直島の南側にあるベネッセハウスエリアは、多数の美術館とパブリックアートが集まりアートの島を凝縮したような場所。インパクトが強いものから島の歴史を伝えるものまで、様々な作品が次々と現れます。
美術館が集まるエリア
1992年「ベネッセハウス ミュージアム」、2004年「地中美術館」、さらに2010年「李禹煥(リ・ウーファン)美術館」と、次々と美術館が建設されていった直島。
これらの施設は直島南部に集中しており、「ベネッセハウスエリア(美術館エリア)」と呼ばれています。
直島行きの船が寄港する宮浦港からは2~3kmほど離れているため、徒歩だと少々ハード。港で自転車を借りるか、町営バスを利用するのがおすすめです。
多彩な作品が集う「ベネッセハウス ミュージアム」
海沿いの高台にあるベネッセハウス。安藤忠雄が建築したというこの施設は、泊まれるミュージアムであり、宿泊者しか中に入ることはできません。
しかし、「ベネッセハウスミュージアム」というミュージアム棟に限り、、宿泊者でなくとも見学することができます。
寝転がって天を仰いでいたり、蟻の巣でできた国旗を眺めたり、おびただしい数のウルトラマンがバンザイしてたりと楽しい空間でした。
一番心に残っているのは、『3人のおしゃべりする人』by ジョナサン・ボロフスキー。3体のヒトガタは口を動かして「ちゃるちゃるちゃる」と不思議な音を放ちます。コミカルに見えて、ときどき嘆きのような音も出てくるのが奥深い作品でした。
3人の個性が詰まった「地中美術館」
お次は直島で最大規模を誇る地中美術館。ベネッセハウスと同じく安藤忠雄の手によって造られたミュージアムです。吹き抜けの空間が露出しているのみで、そのほとんどは地面の中にあります。てっきり地中を掘って造られたのかと思いきや、造ったものを土に埋めたらしいです。
階段も多く複雑な館内は、謎解きアクションゲームの世界を冒険しているような気分。
『タイム/タイムレス/ノー・タイム』by ウォルター・デ・マリア
球体と木彫りが広い空間に立体的に配置されています。降り注ぐ日光と金箔が荘厳な雰囲気で、まるで神殿に迷い込んだかのような気持ちになります。
『オープン・フィールド』by ジェームズ・タレル
壁の一部に色が塗られている、かと思いきやまさかの秘密があります。詳しくは、訪れてからのお楽しみです・・・・!
広い館内ですが、実は展示されているのはこのウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルとクロード・モネの3人の作品のみ。実は非常にピンポイントなミュージアムなのです。
※地中美術館は2023年2月時点では完全予約制となっており、事前予約チケットの購入が必要です。支払いはクレジットかd払いとなりますが、キャンセル手数料はかからないようなので早めの予約が良さそうです。
ミニマルな展示に吸い込まれる「李禹煥美術館」
お次は山の中にひっそりたたずむ李禹煥美術館。コンクリートの壁一面しか見えず、非常に控えめな外観。知らないと素通りしてしまうかもしれません。
その名の通り、韓国の現代アーティスト李禹煥(リーウーファン)さんの作品が展示された美術館。こちらも建築は安藤忠雄。
石や木などの物で作り上げる『もの派』と呼ばれる作品は、情報量の少ないとてもミニマルな展示でした。
パブリックアートもお忘れなく
この辺りには、美術館だけでなく24時間鑑賞可能なパブリックアートも多数置かれています。
海辺に並んだ石は『文化大混浴』by 蔡國強。中国から運ばれてきたという太湖石の中心には、なんとジャグジーのお風呂が!昔は自由に入浴できたようですが、今はベネッセハウスに宿泊した人のみ入ることができるらしいです。
印象的だったのは『スラグブッダ88』by 小沢剛。ひっそりとした雰囲気の李禹煥美術館の近くでさらにひっそりとしていた作品です。こちらは直島各地にある「直島八十八箇所」と呼ばれる仏像をコピーしたもの。
ここでいう「スラグ」とは産業廃棄物のこと。産業に乏しい直島には、かつて製錬所が造らていました。しかし、その煙害により多くの木々は枯れ禿げ山になってしまったという過去を持ちます。このスラグブッダは、直島のお隣の豊島の産業廃棄物処理後に残ったスラグで作られています。島の信仰と陰の歴史を伝える、メッセージ性の強い作品でした。
なんといっても人気なのは『南瓜』by 草間彌生。桟橋に置かれたまだら模様の鮮やかなカボチャは、直島ときいて真っ先に頭に浮かぶ人も多いシンボル的な作品です。
閑散期に訪問したのですが、 写真を撮る人々は途切れることがありません。1994年に設置されており直島の中でも古参にあたる作品ですが、SNSなどの普及もあり、その人気は衰え知らず。ちなみに、福岡県の福岡市美術館にも同じ黄色いカボチャがあります。
さて、お次も直島の記事が続きます!最後は、宮浦港と本村エリアへ。
コメント