歴史と建築も楽しめる駅ナカ美術館『東京ステーションギャラリー』(千代田区・丸の内)

東京都(23区)

レンガ積みの姿が重厚な東京駅丸の内駅舎の中にある美術館。個性的な企画展と、常設された駅舎の歴史資料を楽しむことができます。今回は「みちのくいとしい仏たち」を見に行ってきました。

訪問日:2024/1/21(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

重厚な存在感の駅舎

風格が漂うレンガ造りの駅舎が存在感抜群の東京駅。辰野金吾の設計によるこの「丸の内駅舎」は、1914年に竣工したものです。1945年には空襲によって屋根は焼け落ち内装の大半は焼失してしまいますが、その2年後に復元、2003年には国の重要文化財に指定されました。

東海道新幹線や東北新幹線など多数の路線が乗り入れる日本を代表するターミナル駅です。なんと、乗り換えなしで33都道府県に行くことができるそう。

鉄道を利用するのはもちろんのこと、「東京キャラクターストリート」や「東京駅ラーメンストリート」などの見どころも多数。観光の目的として訪れる人も多く、多くの人でにぎわっています。

■覚えておきたい「八重洲」と「丸の内」
東京駅は東側が「八重洲(やえす)」、西側が「丸の内」と呼ばれており、それぞれに北・中央・南といった出口があります。これを知っているだけで駅構内で迷う確率がぐっと下がります!

東京駅ナカの美術館

今回ご紹介する東京ステーションギャラリーは、そんな東京駅の駅舎内に1988年に設置された美術館。近現代の美術を中心に扱うアートミュージアムです。

正面向かって左側にあたる丸の内北口の改札前に受付があります。エレベーターで3階に上がり、降りていくのが順路。館内に常設展示されている作品は無く、年に数回開催される企画展がメイン。そのため、気になる展覧会が開催されているタイミングで訪れるのがおすすめです。

展示室内は創建当時のレンガ壁がむき出しになっています。モルタルを塗りやすくするためにつけられた傷、ネジやクギを刺すために混ぜられた木レンガ、異なるレンガの積み方など、じっくり見ると色々な気付きがあります。

※展示室は撮影禁止だったので、通路となっている螺旋階段にて撮影しました。

このロゴマークは、東京ステーションギャラリーの頭文字である「T」とともに、レンガのつなぎ目である「目地」をモチーフにデザインされています。隠れた存在である目地を前面に出すことで、隠れた才能も発掘していく美術館でありたいという、思いが込められているそうです。

ユニークな展覧会

開催されている企画展は、近現代や建築デザインなどバリエーションは豊か。「オープン・ウィーク 駅の美術館で楽しむ十日間」や「ハリー・ポッターと魔法の歴史」などユニークな展覧会も開催されています。

今回訪問時に見ることができたのはこちらの展覧会。

「みちのくいとしい仏たち」
開催期間:2023年12月2日(土) – 2024年2月12日(月)
休館日:月曜日[1/8、2/5、2/12は開館]、12/29(金)~1/1(月)、1/9(火)
開館時間:10:00 – 18:00
※金曜日は20:00まで開館
※入館は閉館30分前まで

「みちのく」こと北東北に伝わる仏像を集めた展覧会。お寺の本堂で祀られるような華やかな仏像とは異なり、小さな祠や小屋に置かれ、人々の日々のささやかな祈りの対象を集めたユニークな展示です。

職人である仏師とは異なるの民間人が作った民間仏は、なんとも親しみやすい雰囲気。一般的な仏像は憤怒の表情か無表情が多いですが、みちのくの民間物はにこにこと微笑んでいるものが多いのも特徴です。

おおかみをかたどった木彫りの《犬像》、男性のはずなのに何故か乳房のある《観音菩薩立像》、どう見てもキャラクターにしか見えない《達磨像》など、寺院巡りでは出会うことができないような仏像に多数出会うことができます。

仏像には、親しみやすいコトバで書かれた解説も添えられています。入口に展示された「ごあいさつ」の冒頭部分「大きくりっぱな建物にどきどきし、たくさんの仲間にびっくりしている仏像たち」。このひとことに、今回の展覧会の雰囲気が良く表れています。

常設展示で知る東京駅の歴史

展示室から出ると、最後は駅の2階の回廊部分。ここには、東京駅丸の内駅舎の歴史を知ることができる資料が常設展示されています。

歴代の東京駅丸の内駅舎の建築模型は、変遷していく様子が描かれます。駅周辺の丸の内エリアを含めた模型では、高いビルが次々と増えていく様子も体感できます。

こちらの手すりは、保存・復原工事の際に発見された創建時のオリジナルのもの。曲線を多用したデザインは、当時流行していたアール・ヌーヴォー風とのこと。

展示されたレリーフは、かつてドームの装飾に使用されていたものを復原したもの。描かれているのは十二支の姿。洋風な建築ですが、細部には日本らしいモチーフも用いられていました。

こちらの回廊部分のすぐ下は、東京駅の丸の内北口改札。ゆったりと作品鑑賞した直後に、多数の人が行き交う姿を見ると、なんだか別の世界を覗いているような気持ちになってきました。

アクセスと営業情報

東京駅の丸の内北口改札の目の前。

開館時間 10:00~18:00 ※金曜は20:00まで
休館日 月曜、年末年始
料金 展覧会によって異なる
公式サイト https://www.ejrcf.or.jp/gallery/index.asp

※掲載の情報は2024年1月時点のものです。最新情報は公式HPにてご確認ください。

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