電動自転車で石切丁場跡と展望台をめざす『前島』（瀬戸内市）

牛窓(うしまど)港から5分でいける超お手軽離島、前島(まえじま)。港で電動アシスト自転車を借りて、島内散策に出発！海辺の道や起伏の多い山道を越えて、前島展望台＆石切丁場跡をめざします。

訪問日：2023/4/30(日) ※掲載の写真・情報は訪問時のものです

気軽に行ける離島
牛窓港からアクセス
レンタサイクルがおすすめ
巨石が並ぶ石切丁場跡
前島展望台へ
うらみ石の伝説
見学の所要時間

気軽に行ける離島

前島は岡山県瀬戸内市牛窓町に属する離島。面積約2.42k㎡の小さな島で、150人程の人が暮らしています。

前島行のフェリーは、牛窓港より乗船します。港からは「唐琴の瀬戸」と呼ばれる海峡を挟み、すぐそこ。フェリーの乗船時間はわずか5分、便数も1日20往復と多いため、とっても気軽に訪れることができる島です。

なお、島内にはコンビニはもちろん、商店もありません。港に自販機はありますが、基本的に買い物は済ませてから島に渡るのがおすすめです。

牛窓港からアクセス

「牛窓オリーブ園」や「瀬戸内市立美術館」など、おしゃれな観光スポットが多数ある牛窓。観光案内所である瀬戸内きらり館の向かいに、前島行きのフェリーが発着する牛窓港があります。

運賃は往復240円ととってもリーズナブル。乗船券は事前に購入不要、乗船時に支払うスタイルです。駐車場は港周辺につくられた駐車スペースに停めて大丈夫とのことです。

船内は1階が屋内席。フェリーは車載室メインの構造であるため、旅客席は細長いです。

2階が屋外デッキ。5分というあっという間の乗船時間なため、なんとなく海を見て過ごす人も多いみたいです。

レンタサイクルがおすすめ

出港してから一瞬で前島の桟橋に到着。赤瓦の建物は、待合所と観光案内所。ここに自動販売機があるので、飲み物補充をお忘れなく。

また、この建物にてレンタサイクルも行っています。前島は一周すると8～10km程度。徒歩でめぐるには少々あるので、自転車がおすすめ！

レンタルしている自転車は、基本的に全て電動アシスト付き。島内は起伏が非常に多いため、普通の自転車ではかなりハードなのです。気になる料金は、4時間で800円。いろいろ立ち寄っても2時間もあれば一周できるので、ちょうど良い感じです。

予約しないと借りれないのではと少し不安でしたが、台数はかなりたくさんあるみたいでした。

さて、自転車にそなえて服の裾を縛ったら、14:25出発！電動自転車は坂道もスイスイ進めて快適！特に海辺の道は車では味わえない爽快感。

巨石が並ぶ石切丁場跡

まずは、島の中心にある前島展望台を目指すことに！ということで、港から15分ほどで遊歩道の入口に到着。ここからは未舗装の上り坂となるため、自転車を置いて徒歩で進みます。

わずか1分で見えてくるのが、巨石が立ち並ぶ異様な光景。

ここは大坂城築城残石群と呼ばれる石切丁場跡。徳川家による大阪城の再建の際、犬島、北木島、小豆島など瀬戸内海の島々から多数の石材が切り出されました。前島もそのひとつであり、石垣に使用する粗粒花崗岩の採石場であったそう。

よく見ると、石を切り出す際に掘られた「矢穴(やあな)」が空いているものも。さらには家紋などの刻印が刻まれているものもあったりします。

前島展望台へ

遊歩道へ戻らず、この石切丁場跡を抜けても展望台へ行けます。ただしちょっと山道となるので、草木が茂り虫が増える夏場は少々ハードになりそうです。

進むと大きな岩の広場に到着。見晴らし抜群でとっても気持ち良いです！

遊歩道入口から石切場を越えて約10分、ついに展望台に到着です！360°の展望が楽しめる展望台ですが、老朽化で立ち入り禁止。（※2023年5月時点）

展望台周辺は草木が茂っており、それほど眺めが楽しめません。ということで、展望台に立入禁止のときは、先ほどの石切場ー展望台の間にある岩場が一番眺めが楽しめるポイントとなりそうです。

うらみ石の伝説

さて、前島メインのスポットである前島展望台＆石切丁場跡をめぐり終えましたが、せっかくなので島をぐるっとまわってみることにしました。

島の東端にある赤瓦の建築はカリヨンハウス。自然の中で行う体験活動やコミュニケーション、会議、勉強会などが行える研修施設です。

続いて向かったのが「うらみ石」。なのですが、それらしきものが見当たりません。案内板はあるのですが・・・。

あ！案内板の裏の草むらに、うっすらと石が見えます。たぶんこれでしょう。

このうらみ石には、このような伝説が残されています。

その昔、前島には「御堂の姫」という美しい姫が住んでいました。その姫はあるとき、犬島の若者と恋に落ちます。しかし、大蛇が武士に変身して姫を強奪、二人の恋路を阻みます。犬島の若者はどうすることもできず、悲しみ明け暮れて命を落としてしまいます。姫は大蛇を怨み続けたところ、ある日、轟音とともに空から石が降り、大蛇を打ち砕きました。

若干ディティールは異なる場合がありますが、概ね「天から落ちてきて大蛇を退治した石」という部分は一致します。隕石という話もありますが、ここだけみると信憑性がありますね・・・！「大蛇というのは、純粋に悪い武士のことであり、その屋敷に落下した」みたいに捉えると、伝説にリアリティが増してきます。