「醤の郷」と呼ばれるエリアにも多数存在しているアート作品。「オリーブのリーゼント」をはじめとした作品をめぐりながら、「ジョルジュギャラリー」「醤の郷現代美術館」にも立ち寄り。刺激的で不思議なアートをたっぷりと堪能しました。
醤の郷でアートめぐり
醤油や佃煮造りが盛んであることから「醤の郷」と呼ばれる苗羽(のうま)地区&馬木地区。醤油蔵が立ち並ぶノスタルジックな景観が人気のエリアで、歩いているとどこからか醤油の香ばしい香りが漂います。
近代化産業遺産にも指定される建造物が多数並ぶ中、瀬戸内国際芸術祭の舞台でもあるこの町。アート作品が多数点在しているため、町歩きとアートめぐりを同時に楽しむことができるのです。
もし車で訪れる際に気を付けるのが、各スポットや作品には駐車場が無い場合が多いということ。私は今回「馬木散策路 駐車場」という場所に車を停めて歩いてめぐりました。この駐車場までの道も、細い集落内を通るので、運転にはご注意ください。それなりに交通量もあり路上停車もしづらいので、事前にマップで確認してから向かうのをおすすめします。
点在するパブリックアート
馬木散策路 駐車場の目の前に立つ公衆トイレ。こちらは《おおきな曲面のある小屋》by 島田陽 というアート作品。曲面となっている白い壁とそれを覆う瓦屋根、それぞれは接触せずに独立しています。
ユニークな姿から人気が高いのが《オリーブのリーゼント》by 清水久和。オリーブの木に包まれた白い卵のような不思議な物体は、リーゼントヘアでばっちりとキメています。
口のあたりにぽっかり空いたくぼみがあり、オレンジが供えられていました。このリーゼントくんは2013年3月16日生まれ。今年で10歳を迎えたそうです。
目の前にギャラリーがあり、そこのおじさんがリーゼントくんについて教えてくれます。リーゼントのかつらも貸し出しており、おそろいで写真撮影することも。
また、ジョルジュ・ルース氏の制作現場が残されています。「いったいどなた?」となった方は、このあと名前が出てきますので、ぜひぜひ覚えておいてくださいね。
集落の中で民家にまぎれている《Umaki Camp》byドットアーキテクツ。瀬戸内国際芸術祭の会期中は自由に使えるキッチン、ラジオ局、映像鑑賞スペース。会期終了後は地域のコミュニティスペースとして活用されています。内部を覗くと、エアコン、テレビ、炊飯器、IHコンロなど様々な道具が。
ジョルジュ・ギャラリー
ジョルジュ・ギャラリーは、写真家ジョルジュ・ルース氏の制作現場を公開したアートスポット。屋内型の施設で、入場料は500円。さきほどリーゼントの前にあった制作現場も、この方の作品です!
入るとそこは、一部が金色に染め上げられた和室。これはいったいなんでしょうか?
こちら、仕掛けがあり、ある角度から見ると・・・
こんな感じで金色の円が浮かび上がります!そこだけ別世界のようにくっきりとした金色。異次元へとつながるワープホールのようです。
ジョルジュ・ルース氏は、廃墟や取り壊す予定の建物にインスタレーションを設置して写真作品として完成させるアーティスト。
さらに、隠れた階段を登ると屋根裏へとつながります。ここにももう一つの作品が。こちらも実際に描かれている模様。先ほどの円と比べると、撮影できる角度が限られるためきれいなカタチを作るのは少し難しいです。
KOHIRA Cafeでひとやすみ
ジョルジュギャラリーにはKOHIRA Cafeというおしゃれなカフェが併設されています。ジョルジュギャラリーの受付もコチラで対応していただけます。
テラスに置かれたパラソルやソファがとってもラグジュアリーな雰囲気。アートめぐりの休憩にぴったりです。
名物の醤(ひしお)丼もあります。醤の郷のもろみ味噌を使用して焼いたお肉と旬の野菜がつまったランチボックス。もちろんテイクアウトも可能です!
醤の郷現代美術館
ジョルジュギャラリーのすぐ傍に建つこちらの建物は、醤の郷現代美術館。小豆島最初の鉄筋コンクリートの建物である醤油会館を再利用した私設の美術館。入館料は1,500円で、優しい館長さんがいろいろと教えてくれます。
壁一面に描かれたモノトーンの作品。こちらは《Shape of life「森と共に」》by 小野純一。描かれている森の精やザクロはまだ未完成らしく、10年かけて完成する予定とのこと。
ネオンでユニークなキャラクターが描かれた《Mr.A》by アンドレ・サレヴァ。フランスのグラフィックアーティストによる作品で、このキャラは子どもに人気だそうです。
猪熊弦一郎、イサム・ノグチ、横尾忠則、草間彌生、アンディ・ウォーホルといった、国内外のビッグネームの作品も並んでいます。
他にも、小豆島がテーマとなった作品を集めた「小豆島ゆかりの作品」コーナーも。刺激的なアートに加えて、島らしさも感じられる美術館でした。
足を延ばして美井戸神社へ
醤の郷から車で5~10分ほど離れたところには、なかなかインパクトのある作品が展示されています。それがこちらの《アンガー・フロム・ザ・ボトム 美井戸神社》by ビートたけし×ヤノベケンジ。
クチコミによると、20分毎に口から水を吐き出すという仕掛けもあるそうです。
古井戸の底に棲む地霊的な化け物が、人々を脅かすという設定で造られているそう。コワさと可愛さのバランスが絶妙な作品です。
草壁港にも立ち寄り
小豆島町にある草壁港。高松港からの船が寄港していましたが、現在休止中となっています。
ギリシャ風のターミナルビルが建つ港の一角にも作品があります。それがこちらの《石の島の石》by 中山英之建築設計事務所。
こちらは作品でありながらも公衆トイレとしての機能もあります。小豆島産の花崗岩を主材料としたコンクリートでできておりますが、上部は半透明となっており、太陽光が降り注ぐ設計。なんだか開放的な気持ちになります。
かつてはすぐそばに《辿り着く向こう岸》という作品もあったようですが、2023年5月時点でその姿は見えません。おそらく瀬戸内国際芸術祭の期間のみの展示であったのでしょう。
小豆島にはまだまだたくさんの作品が展示されていますが、前々回の「三都半島」と合わせてたっぷりめぐったのでおなかいっぱい!刺激が強い作品が多いので、めぐり過ぎには要注意です・・・!
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