オフィスビル街の神社をめぐって福あつめ『日本橋七福神めぐり』(中央区/日本橋)

東京都(23区)

下町情緒をわずかに残すオフィス街の日本橋エリア。ビルの合間に残る7つの神社には七福神が祀られており、人気の巡礼コースとなっています。徒歩で気軽にめぐることができる七福神なので、七福神デビュー戦にもぴったりです。

※掲載の内容は通常時にめぐったときのものになります。お正月にめぐる場合、各社にて待ち時間が出る可能性もあるのでご注意ください。(特に④小網神社)

訪問日:2023/7/29(土) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

日本橋七福神とは

室町時代頃からはじまったといわれる七福神信仰。江戸時代には庶民の間で「七福神めぐり」が大流行、全国各地に「○○七福神」と呼ばれる巡礼コースができあがりました。

都内にも複数の七福神が残っていますが、今回紹介する日本橋七福神も、そんなコースのうちの一つ。

他の七福神とは異なる点は、すべて神社で構成されているということ。七福神は基本的に仏教の神様であるため、お寺で祀られていることが多いのです。2006年頃に足立区の千寿七福神が変更になるまでは、日本で唯一の神社だけの七福神であったそうです。

めぐる順番

こういった巡礼ルートは正しい順番が設定されているケースがあります。しかし、日本橋七福神めぐり公式サイトによると、「出発点は定めておりませんので、御自由にお巡りください。」とのこと。

歩行距離

どの順番でめぐるかで若干距離は代わってきますが、歩行距離はざっくり3kmほど。日本橋通りや人形町通りなど、江戸下町の空気が残るオフィス街が広がっています。土日祝日にめぐると歩いている人もまばらで静かな雰囲気。

最寄り駅

どこから巡るかによっても変わりますが、最寄り駅と呼べそうなのは以下の4路線の駅。

・東京メトロ半蔵門線「水天宮前駅」
・東京メトロ日比谷線「人形町駅」
・都営浅草線「人形町駅」
・都営新宿線「浜町駅」

前述の通り正式な順番はありませんので、アクセスしやすい駅からスタートして大丈夫です。ちなみに、東京駅から歩いても20分ほど。時間に余裕がある方は、日本橋を渡りつつ向かってみても良いかもしれません。

色紙と宝船

めぐるさいに「色紙」「宝船」を持って周るのが一般的なようです。色紙は2,500円で、各社にて無料でスタンプを押していただけます。宝船は1,500円で、各社で500円の御神像をいただきそろえていくというもの。

すべてのスタンプが押された「揃い色紙」が2,500円、すべての御神像がセットになった「揃い宝船」が5,000円となっています。最初に入手できなかった場合は、最後にまとめていただくというのも可能なのです。

①笠間稲荷神社‐寿老人

ここからは、私が実際にめぐった順番で各社を紹介させていただきます!今回は都営新宿線の「浜町駅」からスタートしました。(※①~⑦の番号を振っていますが、見やすいかなという意図だけで深い意味はないですよ~)

日本橋中央ビルの裏手の路地に面して、静かに佇む神社。茨城県の笠間稲荷神社を信仰してきた笠間藩主の牧野家が、江戸の下屋敷に御分霊を祀ったのがはじまり。その後は、日本橋魚河岸の守り神としても信仰されていきます。

本家笠間稲荷と同じく赤く染まめられた社殿。この色合いは「笠間朱色」と呼ばれています。

稲荷神社らしく、境内にはキツネの置物がたくさん。欠損している姿から、きっとどこかの神社での役目を終えて集まっているのでしょうね。

茨城県の笠間稲荷についてはこちらの記事をごらんください。

独特のカラーリング”笠間朱色”が映える『笠間稲荷』(笠間市)
三大稲荷に数えられることもある、日本を代表する稲荷神社。多くの社殿に塗られたオリジナリティある笠間朱色の色合いは、風流な魅力を放ちます。比較的新しめの建築が目立ちますが、江戸時代に造られた本殿は見ごたえ抜群です。

②末廣神社‐毘沙門天

料亭やバーが並ぶ道に立つ神社。ビルとビルの間のスペースに鎮座しています。

もともとは稲荷祠であり、この地にあった吉原の地主神として信仰されていました。明暦の大火で吉原が移転してからは跡地となった難波町・住吉町・高砂町・新和泉町の氏神へ。

境内には、狛犬を従えるように仁王立ちした毘沙門天の像も。

こちらは「末廣徳の石」。お盆の上に金銭を置いて「いや、すえひろがり」と唱えます。その金銭を使えば徳運が広がり、持てば徳運が貯まるそう。

江戸時代に火消しが納めたという「は組の石碑」、カチカチ(勝ち勝ち)ならして邪気払いができる「勝ち拍子木」、女性・子供の守り神「養母世稲荷」、酒樽とともに奉納されている「オリゴのおかげ」など、境内には見どころが多数。参拝の際は、細部までじっくりとご覧くださいね。

③椙森神社‐恵比寿

藤原秀郷が平将門の乱において戦勝祈願のために白銀の狐像を奉納したと伝わる神社。あまり馴染みのない漢字ですが、「椙森」は「すぎのもり」と読みます。

白地にグリーンの屋根が爽やかな社殿。少し開けた場所にあり、どことなく公園のような開放感にあふれています。江戸時代には、秋葉原にある「柳森神社」、新橋にある「烏森神社」と合わせて江戸三森とも呼ばれていました。

境内には富塚があります。こちらは、江戸時代の富くじ(宝くじ)を記念して建立されたもの。そのため、宝くじ祈願に訪れる人も多いそうです。七福神めぐりの前に、宝くじを買ってから挑むというのも良さそうですね。

④小網神社‐福禄寿、弁財天

他の神社同様にオフィスビルの影に隠れるように建つ神社。平安時代から続くといわれる神社で、福禄寿・弁財天という2柱の七福神を祀っています。

東京銭洗い弁天とも呼ばれており、境内には金銭を清めると金運が上がるという「銭洗いの井」があります。

また、金色の福禄寿像の姿も。日本橋七福神の7社のなかで、もっとも七福神を感じられる神社です。

なお、他の7社は参拝客もわずかで混雑とは無縁な雰囲気でしたが、この小網神社がけは参拝の列ができていました。通常期間だったので、それほど待ちませんでしたが、お正月期間のピークタイムは2~3時間並ぶこともあるそう。

まわる順番は特に気にしなくて良いと書きましたが、並びたくない方はここを朝イチにしたり、夕方近くにしたりと調整するのもありです。

なぜそんなに人気なのかは、こちらの記事にまとめました。

多くの現代人を集めるパワースポット『小網神社』(中央区/日本橋)
ビルやマンションに囲まれた土地に建つ小さな神社。人通りもそれほど多くない場所ですが、そこには何故か人だかりが・・・!いったいこの神社には何があるのでしょうか?

⑤茶の木神社‐布袋尊

佐倉藩の中屋敷で祀られていた屋敷神をルーツに、江戸時代に創建された神社。引き続きビルの間に建っていますが、角地にあるためとても開けた雰囲気です。

周辺にお茶の木が植えられていることが名前の由来とのこと。佐倉藩の屋敷は火災を免れてきたことから、火伏せ・防災の神としても信仰されています。

⑥松島神社‐大黒天

鎌倉時代の創建と伝わる神社。かつて、この地は入江であり、そこに浮かぶ小島に住んでいた柴田家が信仰していた屋敷神がその起源といわれています。

ビルの合間どころか、ビルの中に埋め込まれるように建つ姿が印象的。

賽銭箱に置かれたこちらは、良夢札納め処。枕の下に入れて眠ると良い夢を見ることができるという「良夢札(りょうむふだ)」を扱っており、もし良い夢が見られた場合ここに納めると正夢になるそうです。

⑦水天宮‐弁財天

今回最後に参拝したのが水天宮。水天宮前駅のすぐそばにそびえる神社。他の7社よりも大きく、存在感抜群です。

コンクリートの階段を抜けた先に広がる開放的な境内が特徴の都市型神社。親子のイヌの像やカッパの像があり、安産祈願の神社として信仰されています。

日本橋七福神として数えられているのは、境内社であるこちらの宝生弁財天

「宝生(ほうしょう)」という名前には、かつてこの地に久留米藩主・有馬頼徳にまつわるエピソードがあります。久留米(福岡県)の水天宮からこの地に御分霊を祀った有馬藩主・有馬頼徳が、加賀藩主・前田斉広と「宝生流能楽」の技を競った際、この弁財天に願を掛けたことで見事勝利。それ以降、宝生弁財天と呼ばれるようになったそうです。

基本的に扉は閉じていますが、毎月5日と巳の日には開扉、御神像を拝観することができるそうです。

水天宮については、こちらの記事にまとめています。

カッパと犬の安産祈願『水天宮』(中央区/日本橋)
都会の真ん中に建つ都市型神社。外観は現代的な佇まいですが、境内へと足を進めると神社らしい趣のある空間が広がります。安産祈願の神社として信仰されており、境内には子育て中のカッパと犬の姿を見ることができます。

途中、大雨が降って来たため中断したものの、それを差し引いた所要時間は2時間ほど。今回たまたま水天宮を最後にしたのですが、一番大きな神社が最後となったため、ちょっとだけ盛り上がりました。

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