはホームページにお地蔵様についての解説があったら、よりじっくりと楽しめそうです。

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